中国市場で苦境にあえぐマツダを救えるか?
マツダが中国市場でマツダ6の後継となる新型EVセダン「EZ-6」の正式発売をスタートしました。中国メーカーのプラットフォームを活用して、中国市場撤退するかどうかの存亡をかけた一台となる可能性を解説します。
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まず、マツダの2023年シーズンにおけるグローバル販売台数は124万台と、2022年シーズンと比較しても11.5%もの販売台数増加を記録しました。なかでもマツダの販売総数の3割を占める北米市場は前年比23%ものプラス成長と好調です。
他方で厳しい販売動向が中国市場です。2023年シーズンの中国販売は8.5万台と、前年比21.4%ものマイナス成長です。
次に、中国国内の車種別の販売動向を確認していきましょう。現在マツダは、マツダ3、CX-5、CX-50、そしてCX−30という4車種をラインアップしています。2024年初頭まではCX-30のEVバージョンをラインアップしていたものの、販売が低迷していたことを受けて販売終了に追いやられています。
もっとも売れ筋のマツダ3のセダンは8万5900元、日本円で188万円からとなっていますが、日本国内では260万円で発売されています。やはりトヨタ、ホンダ、日産と同様にかなりの値下げを強いられている様子が見て取れます。
そしてもっとも重要なことは、CX-30 EVの販売を停止してしまっていることから、EVのラインアップがない状況であり、中国市場では販売総数のうちの一定割合をバッテリーEVかPHEVという新エネルギー車にしなければならず、早急に新エネルギー車をラインアップする必要性に迫られていたわけです。
そして、このような背景において、マツダが中国市場において新型EVセダンである「EZ-6」の発売をスタートさせました。このEZ-6について押さえるべきは、マツダが独自に開発したEVではなく、合弁先であるChanganのEVプラットフォームを流用しているという点です。
ChanganのEV専門ブランドであるDeepalが現在発売中のSL03(最新モデルとしてL07も登場)とプラットフォームを完全に共有しています。全長4921mm、全幅1890mm、全高1485mm、ホイールベースが2895mmという寸法、およびレンジエクステンダーEVとバッテリーEVをそれぞれラインアップするという点も含めて、Deepal SL03の兄弟車となります。
いわゆるOEM供給車であり、やはりマツダが単独で、競争力があり、なおかつ中国市場の最新動向にキャッチアップしたEVを開発することが難しいという実態が見て取れます。
その一方で、合弁先であるChanganのDeepal SL03の兄弟車として期待できるのが、レンジエクステンダーEV(EREV)をラインアップできるという点です。現在中国市場では、急速にEREV市場が盛り上がっており、BEVとともに幅広い需要を開拓することが可能です。実際にSL03はBEVよりもEREVのほうが売れているので、EZ-6の販売ボリュームという点でも期待できます。
中国市場に合わせた装備を採用
EZ-6のEV性能を見ていきましょう。まず、BEVバージョンは68.8kWhのLFPバッテリーを搭載し、航続距離はCLTC基準で600kmを実現。充電性能も3C級の充電性能を実現し、15分間で300km分の航続距離を充電可能です。また、3.3kWものV2L機能にも対応しています。収納スペースも479リットルのハッチバックスタイルのトランクとともに、BEVバージョンの場合、ボンネット下に99リットルものトランクも確保しています。
さらに、Changan独自プラットフォームのEPAプラットフォームを採用しているため、最小回転半径も5.6mと、全長4900mm超えの車両としては十分な小まわり性能を実現。緊急回避性能を示すエルクテストでも時速80kmをクリアしており、これは高性能スポーツセダンに匹敵する操縦性です。
また、装備内容も中国市場に特化した装備を網羅しています。インテリアデザインで目を引くのは、車両中央に配置された14.6インチのタッチスクリーンとドライバー向けの50インチのARヘッドアップディスプレイです。そして、それらのインフォテインメントシステムを駆動するのが、中国市場における主流のQualcomm Snapdragon 8155プロセッサーです。
さらに、シートヒーター、シートクーラー、シートマッサージを完備しながら、ナッパレザーを採用することでプレミアムセグメント級の高級感を演出。そのうえで64色ものアンビエントライト、ソニー製の14スピーカーシステム、1.878平方メートルに達するサンシェード付きの巨大なガラスルーフも標準搭載。
運転支援も、5つのカメラ、5つのミリ波レーダー、12の超音波センサーを搭載。よって、レベル2ADASとともに、自動駐車機能など、中国の大衆セグメントにおいて必須となる運転支援を網羅しています。そして、中国市場で重要視されている安全性能について、ボディも高張力鋼の配合割合が86%に到達。エアバッグも9つと、ハイエンドセグメントに匹敵する充実の安全装備です。
肝心の価格設定について、BEVが15.98万元(日本円で342万円)からのスタートです。EV航続距離130kmを実現するEREVは13.98万元(日本円で299万円)。EV航続距離200kmの上級グレードの場合は14.98万元(日本円で320万円)と、競争力のある値段設定を実現してきました。
たとえば、日本勢のBEVセダンであるトヨタbZ3は、航続距離517kmのエントリーグレードが16.98万元(日本円で363万円)からのスタート。現状、日本円で100万円以上の大幅値下げを行っているものの、それでも競争力のある値段設定を実現しています。
そして現在、EVセダンのベンチマークであり、同じくBEVとPHEVを両方ラインアップするBYD HanのBEVは17.98万元から、PHEVも16.58万元からであり、とくにHanのPHEVはEV航続距離125kmと、装備内容を比較してみても、じつは今回のEZ-6はコスト競争力でもかなりいい勝負ができそうです。
このように、現在中国市場で極めて厳しい販売状況に追いやられているマツダ。その新型EVセダンEZ-6は、中国市場で現在ラインアップするべきEREVをラインアップしながら、安全性や快適装備にも抜かりがないことで、競合と比較しても競争力のある様子が見て取れます。
もしEZ-6の販売が低迷した場合は、間違いなくマツダの中国市場撤退論が現実を帯び始めるでしょう。マツダ6の後継モデルともいえるEZ-6が成功するかどうかこそ、中国市場におけるマツダの存亡を占うといえるのです。
果たしてEZ-6が成功を収めるのか、それともCX-30 EVのように不発に終わるのか。マツダの中国市場の運命を決定づける最重要モデルとして、販売動向には目が離せません。
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みんなのコメント
ずっと前から、公共交通で実際の市場で実験的に導入してきて、膨大なデータを収集できているから。
悔しいけど、認めざるを得ない。
中国同様、日本でも188万で売ったら
ソコソコ売れるんじゃない?