メルセデス・ベンツ CLAクラス 「デザイン重視のコンパクトメルセデス」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

デザイン重視のコンパクトメルセデス

2021.9.30

年式

2019年8月〜モデル

総評

かつて、メルセデス・ベンツといえば質実剛健なクルマ作りが特徴だった。しかし、デザイン重視としたクルマ作りのCLAは、そんなベンツらしくないクルマだが、むしろその“らしくなさ”が魅力といっていいのではないだろうか。そこにあるのは、実用性だけにこだわらず、無駄を美学とする人生のゆとりだ。

満足している点

流麗なデザインはライバルにない魅力。「クーペ」も「シューティングブレーク」も美しく、実用性を犠牲にすることなく実現したエレガントなスタイルは賞賛すべきだ。それだけデザインコンシャスなクルマでありつつも、不満のない後席居住性や積載性能を備えているバランスも見事。あと、AMG系モデルの走行性能は驚愕のレベル。

不満な点

価格が強気なのは気になるところだが、それに見合う魅力があるのもまた事実だ。駆動方式がFFベースとなっていることを気にする人もいるかもしれないが、そこが気になるのであればひとクラス上の「Cクラス」を選ぶのが正しいモノ選びだろう。

デザイン

5

ベースは「Aクラス」のFFモデルだが、CLAを買うべき理由はスタイリング。AクラスのハッチバックともAクラスセダンとも異なる流麗なデザインは、かつての質実剛健だった時代のメルセデスでは考えられないもので、オーナーの人生のゆとりを表現しているといっていいかも。新型になってプロポーションが劇的に向上し、リヤウインドウやCピラーの美しさは必見。ワゴンボディの「シューティングブレーク」も満ち溢れる遊び感覚がいい。

走行性能

4

合計で5タイプのパワートレインが用意されている。どれを選ぶかによって走行性能は変わってくるのだが、いずれもプラットフォームの能力が高く乗り味は良好だ。おすすめは「200d」に積むディーゼル。排ガスの後処理装置に凝ったこのエンジンは、発進加速の力強さに加え、このクラスのディーゼルのなかでは抜群にフィーリングが良い。

乗り心地

4

車体がしっかり作られていることもあり、乗り心地は全体的に良好。「メルセデスAMG CLA35」や「メルセデスAMG CLA45S」などの高性能スポーツモデルでも、走行モードを「コンフォート」にすれば電子制御可変ダンパーが減衰力を下げてサスペンションをしなやかにするので、通常モデルどころかそれ以上に快適な乗り心地を提供してくれる。

積載性

3

「クーペ」と呼ぶトランク付きモデルの荷室容量は460L。「シューティングブレーク」と呼ぶワゴンは505L。クラスとしてはCセグメントだが、「Aクラス」などハッチバック系のモデルに比べると荷室容量が広く、それが実用性能高に直結している。もちろん、いずれのボディ形状も後席を倒して荷室奥行きを広げることができる。

燃費

4

燃費値は公表されていないが、1.3Lガソリンターボエンジンを積む「CLA180」なら幹線道路で10km/Lを超えるし、2.0Lディーゼルターボエンジンを積む「CLA200d」なら15km/Lに迫ることも。ただし「CLA250」や「AMG」系になると、今どきの燃費水準からすると控えめな数値となってしまう。経済性からすれば、イチオシはディーゼルの200dだ。

価格

2

「クーペ」が497万円から、「シューティングブレーク」は509万円から。約600万円となる「250」以上は別格で、最高峰の「45S」になると約900万円だ。ライバルに相当する「アウディA3セダン」が329万円から買え、「BMW 2シリーズグランクーペ」が394万円から用意されていることを考えると、かなり強気なプライスといえる。