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走りよし! 広さも充分!! フツーのミニバンっぽくなったけど「らしさ」健在!!! ホンダ5代目オデッセイ試乗プレイバック【ベストカーアーカイブス2013】

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走りよし! 広さも充分!! フツーのミニバンっぽくなったけど「らしさ」健在!!! ホンダ5代目オデッセイ試乗プレイバック【ベストカーアーカイブス2013】

ホンダオデッセイがフルモデルチェンジ。背が高くなりスライドドア採用とフツーのミニバンっぽくなったけど、乗ってみると重心が低くて乗降性がいい。もちろん走りもいいが、伝統の乗用車ライクにミニバンらしさも加わった感じ。5代目にして器量が広がったな、オデッセイ!(本稿は「ベストカー」2013年12月10日号に掲載した記事の再録版となります)

文:鈴木直也、編集部/写真:森山敏一

走りよし! 広さも充分!! フツーのミニバンっぽくなったけど「らしさ」健在!!! ホンダ5代目オデッセイ試乗プレイバック【ベストカーアーカイブス2013】

【画像ギャラリー】走りよし! 広さも充分!! フツーのミニバンっぽくなったけど「らしさ」健在!!! 5代目オデッセイ試乗プレイバック(18枚)

■目指したのは「美×力」

2013年11月1日に発売となったホンダ5代目オデッセイ

1994年に初代オデッセイが登場して以来、ホンダは「低さ」にこだわってきた。

初代の全高が1645mmだったのは、当時の狭山工場の生産ラインの制約からだったといわれているけど、それが結果的に「これまでになかった乗用車ライクなミニバン」というヒットにつながる。これが、オデッセイにおける「成功体験」となったんじゃないかと思う。

で、キープコンセプトの2代目を経て、3代目、4代目は立駐OKの1550mm以下と、その“低さ”を貫いてきた。

クルマを走りの面から捉えれば重心の低さというのは絶対的な“善”で、どんな小細工をしても重心の高いクルマは低いクルマに勝てない。レース好きのホンダの人たちは、心情的に重心の高い箱形のミニバンは作りたくなかったのかもしれない。

ところが、ホンダのこういうコダワリとは裏腹に、市場トレンドは「ミニバンは低さより大きなスペースだよね~」という方向に流れてゆく。

軽からラージクラスにいたるまで、ミニバンはとにかく室内空間が広くて使い勝手のいいクルマが受ける。電動スライドドアなんか、今やあって当然の基本装備だ。

このへんが、オデッセイ低迷の原因となった。

乗用車ライクということでスイングドアにこだわってきたことも裏目に出て、ピークで年間12万台以上だったオデッセイの販売台数は、直近では1万台を切るところまでダウン。

ついに、ホンダも重い腰を上げざるを得なくなったというわけだ。

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■低重心にこだわり、走りにこだわった

標準ボディ。新型フィットからホンダのデザインアイデンティティとなっている「ソリッドウィングフェイス」がオデッセイにも採用された。スポーティなアブソルートは、太いフロントグリルや専用のLEDヘッドライトなので差別化

アブソルート

だから、5代目となる新型オデッセイは、一見してオーソドックスなミニバンに生まれ変わった。

1695mmの全高はエスティマより50mmほど低いものの標準的なミニバンプロポーションだし、左右スライドドアやラウンジ風の2列目シート採用など、居住性/使い勝手についても素直に業界トレンドを踏襲している。

かなり個性的だった先代と比べると余計にそう思うのかもしれないが、「ものすごく普通のミニバンになったねー」というのが第一印象だ。

ただし、このへんがいかにもホンダらしくて面白いところなのだが、乗ってみるとこの新型オデッセイ、そんなに平凡なクルマじゃなかった。

ポイントは、一見普通のミニバンっぽい衣をまとってはいるが、ホンダは依然として低重心にこだわっていることだ。

ルーフ高は従来比150mmも高くなったが、燃料タンクや排気系を薄型設計とすることでステップ高で300mm、フロア高で370mmという低床パッケージを実現。左右のスライドドアを開けて真横から見るとよくわかるんだけど、フロアがとにかく低くて薄いことにビックリする。

また、前ストラット/後トーションビームのサスペンションも新設計で、フロントにアルミ鍛造ロアアームを使うなど高品質。さらに、電動パワステはZF製を採用するし、ダンパーはザックスの振幅感応型が使われるなど、随所に走りへのこだわりを見せている。走りの味つけも、従来までのオデッセイの路線からひとひねりある。

これまでのホンダだと、重心の低さや高品質の足といった“武器”をもらうと、それをすぐ“スポーティな走り”の実現に投入しがちだったが、今度のオデッセイは「ミニバンとしての走りのクォリティとは何か?」をしっかり考えている。

たとえば、操舵フィールは自然だけれどやや遅めで、舵角に応じてプログレッシブにロールするハンドリングは、キビキビ感を前面に出していた従来モデルとはかなり路線が違う。

【新型オデッセイが手に入れたモノ01:ハンドリング】シンプルで落ち着いた雰囲気のインテリア。上質感を味わえる

ただし、そのかわりそのロール感覚には低重心/低ロールセンターならではの安心感があって、操舵ですぐヨーが立ち上がるタイプの足より、2列目、3列目パッセンジャーのストレスがずっと少ない。

また、路面からの入力についても、標準モデルではもちろん、10mmローダウンサスに18インチを履くアブソルートEXでも、しなやかと表現したい上質なもの。

ザックスのダンパーや入力分離マウントなどが、「なるほどこのへんで効いてるのね」と納得できる乗り味なのだ。

新型オデッセイの自慢のひとつが、ミニバントップクラスの走りをもたらす超低床プラットフォーム。ガソリンタンクの薄さに驚く

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■小排気量ディーゼルかハイブリッドがほしい

【新型オデッセイが手に入れたモノ02:パワー】エンジンは北米で主力の直列4気筒2.4L。アブソルートは直噴化し190psの最高出力を出している

ミニバンユーザーにとって最大の関心事である居住性やユーティリティについては、カタログを見たりディーラーで実車を触ったりすればだいたいのことはわかるが、こういう走りの“味つけ”については、実際に乗ってみないとなかなか想像できない。

そういう意味では、初代以来の「低重心がもたらす乗用車ライクな走り」というオデッセイスピリッツは、一見すると“転向”しちゃったかに見えるこのニューモデルにも脈々と息づいているといえる。

いっぽう、個人的に物足りないと感じたのは、パワートレーンのラインナップだ。

新型オデッセイのエンジンは2.4Lガソリンで、標準がポート噴射で175ps/23.0kgm、アブソルートが直噴で190ps/24.2kgmというスペック。ミッションは全車CVT(アブソルートはマニュアルモード付き)と組み合わされる。

JC08燃費は前者が13.8km/L、後者が14.0km/Lで、アブソルートEXの2WDモデルのみ免税、他は75%減税対象となる。

このパワートレーン、ドライバビリティも燃費もよくバランスが取れていてどこといって不満はないのだが、ご存じのとおりこのパワーユニットは北米アコード用。より燃費コンシャスな日本市場ではインパクトが弱い。

たとえば、先日デビューしたばかりのアコードハイブリッドは30.0km/Lという驚異的な燃費性能を誇るし、流行のダウンサイジングターボならVWシャランはほぼ同サイズのボディを1.4Lで走らせている(JC08燃費13.5km/L)。

【新型オデッセイが手に入れたモノ03:居住性】全高アップと超低床プラットフォームの食い合わせで室内は外観からの印象以上に広く感じる

あれもこれもと要求するのは酷かもしれないが、アコードが長年の低迷を脱するには、フラッグシップモデルだけでもいいからそのくらいの起爆剤が欲しいと思うのだがいかがだろう。

安全装備に関しても、いまホットなテーマだけにもうちょっと踏み込みが欲しい。

衝突軽減ブレーキ(CMBS)はEXモデルのみのOP、その簡易版であるシティブレーキアクティブシステムはEXなど上級モデルに標準、ブラインドスポットインフォメーションはEXのみ、自動パーキングシステムもOPといったラインナップ。国産ライバルに負けてはいないけれど、ブッチぎっているわけでもない。

衝突軽減ブレーキはオプション設定。価格を抑えるためだと思うが、この分野でホンダが遅れを取っているのは残念

スマートパーキングアシストはスゴい! 車庫入れや縦列駐車をサポートする機能が上級グレードにオプション設定されているが、ステアリングも自動操作してくれる。これは凄い

新型アコードの中心価格帯は300万円だが、価格的にはVWゴルフやボルボV40との競合も充分に有り得る。これら輸入車の安全装備の充実ぶりを見ていると、国産ミニバンだけをコンペテイターと見ていては不十分と思わざるを得ない。

この新型アコードの目標月販台数は4000台だが、それはつまりエスティマに匹敵する台数を売りたいということ。

クルマの基本的な素性はすごくイイと思うのだが、ハイブリッドなどの“飛び道具”なしにこの目標を達成するのは、そんなに簡単ではない。

出たばっかりの新車でこんなコトを言うのもなんですが、アコードのハイブリッドユニットや、フランクフルトショーに出た1.6Lディーゼルなど、“目玉”があったら大ブレイクするクルマ。そんなふうに思いました。

(ここまでのTEXT/鈴木直也)

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■2つの個性あり! 新型オデッセイ研究

オデッセイ初のスライドドアはワンタッチ式。パワースライドドアを採用してユーザー層拡大を狙っている!?

5代目オデッセイには、シリーズ初の8人乗りが設定され、同じく初めてスライドドアが採用された。さすがのオデッセイも、今の市場が求めるミニバン像に近づいたというわけだ。

スライドドアについて、伊東社長は「重くなりコストもかかるが、お客様からの要望が強く、走行性能に影響ないと判断して採用に踏み切った」と語り、走り重視の姿勢をみせた。

グレード展開は、ワイド&ローのフォルムでスポーティなアブソルート、スタンダードボディで充実装備のG、ベーシックのBの3タイプ。これに、豪華装備のEX、7/8人乗り、FF/4WDが組み合わされる。

エンジンは3代目から引き続き、直4、2.4LK24A型を搭載。ただ、同じエンジンでも燃費重視のセッティングに変更、前モデルに比べ燃費は格段によくなっている。最高出力はGとBが175ps、直噴型のアブソルートは190psとなった。アブソルートは前モデルよりパワーを落としている。

7人乗りの2列目には、背もたれの角度に座面の高さが連動する機能やオットマンを装備したプレミアムクレードルシートが標準装備だ。乗員をやさしく包み込みファーストクラスの気分が味わえるという。これでは、運転するよりもクレードルシートに座りたくなる。

プレミアムクレードルシート

すでに紹介しているように、新型オデッセイは前モデルに比べ全高をアップするいっぽう、薄型ガソリンタンクやマフラー配管の工夫により、超低床ボディを実現している。背は高くなったが、重心位置を前モデルとほぼ同じというから、開発陣は頑張ったんだと思う。

さて、話題の衝突軽減ブレーキにもふれておこう。レーザーを使った簡易型のシティブレーキアクティブシステムは、サイドエアカーテンとセットで、上級グレードに標準装備。そのほかの一部のグレードにオプション設定され価格は7万円。さらに、レーダーによる衝突軽減ブレーキCMBSはEXにオプション設定となる。

ガチンコのライバルはエスティマ、プレマシーあたりだが、走りのよさはピカイチで、背の高いミニバンもうかうかしていられない存在になりそうだ。

(TEXT/編集部)

【画像ギャラリー】走りよし! 広さも充分!! フツーのミニバンっぽくなったけど「らしさ」健在!!! 5代目オデッセイ試乗プレイバック(18枚)

■ホンダ 新型オデッセイ主要諸元(G FF 8人乗り)

・全長:4830mm
・全幅:1800mm
・全高:1695mm
・ホイールベース:2900mm
・車重:1720kg
・エンジン:直列4気筒DOHC
・総排気量:2356cc
・最高出力:175ps/6200rpm
・最大トルク:23.0kgm/4000rpm
・JC08モード燃費:13.8km/L
・価格:269万円

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■新型オデッセイ主要諸元(アブソルート EX FF )

・全長:4830mm
・全幅:1820mm
・全高:1685mm
・ホイールベース:2900mm
・車重:1830kg
・エンジン:直列4気筒DOHC
・総排気量:2356cc
・最高出力:190ps/6400rpm
・最大トルク:24.2kgm/4000rpm
・JC08モード燃費:13.6km/L
・価格:315万4000円

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■ハイブリッドは来年登場する!? 伊東社長が示唆

アコードに搭載された2モーター ハイブリッドユニットを流用する!?

東京・青山のホンダ本社で開催されたオデッセイの新車発表会に出席した伊東社長は、ハイブリッドについて「研究しています」と語った。オデッセイハイブリッドの製品化を示唆したものとみて間違いないだろう。

複数のホンダ関係者がハイブリッドの存在は認めており、編集部では来年投入との情報を掴んでいるが、ネックはコスト。別のホンダ関係者は、「消費者はハイブリッドの価格と燃料代を計算してクルマを選びます。社長のいうように、オデッセイについてはハイブリッド技術と製品化した際の価格などを研究している段階です」と話した。

最後に国沢光宏氏の見解。

「アコードのシステムを搭載するのになんの支障もありません。問題は価格。一般的に考えればオデッセイハイブリッドは400万円程度になるでしょう。それじゃ誰も買わない。オデッセイがバンバン売れてハイブリッドの価格が下げられれば製品化もあるが、売れなければ日の目を見ないこともあると思います」

(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)

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みんなのコメント

8件
  • kmq********
    あのアルヴェルの耕運機デザインより、走る姿はずっと良い
  • mon********
    オデッセイは二代目が秀逸だったかな

    優雅で革新的なモデルだった
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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