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ボクらのヤングタイマー列伝:第16回『フィアット・ティーポ』フィアット実用車の良さを凝縮した”フィアット大吟醸”のようなクルマ

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ボクらのヤングタイマー列伝:第16回『フィアット・ティーポ』フィアット実用車の良さを凝縮した”フィアット大吟醸”のようなクルマ

遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる"ヤングタイマー"なクルマを振り返るのがこのコーナー。今回は久々のイタリア車! そして実はまだ登場していなかったフィアットの中から、パンダでもウーノでもなくて、この連載らしくティーポが登場ですヨ!

ボクらのヤングタイマー列伝第15回『オートラマ』の記事はコチラから

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フィアット実用車の良さを凝縮した"フィアット大吟醸"のようなクルマです!

フィアット・ティーポが登場したのは1988年。そう、何と30年以上も前! つい最近出たような気もしますが、それだけI・DE・Aによるクリーンなデザインが古くなっていないこと、そしてエポックメイキングなクルマだったことの証明かもしれません。そしてティーポというクルマは、ヤングタイマーなイタリア車を知る者には、ちょっと"特別"な存在なのです。

フィアットは昔からグループ内で兄弟車を持っていましたが、ティーポはもっと根幹的なベース車となることが画策されました。"Tipo"とは伊語で"Type"を意味しますが、まさに車名がこのクルマの特徴を示していました。何しろティーポをベースにした『ティーポ2/3プロジェクト』で生まれたモデルの数は、実に10種類以上! 車種はフィアットのみならず、1986年にフィアット傘下となったアルファロメオGTVスパイダー(916系)、145、155を含み、そしてランチアの2代目デルタとそのセダンデドラがこのプロジェクトによって生まれているんです。

そして本家ティーポは、"巨人"フォルクスワーゲンゴルフに対抗すべくフィアットが送り込んだCセグ車、リトモの後継として、同様の使命を持つ重要なモデルでした。それだけに気合いが入って開発されており、パッケージングに優れ乗り味も良好という、フィアット実用車の良さを凝縮した"フィアット大吟醸"のようなクルマだったのです。そのためティーポは欧州市場で好評をもって迎え入れられました。

ここまではティーポの"特別さ"をお伝えしましたが、実際はヤングタイマー時代の"いろいろな意味での"イタリア車らしさを残していたモデルでもありました。当時、ゴルフに立ち向かうにはあと一歩だなと正直に思いましたっけ。というのも、1990年代に後輩がティーポのスポーツ版2.0i.e.16V(セディチヴァルヴォレって読むとツウっぽい!)を中古で買ったのでかなり乗せてもらったのですが、あまりいい記憶がないのです……(涙)。大きなトラブルはなかったはずですが、古いランプレディユニットを16V化した2リッターエンジンは、額面145psもあるの? という性能。エアコンをかけると低速トルクのスカスカさが倍増して、その印象を強くしました。ランプレディユニットの名誉のために書けば、名エンジンの称号にふさわしい官能性とイタリア車らしいサウンドはしびれるほど! でもいかんせん、もうさすがにあの頃でも古すぎたのでしょう……。

ですが、そういうクルマほど記憶に残るもの。日本導入当初のグレードがデジタルメーターを採用していた『DGT』だったことなど、その多くは今となっては素敵な思い出です。そう、なんだかんだで、ぼくはティーポというクルマが大好きなのでありました!

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みんなのコメント

4件
  • 問題は、日本でのフィアットの輸入元がそれまでのJAXやチェッカーモータースから、住友商事が設立したサミットモータースに変わったことだった。それだけならまだいいのだけど、サミットはこの難しい商品をおぼつかない調子で一年少々扱っただけで撤退してしまう。これを期に、80年代の外車バブルの中心にいたはずのフィアットはその座から転げ落ち、現行チンクェチェントの登場まで長い長いトンネルに入ってしまう。

    なぜそうなったのかは明確にされていない。が、フィアットは製品の信頼性を上げるために日本の部品メーカーとビジネスしたがっており、そこで住商と組んだのではないかと思う。住友系の会社であるマツダがランチア/アウトビアンキを扱ったのもその一環だろう。実際、サミットの後を受けてスタートした日本法人FARMJはそういった日本での営業活動にご執心で、国内でフィアット車を売るのは二の次三の次だった。そしてランチアは……。
  • レガータの後継であるテムプラは、このティーポをベースにしています。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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