トヨタ カムリXLE:カムリは、ファミリーカーとして多くの機能を備え、お手頃価格であることからアメリカでは絶対的なベストセラーとなっている。だが、ドイツとヨーロッパではアメリカほどの人気はない。
「トヨタ カムリ」は世界的な大成功車である。長年にわたり、どの大陸においてもこれほど成功したセダンはほとんどない。この上級ミッドレンジモデルが活躍の場を持たないのはヨーロッパ、特にドイツだけである。最新モデルの試乗をすれば、それがなぜなのかがよく分かる。
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北米では、ケンタッキー州ジョージタウンで生産されている「トヨタ カムリ」は、子供でも知っている車だ。メガヒット車である「フォードF-150」や、その無骨なピックアップトラックの仲間である「シボレー シルバラード」、「ダッジ ラム1500」と並んで、「カムリ」は長年にわたり米国市場で最も売れているモデルのひとつとなっている。
昨年、「カムリ」は再び、あらゆるメーカーのセダンの中で最も売れた車となり、約30万台を販売した。「テスラ モデル3」やその弟分である「カローラ」を大きく引き離した。この日米のサクセスストーリーは数十年もさかのぼり、2023年には世界販売台数で7位にまで上り詰めた。
アメリカでのトヨタ カムリの価格は28,400ドル(約430万円)からとなっている。「カムリ」が成功を収めている理由は数多くある。「カムリ」は幅広い中流階級向けのアメリカ車として顧客に受け入れられているのだ。広々とした車内、手頃な価格、経済的な燃費、特にハイブリッド車としての燃費、そして、スタイリッシュと強靭さを併せ持つイメージが定着していることなどが要因だ。長年にわたり、「カムリ」は6気筒エンジン搭載車として最高の選択肢と考えられてきた。
退屈さからの脱却現行モデルは、内外装の退屈さをすべて払拭した。オプションのコントラストルーフが4.92mの長さを誇るサルーンをシックに見せるだけではない。4人、あるいは5人乗りのゆとりあるスペース、12.3インチの大型ディスプレイが装備され、十分な快適性能を有している。
前席も後席も快適で、「カムリ」には多数の収納スペースと、お気に入りのガジェットを接続できるUSBポートが装備されている。ドライバーにとって最も重要な情報は、整然としたインパネだけでなく、調整可能なヘッドアップディスプレイでも入手できる。一方、豪華版の「XLE」でさえ、電動リヤブラインド、リヤシートのヒーター、リヤの独立したエアコンはオプションにして価格の上昇を抑えている。
トヨタ カムリは内外装ともに退屈な雰囲気を一切感じさせない。「トヨタ カムリ」にもスポーティーな外観と性能が備わった。ついに「プリウス」の後を追うように、アメリカの豪雪地帯の顧客が長年求めていた四輪駆動システムが、追加料金1,500ドル(約23万円)で利用可能になった。
カムリのハイブリッドシステムは184馬力の2.5リッター4気筒自然吸気エンジンと100kW/136馬力/208Nmの電動モーターによってシステム最高出力165kW/225馬力を発揮する。四輪駆動モデルには、リヤアクスルに30kW/45馬力/84Nmの電動モーターが搭載されており、システム最大出力を232馬力に引き上げる。
欧州で生産されているプラグインハイブリッド車の多くは、電力のみで100km以上の距離を走行できるが、「トヨタ カムリ」はバッテリーパックが小型であるため、市街地や後退時の短い距離しか電気のみで走行できない。しかし、電動モジュールは、急加速時のサポートと、市街地の低速走行時や単調な田舎道では、燃料消費を大幅に削減するのに十分な性能を持っている。
5世代目となるカムリのハイブリッドの性能は、十分満足のいくものだ。トヨタは、1ガロンあたり41マイル(約66km)の標準燃費を保証しており、これはヨーロッパの100kmあたり5.7リッター(リッターあたり17.5km)の燃費に相当する。さらに、トヨタの開発者は、この性能が最低オクタン価でも実現できることを誇りに思っている。87オクタン燃料でも問題なく走ることができるのだ。
4気筒エンジンが静かに作動5世代目となるカムリの性能は、4気筒エンジンが静かに作動し、十分満足のいくものとなっている。最高級モデルの「XSE」に装備された防音ガラスにより遮音性が大幅に改善されたこともあり、快適なドライブが楽しめる。
しかし、よりダイナミックな、あるいはスポーティーな走りを求める人にとっては、無段変速機CVTの限界に直面することになるだろう。これは実用燃費を達成するには最適だが、選択した走行プログラムに関わらず、ドライバーの推進力に対する熱望と完璧な燃費サイクルを両立させるのは困難だ。また、4気筒エンジンはすぐにうるさくなり、2.5リッターの排気量にもかかわらず、不快なほどぎこちない音を立てる。
「トヨタ カムリ」がスポーティーな性能よりも快適性を優先しているのは、顧客層や主な市場、駆動システムを考慮すれば当然のことである。かつてはスムーズな走りを見せていた6気筒エンジンが、姿を消していることも理由のひとつである。ステアリングは正確かつ軽快で、ブレーキは快適性を強調し、スプリングとダンパーのチューニングもゆったりとしたクルーズを最優先している。
ドイツでは、トヨタ カムリは依然として一部の人々の間で人気がある車である。最上級モデルに標準装備されている19インチホイールに235/40のタイヤは見た目は良いが、全輪駆動の全天候型バージョンは乗り心地を犠牲にしている。それでも、「カムリ」は長距離の移動さえも楽しくしてくれる、ゆったりとしたクルーザーである。しかし、道が曲がりくねっていると、この日米共同開発の車は深刻なアンダーステアに悩まされる。
「トヨタ カムリ」は、手頃な価格でファミリーカーとしての機能性を十分に備えているという点で、成功を収めている。「カムリLE」のベースモデルは、装備が貧弱であるものの、米国国内市場では28,400ドル(約430万円)からとなっている。さらに贅沢な装備が施され、それぞれ33,400ドル(約507万円)と34,600ドル(約525万円)の価格設定となっている上位モデルの「XLE」と「XSE」は、特に人気が高い。
レザーシートのヒーター、サウンドシステム、19インチアルミホイール、電動パノラマルーフを希望する場合は、4,075ドル(約62万円)のプレミアムパッケージを注文しなければならず、4万ドル(約610万円)の壁を突破する。
Text: Stefan GrundhoffPhoto: Toyota
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みんなのコメント
ただ、ドイツや英国でのあのクラスはカンパニーカー需要が大きくて、欧州では日本ブランドはフリート(法人所有)では弱いので、その点は考慮する必要はある。
個人に買ってもらっているだけとすればまあまあ?