「NISSAN」エンブレムを再びまとった改良型スカイラインが、2019年7月16日に発表!
「プロパイロット2.0」を採用する同車は、世界で初めて同一車線内で「ハンズオフ(=手放し運転)」が可能となる。
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いわゆる“手放し”ばかりに注目が集まっているが、実はこの「プロパイロット2.0」には、ドライバーの居眠りを検知するシステムも搭載されている。
そして、同システムは単に居眠りを検知するだけでなく、ドライバーの反応がない場合は車を緊急停止させる機能も持っているのだ。
では、スカイラインの居眠り検知システムとは、具体的にどのような仕組みで、万一の時どう作動するのか? そして、他メーカーにも同じ機能を持つ車はあるのか? 居眠り検知の最前線を解説します。
文:吉川賢一
写真:NISSAN、Daimler
新型スカイラインの「居眠り検知システム」とは?
改良型スカイラインに搭載される「プロパイロット2.0」は、ドライバーモニターによって運転者の状況をモニタリング。これによって緊急停止が必要かどうかも判断する仕組みだ
まず、(スカイラインに実装されている)「ハンズオフ」のシーンを見てみよう。「プロパイロット2.0」で「ハンズオフ」をするには、ナビゲーションで目的地を設定し、複数車線がある高速道路を利用する必要がある。
高速本線に合流すると「プロパイロット2.0」のナビ連動ルート走行が開始され、“ドライバーが常に前方に注意し、常にハンドルを確実に操作できる状態にある限りにおいて”ハンズオフが可能となる。
この「プロパイロット2.0」では、ダッシュボード上に配置されたドライバーモニターカメラによって、ドライバーが前方を注視しているか、常にモニタリングしている。
そして、ドライバーのまぶたが閉じている、もしくはよそ見をしていると判断すると、警告音を鳴らす。
さらに、数回の警告を試みてもドライバーの反応がない場合には、ドライバーに緊急事態が発生したと判断し、緩やかに減速。最終的には自動停止まで行う。
万一、運転中に体調を崩し、意識を失った場合でも安全に停止してくれると考えると、非常に優秀で安心できる機能だ。
居眠り検知で緊急自動停止できる車は?
メルセデスの「アクティブエマージェンシーストップアシスト」。ドライバーが応答できない場合、メーター内には「Beginning emergency stop」と表示され、ハザードが点灯。緊急停止をおこなう
「プロパイロット2.0」のように、居眠りを検知して緊急自動ブレーキを作動させるシステムは、すでに他メーカーからも出ている。
アウディは、新型A8に「アウディAIトラフィックジャムパイロット」なる自動運転システムを搭載。
運転席に設置された小型カメラがドライバーの様子を常時モニタリングし、居眠りを検知した場合には段階を踏んで警告。
警告から10秒以内にドライバーがリクエストに応えない場合、さらに何度か警告をした上で、自動的に減速し、最終的にはブレーキをかけて車を車線内に自動停止し、ハザードを点灯するシステムだ。
また、レクサスの現行型LSに搭載されている「レクサスセーフティシステム+」には、「ドライバー異常時停車支援システム」と言われるものがある。
レーントレーシングアシスト中に、居眠りや急病で、ドライバーの無操作状態が一定時間続くと、警報を発報したのちに、ゆっくりと減速し、ハザードを点灯して路肩に自動停車する。
国産車ではレクサス LSにも「ドライバー異常時停車支援システム」が装備され、緊急時には自動停止が可能
メルセデスベンツのEクラス、Sクラスに搭載されている「アクティブエマージェンシーストップアシスト」では、ドライバーが居眠りなどで一定時間ハンドルから手を離すと、ステアリングシャフトにわずかにかかる捩じりトルクを感知することで異常を検知。警告灯と警告音によってハンドルを握るよう促す。
繰り返し警告しても反応がない場合は、車線を維持しながら減速して最終的には車を停止させる。減速中、60km/h以下ではハザードランプが点灯しながら後続車に注意を促し、車両停止後は自動的にパーキングブレーキがかかる。
さらに、BMWも高速道路での渋滞時(60km/h以下)に限り、自動運転レベル2相当のハンズオフ機能付き渋滞運転支援機能を、2019年夏以降の「3シリーズ」の他、「8シリーズ クーペ&カブリオレ」「新型X5」に搭載予定だ。
発売されたばかりの3シリーズや8シリーズにも、既にハンズオフ機能および、ドライバー監視システムが搭載されているが、現時点ではシステムオフの状態になっており、ソフトウェアのアップデートで対応するという。
そのほか国産車の居眠り検知はどうなっている?
【表】居眠り検知システムを持つ主な車種と機能の違い(ベストカーWeb調べ)。自動停止が可能な車種でもシステムの作動には条件がある
自動ブレーキまではしなくとも、「居眠りを検知するシステム」は、他にも多くのメーカーから登場している。
例えば、マツダ3にも居眠り運転検知のための「ドライバーモニタリング」が搭載されている。
これはセンターディスプレイ脇に組み込まれた赤外線カメラと赤外線LEDを使い、運転中のドライバーの状態をモニタリングし、まぶたの開き具合やまばたきの頻度、そして口や顔の向きなどを見て、居眠りやわき見を検知する。
このシステムでは、まだ「居眠り状態ではないがかなり眠そうな段階」で警報し、「居眠り状態といえる非常に眠そうな状況」では、より強い警告を発する。
ホンダのインサイトやCR-Vといったホンダセンシング装備車には、「ドライバー注意力モニター」という、居眠り運転や不注意運転を検知する機能を装備している。
走行時のステアリング操作から、居眠り運転や不注意運転を検知、状態に応じてマルチインフォメーション・ディスプレーに、注意力レベルの表示を行うとともに、音やステアリング振動で注意喚起し、休憩を促す。
また、スバルのフォレスターにも、居眠りや脇見運転を注意し警告する「ドライバーモニタリングシステム」が装備されている。
カメラはインパネ中央最上部にあるセンターディスプレイのバイザー内にあるが、カメラのレンズが見えない様にカバーで処理されている。このカメラによりドライバーの顔を検知して認識している。
◆ ◆ ◆
居眠りによる大事故が起きて社会問題となると、その時は誰しもが影響を受け、気を引き締めて運転をするようになる。しかし、時間が経つと、いつの間にか忘れ去られてしまう。
自動運転技術が完成されれば、事故を減らすことができるが、まだ今の段階では「生まれたての技術」であり、技術として成熟しきってはいない。
単純に「手放し運転ができて凄い!」というお粗末な感想ではなく、本当の意味で「人々の生活を豊かに」することができる機能なのか、我々メディアは冷静にチェックをしていくべきだ。
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