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米国は2030年に新車の電動化率最大50%へ! 電動車にHVは含まれず!? どうする日本勢!

掲載 更新 36
米国は2030年に新車の電動化率最大50%へ! 電動車にHVは含まれず!? どうする日本勢!

■アメリカが2030年に新車販売の約半分を電動化する!?

 アメリカのジョー・バイデン大統領は2021年8月5日、「2030年までにアメリカ国内販売の新車40%から50%を電動化」とする大統領令に署名しました。

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 これと並行するかたちで、ゼネラルモーターズ(GM)、フォード、そしてFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)とPSA(グループプジョー)が2021年1月に融合して誕生したステランティスそれぞれが声明を発表し、大統領令に沿って電動化の推進を加速させることを明らかにしています。

 このうちGMの声明文では、電動車の内訳としてバッテリーエレクトリック(EV)、燃料電池車(FCV)、さらにプラグインハイブリッド車(PHEV)を含めるとの記載があり、ハイブリッド車は除外されました。

 ハイブリッド車はトヨタを始めとする日本車メーカーにとっての技術の屋台骨ですし、日本車メーカーにとってのアメリカ市場は中国と並ぶ得意先でもあるので、今後の事業計画に頭を悩ますことになりそうです。

 また、電動化率40%から50%としている点については、アメリカ市場ではSUVやピックアップトラックなどライトトラックと呼ばれる中大型車が市場の約7割を占めており、乗用車と比べて電池容量が大きくなるなど電動化に対するコストの軽減をおこなうことへの配慮と、従来型のSUVを好む消費者の理解を得るために、EVシフトにはある程度の時間が必要とのメーカー側の判断があったのではないでしょうか。

 アメリカの電動化政策について振り返ってみると、カリフォルニア州が1990年に制定した「ZEV法(ゼロエミッションヴィークル規制法)」が基盤となっています。これを各州が独自に採用するという変則的な形が続いてきました。

 日本車メーカーも1990年代から2010年代にかけて、トヨタは「RAV4 EV」、ホンダは「フィットEV」、マツダは「デミオEV」などを導入してきましたが、当時の各社社長は「グローバルで見てEVはZEVありき」「補助金頼みでEV本格普及は来ない」という発言を繰り返してきました。

 そうした「ZEVありき体制」に異議を申し立てたのが、ドナルド・トランプ前大統領です。

 就任早々「連邦環境局(EPA)とカリフォルニア州環境局のダブルスタンダードを見直す」と発言し、その動向が注目されてきました。

 また、オバマ政権で確定していた、今後の燃費基準についても中大型のSUVやピックアップトラックに対して不利だという観点から基準緩和の動きに出てきたため、大手日本車メーカー幹部は「政権交代で我々のEV開発計画も大幅に見直すべきか、これからじっくり見ていく必要がある」と、トランプ政権での強権ともいえる電動化戦略に対する方針転換について慎重な姿勢を崩しませんでした。

■欧州EVシフトと日本市場への影響は?

 こうした状況が2020年に入って大きく変化します。

 時系列で見ると、まずカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は2020年9月、「2035年までに州内で発売する新車でICE(インターナルコンバッションエンジン:内燃機関)を廃止する」と発表しています(ICEにハイブリッド車が含まれるかどうかの明言は避けました)。

 また、中大型バス・トラックについてもEVシフトを強力に進める姿勢を示しています。

 このようなカリフォルニア州の動きに対して、バイデン政権ではこれまで目立った発言はありませんでした。

 一方ヨーロッパでは、2021年に入ってボルボやジャガーなどプレミアムブランドのEVメーカー宣言が相次いでおり、欧州連合(EU)の執務機関である欧州委員会(EC)のフォン・デア・ライアン委員長は2021年7月14日、欧州グリーンディール政策の一環として「2035年までにEV域内販売の新車100%電動化」を発表。

 ここでの電動化は、内燃機関をともなうパワートレインを除外していることから、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車すら販売が禁止されると解釈できるという、自動車メーカーにとって厳しい内容となりました。

 また、ECの発表を受けるかのように、メルセデス・ベンツは2035年に完全なEVシフトを発表しています。

 こうした欧米での急激なEVシフトの背景には、ESG投資の影響が色濃くあります。

 経済産業省によると、ESG投資とは、従来の財務情報だけではなく、環境(エンバイロンメント)、社会(ソーシャル)、企業統治(ガバナンス)要素も考慮した投資のことを指します。

 国連の持続可能な開発目標(SDGs)と合わせて、企業経営の新たなる基盤として世界的な注目が集まっています。

 日本でも、政府は2020年12月にESG投資を重視した「グリーン成長戦略」を公表し、そのなかで「遅くとも2035年までに軽を含めて新車100%電動化」としていますが、この電動化にはハイブリッド車も含まれるという解釈だと考えられています。

 なぜならば、日本における現在の新車市場では、ハイブリッド車が約4割を占めるという、欧米市場とは異なるハイブリッド大国だからです。

 このようなハイブリッド大国という現状が、欧米で一気に加速し始めたEVシフトに対する足かせになる危険性がないとはいい切れない状況になってきました。

 日系自動車メーカー各社の幹部は、決算報告や次世代技術に関する方針発表会の場で
「電動化は国や地域の電力事情や社会情勢を考慮する」との姿勢を貫いてきましたが、欧米でのESG投資を出口戦略とした経済活動活性化を狙う政治的判断がなされるなか、日本車メーカー各社は日本市場も含めてグローバルでの現実解を探る動きを強める必要があります。

 各国や各地域の政治的な動きが、日本のユーザーにどのような影響を及ぼすのか、今後の日本車メーカーや日本政府の動きが注目されます。

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みんなのコメント

36件
  • メインの北米中国でハイブリッド対象外になるなら日本車メーカーだって普通に切り替えるだけの話だろ。
  • っと言うか今迄のレシプロの台数分に変わってEV・FCVオンリーに出来るとでも言うのか?
    まず、電池の調達間に合わないだろ
    何処の国も日本自動車メーカーに自国の国内市場を荒らされたくってのは解るが調達出来ない事実を他所にいい加減な事を言うな~
    インフラだってそうで今迄ガソリンで補っていたエネルギー分の電力を今迄の送電線で事は足りない
    ちゃんと考えているんだろうか?
    実際、欧州では内燃機禁止の方針に対して国民から不満の声が上がっている
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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