メルセデス・ベンツ Cクラス セダン 「他の車と比較する意味の無い車、それがＷ２...」のユーザーレビュー

他の車と比較する意味の無い車、それがＷ２...

2004.9.9

総評

他の車と比較する意味の無い車、それがＷ２０３ではないでしょうか。独自の価値観を形成した大人が選ぶ車と言えます。自動車メーカーが創り出す多様な価値観に惑わされることなく、基本に忠実でコンサバティブな道具を長く愛用したいと考える方に相応しい車です。メルセデスベンツもダイムラークライスラーとなり、トヨタの躍進等からマーケットコンシャスな車作りに傾いてきています。メルセデスベンツがそんな器用な振る舞いをする必要が無かった時代の１９０Ｅ。その再来と評されることが多いＷ２０３の乗り味は、グローバリゼーションの波に流されることのない伝統を継承していると思います。ファーストフードに飽きたと感じたら、素材を厳選し手間と時間をかけて作られたＷ２０３を試してみる価値は大いにあると思います。

満足している点

何といってもそのトータルバランスではないでしょうか。購入時にＢＭＷ3、Ａ４と比較しましたが、突出する部分が無い代わりにに良くまとまっていると思います。誤解を招かぬよう言っておきますと、優劣ではなくそれぞれが良い車であり、あくまでも自分が何を欲するかで選んだ結果です。ゴルフ3からの乗換えで重視したのは、常に平常心で運転できる懐の深い車という条件でした。体調や気分によって印象が変わることが無く、それでいて運転する充実感を常に感じさせてくれる車、それがＷ２０３にピッタリと当てはまります。車格の割りに落ち着いた乗り心地、各操作系に一貫した重厚なフィーリング、それらがもたらす乗員を癒すかのような優しさは本当に快適です。エンジンも存在を主張し過ぎることは無く、かといってもどかしい場面は皆無です。もちろん、高速安定性、追い越し加速性能、緊急回避といった項目では信頼に足る能力を示します。スポーティー＝シャープネスという概念はこの車にはありません。高度な安全性を追い求めた結果得られた、シャシーのキャパシティーからくる余裕がスポーティーとして表現されています。機械的な性能以外に目を向けると、強豪ひしめくＤセグメントにあって、メルセデスベンツがキャラクター決定に悩み抜いたスタイリングが上げられます。細かく観察すると曲線と曲面で複雑に構成されたスタイリングは、違和感を伴った存在感を主張しています。知名度から来るステータス性がコンパクトな車体に花を添えてくれることも見逃せません。

不満な点

絶対評価で不満な点はありません。しかし、相対評価となればないものねだりをしたくなります。ＢＭＷのようなシャープさや、アウディのようなシンプルさ、アルファのような昂揚感があればと思うこともあります。スーパーチャージャーエンジン特有の鳴動や穏やかなレスポンスは好みが分かれるところでしょう。ステアリングフィールにも同様のことが言えます。ＮＶＨについては、同価格帯の国産高級セダンのレベルには遠く及びません。エレガンスライン仕様のシートは、身体の拘束を避けたためサポート性は不足しています。オーディオがカセットのみというのは、どのようなオーナーにとっても満足とは言えないのでは。バリューフォーマネーかどうかは、オーナーの価値観次第で大きく評価が変わるでしょう。全ては相対評価の話であり、気に入っているオーナーにとっては美点と捉えることが殆どです。

デザイン

-

走行性能

-

乗り心地

-

積載性

-

燃費

-

価格

-

故障経験