ホンダ ヴェゼルハイブリッド 「クーペとSUVの融合から新境地へ」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

4

デザイン
4
走行性能
4
乗り心地
4
積載性
5
燃費
3
価格
3

クーペとSUVの融合から新境地へ

2022.6.24

年式
2021年4月〜モデル
総評
e:HEVを選ぶなら「リアルタイムAWD」を名乗る4WDがおすすめだ。e:HEVユニットから後輪へはプロペラシャフトを通じて駆動トルクを伝達するため力強い後輪の駆動力が感じられるからだ。瞬間的には500N・mまでのトルクが伝えられる。VSAをカットすれば滑りやすい路面でもアクセルコントロールで姿勢が変えられるから安全性も高まる。
満足している点
ホンダらしさを感じる内外装デザインだ。大きく見えるが全幅は1790mmに抑えられ、全高も1600mmを切っているから都市部の立体駐車場でもそれほど場所を選ばない。SUVであるものの、初代CR-Vにも通ずるライトな感覚と、垢抜けたホンダデザインの融合で道具としての使いやすさが伝わってくる。e:HEVは確かに高価になるが電動駆動によるスムースな走りは病みつきになる。
不満な点
大きな不満点はない。ガラス製の「パノラマルーフ」を備える「PLaY」グレードに4WDの設定がないことが不満といえば不満だ。しかし、これも販売がこのグレードに集中しすぎないようにする一環だと思われ、受注残が減ってくれば4WDが追加されるのではないかと推察。ドライブモードスイッチのスポーツモードは、一時的なモーターへの電力増強など、もっと力強さがあると気持ちよく走れる。
デザイン

4

クーペとSUVの融合は初代ヴェゼルのデザインテーマだ。2代目もこのプロセスを大切にしながら、内外装デザインには徹底した統一を図ったという。たとえばインテリアではセンターコンソールからドア周辺までアクセントラインを統一しながら、異なる素材同士であっても手触りに違和感がないよう設計した。スッキリと見える外観だが、見る角度によってはサイズ以上に大きく見える。ここも特徴だ。
走行性能

4

フィットe:HEVから出力を向上(98PS→106PS)させて重量増加に対応。電動モーターも109PS→131PSへと高めた。さらにアクセルを踏み込んだ際の加速フィールが一層際立つように電動コンポーネントにも手を加えている。これらの変更によって、150kg重くなった(最軽量モデルでの比較)車重に対応する。高回転域までスッと伸びるエンジンも気持ちがいい。
乗り心地

4

駆動方式を問わず滑らか。速度域に関わらず上下動が少なく、荒れた路面でも突き上げが少ない。ロードノイズが高めだが公道で気になる点は少ない。テストコースでは全開走行が行えた。深くロールするものの、ロール速度がゆっくりで、対角する後輪の接地性も確保されているから安心してカーブを曲がりきれる。滑りやすい路面でも挙動がわかりやすく立て直ししやすい。
積載性

5

やはりセンタータンクレイアウトを採用することから、後部座席の座面を跳ね上げた際には積載性が確保され扱いやすい。初代から受け継いだ車内空間の広さを活かし、ラゲッジルームはとても広い。後席を倒した際もフラットなフロアなので、重い荷物の積み下ろしも楽に行える。ラゲッジルームの広さで言えば、ミディアムクラスのSUV、たとえば「CR-V」とも遜色がない。ここは手放しで褒められる。
燃費

3

FFモデルのWLTC値が25.0km/L、4WDが22.0km/Lとフィットから15%程度、数値は劣る。しかし、こちらも実用燃費は優秀だ。駆動モーター出力が131PSと強化されたこともあり、運転操作にゆとりが生まれた。ストップ&ゴーが続く市街地では20km/L台前半だが、郊外では28km/L程度にまで伸ばす。シリーズハイブリッド方式のメリットはこのモードで活かされる。
価格

3

2,658,700円がハイブリッドモデルのベースグレードとなる「X」の価格。これが4WDになると2,878,700円と220,000円高くなる。当然ながら、クルマ選びはクラスを上げていくごとに価格も上昇。その点、SUV、とくにハイブリッドモデルの場合、装備が充実しているモデルが多いので高額になりやすい。さらにオプション装備も高額だ。よって、ベースモデルに最小限のオプション装備が理想的。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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