先日、「日産がスカイラインを含む、セダンの新規開発を中止する」というニュースが報道された。あまりの衝撃の大きさに、日産自身が「スカイラインは諦めない」と否定するコメントを出すことで事態を収束させたが、一報を目にしたとき、筆者も「とうとうこの時がきたか…」と、力が抜ける思いをした。
この件は、結果的に、スカイラインというブランドの偉大さ、そして日産のセダンを愛する人の多さを痛感する出来事となったが、愛されながらも消えていった日産のセダンは、他にも数多くある。
東京五輪で自動運転実用化の話はどこへ…? 縁の下で活躍するトヨタの技術【自律自動運転の未来 第21回】
なかでもセフィーロは、斬新なデザインとコンセントで登場し、当時の若者はセフィーロの斬新さに夢中になった。なぜセフィーロは愛されながらも、消えていったのだろうか。
文:吉川賢一
写真:NISSAN
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斬新さで話題となった初代
1980年代のバブル真っ只中、トヨタのマークII、クレスタ、チェイサーの3兄弟が一世を風靡していた。日産は、このブームに遅れまいと、当時日産の2枚看板であった「スカイライン」「ローレル」と共用する後輪駆動のシャシーをもつ初代セフィーロを開発、「日産版の3兄弟」として、、1988年9月にデビューした。
若い層をターゲットとした、初代セフィーロ。斬新な外観とコンセプトは、当時の若い男性をワクワクさせた
スポーティな「スカイライン」、ラグジュアリーな「ローレル」に対し、先進的でスタイリッシュな「セフィーロ」として登場。当時の最新式プロジェクターヘッドライト、シャープなフロントマスク、伸びやかなサイドビューなど、今見ても、なかなかにカッコいいと思えるスタイリングだった。
メインターゲットは30代前半の「ヤング」層。「くうねるあそぶ。」というキャッチフレーズとともに、井上陽水氏が「お元気ですか?」と助手席から問いかけるテレビCMは当時話題となった。
また、「セフィーロ・コーディネーション」と呼ぶ、ユーザーがエンジンやミッション、サスペンション、内装素材や内装色、外装色など、好きなようにカスタマイズして購入できる販売方式を採用。これほど自由度のある販売方式は、当時としては画期的であった。
しかしながら、初代セフィーロは話題にはなったものの、斬新すぎたのか販売台数は伸び悩み、商業的には成功したといえなかった。そして、これにより、セフィーロには「ある運命」が課されることとなる。
初代セフィーロの車内。グレードをもたず「セフィーロ・コーディネーション」によって、オーナーが好きに選べるシステムは、贅沢で斬新だった
商業的に成功した2代目、しかし…
セフィーロは2代目で、北米マキシマとモデル統合、という道を辿る。FFラージセダンとなり、ボディスタイルも、北米でのニーズに合わせ、汎用で大柄なオーソドックスなセダンスタイルに。
これが功を奏し、2代目セフィーロ(マキシマ)は、後席の居住性や走行の安定感が大きく向上。「アッパーミドルサルーン」として、北米市場で(マキシマが)成功を収める。セフィーロとして最後となった3代目もまた、北米で(マキシマが)大いに受け入れられた。
しかし、「FRでなくなったこと」と「ボディサイズの拡大」は、国内市場で戦うセフィーロにとっては災いとなってしまった。2003年、国内セフィーロは、ローレルとの統合により生産終了となる。
ラージサイズのFFセダンとなった2代目セフィーロ。初代セフィーロにはあった、シャープな印象が薄れてしまった
「斬新さ」が魅力だったが、それが命取りに
セフィーロを愛していた方の多くの方にとって、マキシマと統合された2代目以降のセフィーロは、すでにセフィーロではなかったのかもしれない。商業的には成功したとは言えなかった初代セフィーロが、人々をときめかせたのには、いくつか理由があると考える。
・ユーザーが自分の好きなように選択できるカスタマイズ性
・「スポーティ」や「ラグジュアリー」といった公式にとらわれない新しさ
・何か新しいことをやってくれるという期待感
人間は、感情を揺さぶられると、長い間記憶に残る、といわれている。ファンをわくわくさせる目新しさや個性が特別光っていた初代セフィーロだが、その魅力が、命取りにもなってしまったのだ。
セフィーロの最終型となったA33型。波型のヘッドライトが3代目セフィーロの特徴。全長は4920mmと、シーマに近い長さまで拡大された
消滅したブランド、しかしそれも日産の財産
90年代当時の日産は、自ら「技術の日産」を名乗るだけあって、(売り方はヘタだが)クルマつくりにおいては、高い技術力があった。そして同時に、アイディア力もあった。ラージミニバンの先駆けとなった「エルグランド」、そして、いま全盛のコンパクトSUVの先駆車となった「ジューク」など、ブームのきっかけとなるクルマを多く輩出している。
斬新なアイディアで、世間を驚かせてくれていた日産。それだけに、記憶に残るクルマは多く、それらのクルマは、消滅してしまっても日産にとって大きな財産であることにはちがいない。
スカイラインも「諦めない」とはされたが、いつの日かスカイラインが消滅したとしても、これまでスカイラインが残してきた数々のストーリーは、百年経っても消えることはない。これら「財産」を活かし、日産の今後につながっていくならば、それが一番だ。
セフィーロと統合となったローレルは、その後新世代のFF-Lプラットフォームを採用したティアナ(北米名アルティマ)へと切り替わり、そのティアナも、2020年7月に販売を終了した。ブランド名は消滅してしまったが、セフィーロは確実に、日産を支えた、名車であった。
日本最終型となった、L33型ティアナ(3代目)。このモデルの消滅で、日本における日産のラージFFセダンが消滅した
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みんなのコメント
マークII三兄弟が強すぎた。
日産セフィーロが歴代、「絶大な人気を誇った」ことなど一度もなかった。