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単に「ヨンク」じゃダメ? メーカーが4WDに「オリジナルの名前」をつける事情

掲載 更新 3
単に「ヨンク」じゃダメ? メーカーが4WDに「オリジナルの名前」をつける事情

 四輪駆動に最初に名前を付けたのはアウディのクワトロ

 4輪駆動に、独自の名称を付けたのはドイツのアウディが初めてではないか。「クワトロ」が、それだ。それまで、4輪駆動は悪路走破のための技術であり、パートタイム式といって、2輪駆動と4輪駆動をレバーなどの操作により運転者が切り替えて使っていた。

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 クワトロは、常に4輪駆動を維持しながら、直進のみならず小さなカーブでもそのまま4輪駆動で走れるフルタイム式を採用し、なおかつ、未舗装路だけでなく舗装路を高速で安全に走れる4輪駆動という新しい考えを商品化した。そこで、あえてクワトロ(イタリア語で4)の名称を与えたのだろう。

 しかしじつは、日本のスバルが70年代にレオーネのエステートバンに4輪駆動を採用し、75年には乗用車に4輪駆動車を加え、舗装路を4輪駆動で走る考えを量産化していた。2代目レオーネの81年には、4輪駆動を活かしたステーションワゴンのツーリングワゴンを発売し、それがレガシィへ受け継がれ、一時代を築く。しかし、あえて4輪駆動技術に名称を与えることはなかった。

 狙いや仕組みの差別化を図るために独自の名称をつけている

 アウディのクワトロがブランド化したことにより、アウディは、アルミ車体を基とした軽量化を「ウルトラ(ウルトラライトウェイトを省略して)」と名付け、電動化を「e-tron(イー・トロン)」、情報通信を「コネクト」と、それぞれ名称をつけることにより、たとえ他社と同様の機能であっても、技術の優位性をブランド名として浸透させようとしている。これは、「技術による先進」という、アウディの企業メッセージにも通じる。

 トヨタは、1997年に世界初のハイブリッド量産車であるプリウスを発売した。その後、いくつかのハイブリッド方式を量産化するなかで、2001年のエスティマ・ハイブリッドの導入に際し、E-Fourという名称を4輪駆動に与えた。これは、前輪駆動を基にしたハイブリッドシステムに、後輪用として別のモーターを取り付けることにより4輪駆動化し、エンジン車の4輪駆動とはとは別の方式であることを明らかにした。

 以後、どのようなパワーユニットのクルマであっても、駆動輪ではない車輪側へモーターを取り付ければ4輪駆動にできることが広まった。たとえばホンダのNSXは、ミッドシップのため後輪駆動だが、前輪側へモーターを搭載することで4輪駆動としている。

 クワトロにしても、E-Fourにしても、単に4輪駆動という機構であるだけでなく、新しい価値や仕組み、あるいは制御の仕方によって、4輪駆動の価値を高めたり幅を広げたりしたメーカーの狙いを明らかにするため、4輪駆動に名称をつけることを意識しだしたのだろう。

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みんなのコメント

3件
  • 文中の
    技術の優位性をブランド名として浸透させようとしている。
    まさにこれが市場での製品価値や市場の印象を大きく左右する。ただ、多く作りすぎてもブランドの価値を薄める方向に働いてしまう。理想は今のクワトロの様に元々アウディがブランドとして認知されていて、その上でクワトロが不変を保てる姿。MCしてもずっとクワトロはネーミングをコロコロ変えることなくクワトロであり続けられている。
  • アウディ クワトロ
    スージー・クアトロ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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