ホンダ プレリュード のみんなの質問

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日産自動車でかつて4輪操舵を世界初で開発したという人に会いました。
ホンダもやっていたけれお、自分が一足先で世界初だと言っていました。
ハイキャスという装置だそうです。

でも、これって同位相だけですよね?逆位相のホンダやマツダの4輪操舵が本当の4輪操舵ではないですか?
同位相なら、操舵と言えるかどうかわかりませんが、ポルシェだってすでにメカニカルですがやっていましたよね?バイザッハアクスルというのが、そうだと聴きましたが。。。。

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ベストアンサーに選ばれた回答

●4WSとは
Four Wheel Steering (四輪操舵)という意味です。

旋回のため,車輪を曲げることを「操舵」といいます。通常,前輪2輪だけ操舵です。これを後輪2輪までやることを「四輪操舵」といいます。

●メリットは?
下記2つのメリットがあります。

・車両運動性能の向上 … 旋回やレーンチェンジの際,車両の挙動がより安定します
・旋回性能の向上 … 旋回半径が小さくなるため,狭い道での取り回しが楽になります

●デメリットは?
本来は動かない後輪が曲がるため,違和感があります。15年くらい前に採用されたホンダ・プレリュードでは,後輪の舵角(曲がる角度)が大きすぎて,車両後方をぶつける事故が散見されました。

●現在は?
一時期,HICASなどではやったものの,衰退し,日本車では,日産のスカイラインクーペとフーガの一部だけに残っていました。しかし最近,モデルチェンジしたBMWの7シリーズ,5シリーズで復活しました。今後,BMWでは,前輪の舵角補正(アクティブ・ステアリング)とともに後輪操舵を他の車種にも広げてくるでしょう。

4WS(四輪操舵)を装着している新車は下記の通りです。

●標準装備
BMW 7シリーズ(現行:F01)
BMW 5シリーズ(現行:F10)
日産 スカイライン・クーペ 370GT Type SP と 370GT Type S
日産 フーガ 370GT Type S

●メーカ・オプション装備
日産 スカイライン(セダン) 370GT Type SP と 370GT Type S

●制御内容 (日産 Super-HICASの場合)
低速域(~40km/h) = 前輪舵角が大きく,駐車場などで少しのステアリング角で走行可能
中速域(40~80km/h) = 前輪舵角やや大きく,後輪も同位相によりコーナリングの操作性を改善
高速域(80km/h~) = 前輪舵角を小さくし前輪の安定感を増し,後輪も同位相によりレーンチェンジの操作性改善

なお初期のHICASは,同相制御だけでしたが,Super-HICASでは,逆相制御を加えています。また舵角の時間微分(=これを一次進み制御という)を加えており,当時の4WS技術の中で,HICAS系がもっとも優れていたといえます。

●制御内容 (BMWの場合)
後輪舵角だけではなく,前輪も補正制御をおこなう(世界初)

●日産の採用戦略
上記のように日産は比較的スポーティなクラスに使っています。しかし本当にスポーツ指向のGT-RとフェアレディZ(フーガやスカイラインと同一プラットフォーム)には使っていません。これは本当にスポーツ指向のユーザにとっては,無用な補正制御であると考えているためです。

昔のような良く曲がる技術としての「HICAS」ブームにはならないでしょう。

●舵角制御とトルク制御
BMWは日産の特許期間が切れた4WS制御を採用してきました。しかも7シリーズ全車採用です。この4WSは,前輪の舵角補正制御とECS(横滑り防止装置)と組み合わせ,日産よりさらに優れた内容になっています。最近のBMWの四輪駆動車には前後輪のトルク・スプリットだけではなく,後輪左右のトルク制御をおこない,旋回性を向上しています。

このトルク制御と舵角制御を組み合わせると,さらに走行制御性は向上します。その意味でBMWは,将来につながる走行制御技術を獲得したといえます。

●パッシブ制御とは?
主として制動時,後輪への前後力により,好ましいトー変化をさせるのが,ポルシェのバイザッハ・アクスル・サスペンションです(928に搭載)。これは構造上,あまり剛性が高くなかったので,その後,この思想を別形式で実現したものが多く発表され,現在に至っています。つまり一般的なダブル・ウィッシュボーン式をベースにトー制御アームを加える方式です。駆動軸レイアウトや三次元的な動きを実現するためロアアームを分割し,さらにトー制御アームを加えてものが,一般にマルチリンク式と呼ばれます(この明確な定義はありません)。

●4WSとパッシブ制御とトルクベクタリングの比較は?
パッシブ制御より制御自由度の高い4WSの方が一般に優れています。さらに後輪左右の駆動力を制御できるトルクベクタリングの方が優れています。これはBMWのX6やホンダのSH-AWDがその仲間になります。

●SH-AWDとは?
以前は日産におられ,現在はホンダにおられるS氏が中心になって基礎開発したのがHICAS(設計はU氏)。日産でのHICAS開発の成果が上司のI氏にとられたので,ホンダへ移籍し新しく開発したのがSH-AWDです。
その意味でHICASの目的をずっと追求しているといえます。ただレジェンドのようなクルマでは,このシステムは重すぎ,しかももともとセダンは旋回性能が良いので,あまり意味がありません。一方,X6のようなSUVでは,車重が大きいので,トルクベクタリングの意味があります。

●現在は?
トルクベクタリングにしても,前後の操舵制御にしても,BMWがもっとも優れています。このように日本車の技術は早すぎたものが多くあります。

ご参考になれば幸いです。

質問者からのお礼コメント

2011.12.31 10:33

大変詳細かつ平易な説明をありがとうございました。
この手の質問をすると回答数が少ないですが、内容の濃い回答ばかりで嬉しいです。
私があったひとは、その上司でしょうかね???ホンダ在籍ではないので。。。

その他の回答 (1件)

  • 後輪を操舵する為にアクチュエータ駆動を使用したアクティブ(能動)型4WSはHICASとして確かに日産が先駆けだった。しかしその後の逆位相4WSはメーカーが流行のように取り入れ、日産もHICASⅡとして搭載されている。しかし制御面では4WSに移行する方法として「比例制御→1次遅れ制御→1次進み制御」と進化して行くが、他メーカーは「比例制御→1次遅れ制御」までで「1次進み制御」まで進んだのは日産のSuperHICASだけだった。つまり日産も逆位相4WSはやっていた訳で、決して同位相のみだった訳では無い。因みにバイザッハ・アクスルはサスペンションへの入力に対してサスペンションリンク内で位相制御するパッシブ(受動)型で、後輪操舵に対してアクチュエータは装備されていない。自動車工業界の資料に依れば、アクティブ型4WSが市販され搭載されていたのは日本国内のみで有るらしい。ついでに云えば現在の車は、多かれ少なかれパッシブ型の4WSが組み込まれていると云える。

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