マツダ CX-30 「美しさが際立つコンパクトSUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

伊藤 梓
伊藤 梓(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
5
走行性能
4
乗り心地
3
積載性
4
燃費
4
価格
3

美しさが際立つコンパクトSUV

2021.3.25

年式
2019年10月〜モデル
総評
マツダのSUVの中でも、パッケージングに優れている上にデザインも美しいという、二律背反を上手く実現しているクルマ。「とにかくこのかっこよさに惚れた!」という方はそれだけでも買う価値あり。ただ、SKYACTIV-Xは、高い理想を掲げて、新しい技術を駆使しているエンジンであり、まだ成熟し切っていない印象。これから7世代の車種が増えるにつれて、CX-30などの既存モデルも進化していってほしい。
満足している点
コンパクトSUVの中では、デザインは唯一無二の美しさ。このデザインコンセプトが好きな方にとっては、他のネガティブな部分も全て受け入れて欲しくなるのも理解できる。そして、マツダ車らしい滑らかで自然なドライブフィールも進化しているため、ドライバー目線で言えば、理想的なコンパクトSUVだと言える。
不満な点
MAZDA3のようなドライバーズカーなら理解できるところも、ファミリー層のユーザーを見込んでいるとすると看過できない部分が出てくる。まずは、乗り心地が硬いところ。後席は特に硬いので、ファミリーユースで使うには少し不安が残る。デザインが美しくなり、プレミアム感は増しているものの、これまでのマツダ車の印象が強く、価格はやや高く感じてしまう。マツダ車は、たくさん乗って使ってみて良さが滲み出てくるものだと思うので、もう少し間口を広くとってもらいたいなと思う。
デザイン

5

マツダの7世代の初めてのSUVモデルとして登場した、CX-30。進化した“魂動”デザインと、より巧みなボディ面の処理によって、光の反射や映り込みがさらに美しく感じられるようになった。足回りの黒い樹脂パネル部分を広く取るなど、CX-5やCX-8とは違う、コンパクトSUVらしい快活さを感じるのも◯。
走行性能

4

MAZDA3と同様、SKYACTIVビークルアーキテクチャーを採用しており、ボディ剛性の高さからくる、クルマの素直な反応やハンドリングなどは高いレベルになっている。一方で、新エンジンのSKYACTIV-Xは、様々な新技術を取り入れているが、おそらくまだパワー面や燃費において理想のパフォーマンスが得られていない感覚を受ける。改良したソフトウェアの無償アップデートなどを行うとのことなので、これからの改善に期待。
乗り心地

3

同セグメントのSUVと比較しても、乗り心地は硬い。MAZDA3と同様の硬さを感じるため、リアのトーションビームや元々の骨格によるものなのかもしれない。特に、路面の悪いところでは、後席が跳ねるような感覚があるので、乗り物酔いする人などは要注意。重量や機構の兼ね合いなのか、4WDモデルは乗り心地が良い傾向にあるので、どうしても気になる方は、そちらの試乗もおすすめしたい。
積載性

4

CX-30はヤングファミリー層をターゲットにしていることもあって、荷室にベビーカーを入れられるようになっていたり、重いものも必要以上に持ち上げず荷室に積み込むことができる。「デザイン性が優先されているのでは」と思われがちなマツダ車だが、本来CX-30はクーペのようになだらかに下がるルーフをデザインしていた。しかし、後席の居住性を考えて逆にルーフの傾斜を上に上げるなど、使い勝手の面も考えられている。
燃費

4

マツダは純粋なハイブリッドモデルを持たないこともあり、燃費は14.8〜19.2km/L(WLTCモード)とやや厳しい印象。SKYACTIV-Xの燃料がハイオクで、燃費自体もディーゼルモデルより落ちてしまうので、燃費を優先する方は選びづらいかもしれない。長く使うのを前提としていて、燃費が気になる方は、ディーゼルをおすすめする。
価格

3

価格は、日本車の同サイズのSUVと比較すると、約240万円スタートは割高な印象だ。さらにディーゼルは約290万円〜、SKYACTIV-Xは約330万円〜と、モデルごとに価格は上がる。新しい技術をたくさん取り入れた新型車のため、コストがかかっているのは理解できるが、ヤングファミリー層を狙っているとしたら、少々値段設定が高い気はする。
伊藤 梓
伊藤 梓
自動車ジャーナリスト
クルマ好きが高じて、グラフィックデザイナーからカーグラフィックの編集者へと転身。より幅広くクルマの魅力を伝えるため、2018年に独立してフリーランスに。現在は自動車ライターのほか、イラストレーターとしても活動中。パーソナリティを務めた経験を活かし、自動車関係の動画やトークショーなどにも出演している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
マツダ CX-30 新型・現行モデル

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