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「日光いろは坂でホンダ車が何台も止まる事件」の真相は? 有力な4つの原因を解説してみた

掲載 更新 101
「日光いろは坂でホンダ車が何台も止まる事件」の真相は? 有力な4つの原因を解説してみた

少々旧聞に付すところもありますが、10月末に「日光いろは坂」で複数のホンダ車が動けなくなっていたという投稿がSNSで話題となりました。いろは坂は上りと下りでそれぞれ一方通行で、上り側は7km弱の長さですが、そこに何台ものホンダ車が止まっていたことで話題となったわけです。

個々のドライバーに話を聞いたわけではないので断言はできませんが、違法駐車をしていたという話ではなく、故障で動けなくなったと考えられます。

>>ホンダ フィットハイブリッド(現行モデル)のユーザーレビューをチェックする

SNSで確認できた車種は、「フィット」(3代目)、「ヴェゼル」(初代)、「シャトル」など、いずれもハイブリッドのエンブレムが確認できます。つまり2010年代にホンダが小型車用ハイブリッドシステムとして生み出した「スポーツハイブリッドi-DCD」を採用したモデルが、軒並み止まっていたということなのでしょう。

>>フィット(i-DCD採用モデル・販売終了)のカタログ情報をチェックする
>>初代ヴェゼルハイブリッド(販売終了)のカタログ情報をチェックする
>>シャトルハイブリッドのカタログ情報をチェックする

そうなると、i-DCDのシステムになんらかの原因があったという仮説が成り立ちます。そのi-DCDといえば、3代目フィットが2013年のデビュー直後にリコールを連発したことを覚えている人も多いかもしれません。

当時、フィットがリコール対応となった不具合を振り返ると、次のようなものが思い出させます。

1:低車速でエンストしてしまう
「7速DCT型自動変速機を搭載した車両において、エンジン制御ユニット(ECU)のプログラムが不適切なため、低車速でアクセルをオフにした際、エンジンにかかるモーターの充電負荷よりエンジン出力が低いため、エンジン回転数が低下することがあります。そのため、エンジンの回転が不安定になりエンストするおそれがあります。』

2:クラッチに異常があると誤検知して動けなくなる
『7速DCT型自動変速機を搭載した車両において、ハイドロスタティッククラッチアクチュエーター(HCA)のプログラムが不適切なため、クラッチの締結力を制御するピストンの移動量を検出するセンサーが移動量を誤検知することがあります。そのため、HCA内部異常と判断し、メーターディスプレイのトランスミッション警告灯が点滅し、「トランスミッション点検」の表示が点灯するとともに、発進や後退ができなくなるおそれがあります』

ソース:https://www.honda.co.jp/recall/auto/info/131220_3278.html

・・・いずれも、渋滞している急坂という観光シーズンのいろは坂で止まってしまいそうな内容ですが、これらは初期にリコールが出ているので全車がプログラム修正などで対応しているはず。その後に生産されたi-DCD搭載車についても当然ながら対策が施されていますから、2022年に同様のトラブルが起きるというのは考えづらいのもまた事実です。

また、リコールほどの強制力はないものの、メーカーが無償修理をする場合にサービスキャンペーンも出ています。たとえばフィットやヴェゼルには2014年に次のようなサービスキャンペーンが出ています。

3:実際にクラッチ温度が上昇して動けなくなる
『坂道での発進停止の繰り返し、渋滞での低速走行、更にオートブレーキホールド(ABH)機能を搭載している車両はABHを使用した状態での停車を繰り返すとクラッチ温度が上昇し、実クラッチ摩擦特性と推定クラッチ摩擦特性とに差が生じるものがあります。そのため、クラッチ滑り量が減少して加速時に車両が前後振動し、インフォメーションディスプレイに「トランスミッション高温(第一警告灯)」の警告が表示された状態でそのまま走行を続けると、駆動力を制限するため、エンジンの吹け上がりや坂道が登りづらくなり、最悪の場合、前進レンジでは「トランスミッション高温(第二警告灯)」の警告が表示されるとともに前進できなくなり、後退レンジでは後退できなくなるおそれがあります。』

ソース:https://www.honda.co.jp/recall/auto/campaign/140711.html

わかりづらい文章かもしれませんが、ようは坂道発進を繰り返すとトランスミッションの温度が上がってしまい、最悪のケースでは動けなくなるというものです。まさしく日光いろは坂で起きそうな内容です。

こちらも販売初期に出されたサービスキャンペーンなので対応している個体がほとんどだとは思いますが、このハイブリッドシステムの技術的な肝であるデュアルクラッチは制御の難しさも併せ持つ諸刃の剣なのです。

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4:クラッチのフルードが洩れて走行できなくなる
さらにフィットやヴェゼルなどi-DCD搭載車について調べていくと、2020年に興味深い発表がありました。それが『旧型フィットなど7車種のデュアルドライクラッチ(DDC)の保証期間延長』というものです。

通常、メーカーの保証期間は登録日から5年または10万km以内となっているのですが、i-DCD搭載車のクラッチ部分に関しては、9年間へと伸ばしているのです。その背景についてホンダは次のよう発表しています。

『デュアルドライクラッチ(DDC)の偶数段クラッチベアリンググリス充填量が少ない状態で長時間の高速走行を繰り返すと、偶数段クラッチの温度上昇により樹脂ピストンが溶損し、シールが破損してフルードが漏れ、偶数段のクラッチが滑り、メーター内にトランスミッション高温警告表示がされ、発進または走行しづらくなることがあります。』

ソース:https://www.honda.co.jp/recall/auto/other/200717.html

デュアルクラッチトランスミッションというのは、変速ギアの奇数段と偶数段で独立したクラッチを持つ構造が特徴ですが、その偶数側に問題が起きうるということです。

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可能性が高いのは4のクラッチフルード漏れか
筆者は、保証延長にした理由こそが、今回のトラブルにつながった、もっとも怪しい要素だと感じています。

i-DCD搭載車は販売されるようになって、9年を過ぎています。これまでも同様のトラブルが起きていて、たまたま今回のケースがSNSで拡散され、可視化されただけかもしれませんが、初期のリコールやサービスキャンペーンの対象となった不具合が原因でクルマが動かなくなってしまうというのは考えづらいからです。

それよりは保証を延長した原因である偶数段クラッチ周りのトラブルを疑いたくなります。もっとも、ホンダの発表によれば偶数段クラッチのトラブルが起きるのは高速走行時ということで、坂道発進を繰り返すようなシチュエーションと真逆なのは気になりますが…。

中古車で購入したオーナーはホンダ販売店に確認&相談を
ちなみに、上記の保証延長を受けたモデルは、フィット(3代目)、ヴェゼル(初代)のほかフリード/フリード+(2代目・現行)、シャトル、グレイス、ジェイドの7車種です。

ホンダの発表によれば、この内容については『保証継承手続きがされていない場合でも、当該部品の交換修理が必要な場合は、無償にて実施する』となっています。中古車で購入するなどしてメンテナンス履歴や保証の状況が不明であっても、ホンダ販売店に相談することをオススメします。

>>フィット(i-DCD採用モデル・販売終了)のカタログ情報をチェックする
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文:山本 晋也
写真:
1枚目:フィットハイブリッド(i-DCD搭載モデル、販売終了)
2枚目:ヴェゼルハイブリッド(i-DCD搭載モデル、販売終了)
3枚目:シャトルハイブリッド
4枚目:フリードハイブリッド
5枚目:グレイスハイブリッド(販売終了)
6枚目:ジェイドハイブリッド(販売終了)

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みんなのコメント

101件
  • 違うだろ
    前が詰まってるから、ローバッテリー時のエンジンスタート後にアクセルが踏めず、半クラッチ状態が続いた
    それが連続して過熱した

    乗ってりゃわかるよ
    i-DCDの半クラッチは、CVTやトルコンATのクリープの様な感じになる
    登り坂ならその時間は当然長くなる
    普通はそこでアクセル踏むからクラッチが繋がるけど、渋滞してるとその前に止まってしまう
    乾式クラッチだから、それ繰り返してれば正常な状態でも過熱するよ
  • この時期のホンダ車は、やばい車だって事なんでしょうね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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