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オープンカー なぜ電動開閉式ハードトップ減少? ソフトトップ復活の背景

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オープンカー なぜ電動開閉式ハードトップ減少? ソフトトップ復活の背景

もくじ

ー 日本車の電動開閉式ハードトップは絶滅
ー デザイナー語る 電動開閉式ハードトップ減少 ソフトトップ復活の理由
ー ハードトップにも長所 ソフト/ハードの代わりも
ー ソフトトップならではの情緒も大切にしたい
ー 静かに増えてきた求めやすいソフトトップのバリエーション

なぜオープンカーは激減したのか SUVの影響? メーカーの見解 解決策は

日本車の電動開閉式ハードトップは絶滅

クルマ好きが欲しがるカテゴリーにオープンモデルがある。簡単にいえば屋根が開閉するクルマだが、天気の良い日に開いた状態で走ると、運転感覚がとても楽しい。

走り慣れた自宅近くの道も、印象が大きく変わる。日常的な普通の移動をドライブに変えるのが、オープンモデルといえるだろう。

第二次世界大戦前の乗用車は、大半がフレーム構造だから、4ドアでもフェートンと呼ばれるコンバーチブルのオープンモデルがあった。職業ドライバーが運転する高級車には、前席がソフトトップのオープン、後席はハードトップのクローズドボディという形状も見られた。馬車に準じたスタイルでもあるだろう。

近年になってモノコックボディが中心になると、フェートンのような4ドアのオープンモデルは大幅に減り、2ドアボディになった。

それでもロードスターやスパイダーと呼ばれる2シーターのオープンスポーツカーと、後席を備えた4シーターのコンバーチブルやカブリオレに大別される。

2シーターのスポーツカーは、日本車ならマツダ・ロードスター、輸入車ならポルシェ・ボクスター、BMW Z4などがお馴染みだ。

4シーターのオープンモデルは、日本車では皆無になったが輸入車は豊富だ。コンパクトなミニから、メルセデス・ベンツのC/Eクラス、BMW 2/4シリーズまで、幅広くラインナップしている。

最近は世界的に2ドアのクルマが減少する傾向にあるが、輸入車も含めると、オープンモデルの選択肢は今でも意外に残っている。

なぜそうなったのか? デザイナーに聞いてみた。

デザイナー語る 電動開閉式ハードトップ減少 ソフトトップ復活の理由

以前のロードスターやカブリオレは、すべてソフトトップだったが、その後に電動開閉式ハードトップが増えた。日本車では2002年にコペンが軽自動車ながら電動開閉式ハードトップを装着して話題になり、今は2代目が販売されている。

このほかの電動開閉ハードトップには、2001年に発売された最終型ソアラ(後にレクサスSCに変更)、2009年登場の先代レクサスIS C、ロードスターは先代型と現行型に電動開閉ハードトップを用意する。

それでも最近は、BMW 4シリーズのカブリオレが、電動開閉式ハードトップからソフトトップに変わる。同じくBMWのZ4もソフトトップだ。電動開閉式ハードトップの需要が一巡して、ソフトトップに回帰する傾向も見られるようになった。

クルマのデザイナーにこの傾向について尋ねると、電動格納式ハードトップの課題について説明してくれた。

「電動格納式のハードトップは、狭いスペースに、ハードトップを折り曲げるようにして畳み込むのが難しいのです」

「スペースを確保するためにホイールベース(前輪と後輪の間隔)が伸びたり、あるいは閉めた時の外観がいまひとつカッコ良くないこともあります」という。

天井やピラー(柱)に切れ目が入ることも、車種によっては電動開閉ハードトップの見栄えを損ねてしまう。

ハードトップにも長所 ソフト/ハードの代わりも

いっぽう電動開閉式ハードトップは、ソフトトップに比べて閉めた状態で停車する時のセキュリティが高い。ナイフでソフトトップを傷つけられたりする心配が少ないからだ。

また閉めた状態の遮音性や断熱性も優れ、ボディ剛性を高める効果もある。その代わりハードトップの格納スペースや閉めた時の外観に、難しい面が生じるわけだ。

現行マツダ・ロードスターは、先代型に比べると全長とホイールベースを短く抑えた。電動開閉式ハードトップを成立させにくくなったが、先代型で高い人気を得ていたから、電動開閉ハードトップを追加しないわけにはいかない。

そこで現行型はRF(リトラクタブル・ファストバック)としている。ハードトップの収納スペースが狭まったから、リアピラーは残し、天井部分のみを格納する方式を採用した。商品化されるまでの開発には困難が伴ったが、ロードスターRFは巧みに開放感を演出して外観もカッコイイ。

そしてスープラにも当てはまる話だが、今の2シータースポーツカーは車種が減って少数精鋭になり、各車とも従来よりも走行性能に磨きを掛けるようになった。

そうなるとボディ剛性を高めたりトレッド(左右のホイールの間隔)を拡大して、ホイールベースは短く抑える。十分な走行安定性が担保されていれば(ここが重要)、ホイールベースは短い方が回頭性を向上させてスポーティな運転感覚を得られるからだ。

今のスポーツカーはこのようなトレンドだから、トップを格納するスペースがますます成約を受けてしまう。そうなるとハードトップよりもソフトトップの方が設計しやすいわけだ。

ソフトトップならではの情緒も大切にしたい

電動開閉式ハードトップは、閉めた状態ではクローズドクーペと同様の快適性が得られる。そこが魅力だが、逆にいえば、閉めた状態では外観や内装が普通のクーペになってしまう。

その点でソフトトップには独特の情緒がある。例えばマツダ・ロードスターなら、ソフトトップがブラックだから、ボディカラーはソウルレッドを選ぶ。そうなればコントラストを楽しむことができる。

メルセデス・ベンツCクラスのカブリオレには、ソフトトップに3種類の色彩が用意され、ダークブルー/ダークレッド/ブラックから選択できる。ホワイトのボディにダークレッドのソフトトップは、定番ではあるがオシャレだと思う。シルバーのボディに、ブラックのソフトトップという組み合わせも渋い。

こういったトップを閉めている時の情緒は、電動開閉式ハードトップでは味わい難いものだ。

雨が降っている時はさらに情緒が盛り上がる。ソフトトップは濡れて、下側のスチールボディは水を弾く。街灯に照らされた夜なら、愛車が多彩な表情を見せるだろう。

ソフトトップは短いホイールベースに対応できるだけでなく、閉めた時の見栄えにも魅力があるわけだ。

静かに増えてきた求めやすいソフトトップのバリエーション

ソフトトップは、日本車ではロードスターが定番だが、S660も巻取式ではあるがソフトトップを装着している。

輸入車では先に挙げたミニ、BMW 2シリーズ、アウディTTなどに、コンパクトで比較的購入のしやすい(といっても相応に高価だが)ソフトトップ装着車が用意されている。

ソフトトップはハードトップに比べると、いくぶんカジュアルに感じられるかもしれないが、意外にビジネスに適しているかも知れない。スーツ姿でソフトトップを降ろしたロードスターやミニコンバーチブルを乗りこなすのは、なかなかギャップがカッコイイと思う。

本稿を執筆していたら、何だかソフトトップが欲しくなってきました。

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