日本仕様は5人乗りで日常使用も問題なし
トヨタはメディア向けに開催した「TOYOTA SUVシリーズ PRイベント」で13年ぶりにハイラックスの日本導入を発表、9月12日から発売を開始した。
日本においてピックアップトラック市場は低迷している。1968年の発売開始以来、約180の国や地域で販売されてきたハイラックスではあるが、6代目モデルは2004年をもって販売が終了しており、新型の7代目は13年のブランクを乗り越えての復活となったのだ。
じつはこの新型ハイラックスは、生産国であるタイのほかオーストラリアでは2015年5月からすでに発売が開始されている。またタイではハイラックス・レボのネーミングが与えられ、日本導入モデルのダブルキャブのほかシングルキャブ、エクストラキャブ(スマートキャブ)の3タイプを設定している。
搭載エンジンは、グローバル市場では2.4リッター直4ディーゼルターボ(2GD-FTV)のほか2.8リッター直4ディーゼルターボ(1GD-FTV)、2.7リッター直4ガソリン(2TR-FE)を設定するが、日本では2.4リッター直4ディーゼルターボ+6速AT、全車パートタイム4WDの組み合わせのみのラインアップとなる。
もちろん過酷な使用環境にも負けない高剛性構造のラダーフレームを採用するほか、振動減衰を高めるサスペンションによりオンロード・オフロードともに優れた走行安定性と乗り心地を確保している。
実際に、会場となったMEGA WEB内の特設コースにはモーグルやバンク、階段が用意され、助手席から新型ハイラックスのオフロード性能を体感することができた。30度の傾斜を体験できるバンクでは、リヤデフロック(Zグレードに標準装備)を作動させることで、片方のタイヤが完全に浮き上がった状態でも反対の車輪に駆動を伝え、車内にいるとクルマ横転するのでは? と思うような状況でも、難なくバンクをクリアすることができてしまった。
ほかにもトランスファースイッチの「H4」「L4」を選択すれば、雪道などの悪路でスリップしても、空転した車輪にブレーキをかけて残りの車輪に駆動力を配分して走行安定性を確保するアクティブトラクションコントロール(Zグレードに標準装備)や、低μ路の下り坂を一定の低車速をキープするダウンヒルアシストコントロール(Zグレードに標準装備)によって、安心の走行安定性を発揮してくれる。
ライフスタイルの多様化に合わせて、今SUV(Sports Utility Vehicle)の人気は高い。トヨタCH-Rやハリアー、ホンダ・ヴェゼルや日産エクストレイル、スバル・フォレスターやXVなど、販売は好調だ。
その理由は、高い車高による運転のしやすさやスポーティなスタイリング、ラゲッジルームのユーティリティ性などが挙げられるが、ピックアップトラックの新型ハイラックスも人気SUVの牙城を崩すようなヒットを生む、ポテンシャルを秘めている。
もちろん所有するうえでハードルの高さもある。全長5335mm×全幅1855mmのボディサイズは駐車場環境や住居する地域は限定されるし、普通貨物自動車なので1ナンバー登録となるため、1年ごとに車検を受ける必要があり、高速料金は2割高となる。
ただし、毎年の車検になるからといって重量税、自賠責保険が割高になるのでは? と思われるかもしれないが、同排気量で1ナンバーと3ナンバーを比較すると重量税は安く、自賠責保険は高くなるが、自動車税が圧倒的に安くなるので、トータルで考えると決して維持費が高騰することはない。その意味でも、3ナンバー車に乗る感覚で所有できるといえる。
トヨタが販売目標台数を2000台/年、としていることを考えると、上記の人気SUVのような登録台数に迫るとは考えにくい。しかし、日本導入されたダブルキャブは5名乗員なので、多くのSUVモデルと変わらない居住性を備えている。
荷台はもちろん雨ざらしになるが、純正アクセサリーのソフトトノカバーが選べるユーティリティパッケージや、TRDセレクションのハードトノカバーを選ぶことで、心配無用だ。逆に汚れを気にすることなく遊びのツールをラフに積載できるので、利便性は高い。
個人的にオススメしたいのは、カスタマイズだ。PRイベントのトークショーゲストとして登場したクリテイティブディレクターの小橋賢児さんは「(ハイラックスで)オン・オフを切り替えられるようなライフスタイルの変化を楽しんでほしい」と話したが、クルマいじりのカスタマイズはもちろん、ライフスタイルのカスタマイズまで、新型ハイラックスは変化を楽しめる格好のツールになってくれそうだ。
車両本体価格:「X」326.7万円/「Z」374.22万円
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