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狂騒の25年ルール! いまも日本の名車は続々とアメリカで高騰しているのか?

掲載 更新 46
狂騒の25年ルール! いまも日本の名車は続々とアメリカで高騰しているのか?

アメリカで右ハンドルの古い日本車が売れている。

そんなニュースをネットやニュース番組などで見かけるようになって久しい。

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日本でもだいぶ知られるようになった、通称25年ルール。アメリカでの自動車輸入に関する法律がベースとなり、ここ数年で一気に注目されるようになった。

日本から海を渡った名車たちは、どんな価格でどんな人が購入しているのか?

文/桃田健史
写真/日産トヨタ、ベストカー編集部、AdobeStock@mphoto7780

【画像ギャラリー】米国で人気の日本車たちを確認!

■アメリカの輸入車に対する“25年ルール”とは

まずは、改めて25年ルールに触れておきたい。

アメリカの法律は、連邦法と呼ばれる連邦政府によるもの、またアメリカでは州政府の独立性が強いためさまざまな州法があり連邦法と併存している。

そのうえで、連邦法で1988年に施行されたのが、輸入車セイフティコンプライアンス法である。これが現在、25年ルールと呼ばれる基本となっている。

連邦法の輸入車セイフティコンプライアンス法が、25年ルールにおける基本(mphoto7780@AdobeStock)

1980年代当時のアメリカで主に欧州からのスポーツカーなどの輸入が、法的なグレーエリアになっており、富裕層を中心としたそうした領域でのユーザーの間で戸惑いがあった。

また欧州では車歴の長いクルマに対する税制優遇があるなど、古いクルマを大切にしようという仕組みがある。

こうした社会的な背景から生まれた輸入車セイフティコンプライアンス法は、端的にいうと衝突安全基準に関する法的緩和だ。衝突安全については、前方衝突、後方衝突、側面衝突、また対向車とのオフセット衝突、さらに電柱など大型ポールに対する側面衝突など、一部で内容が異なるがアメリカ、日本、欧州などで法律はかなり近い。

衝突安全基準は厳格化されるなか、これを旧車に対応することは極めて難しいため、法的緩和策が発案された。

■環境対応の法律にも関係している

もうひとつが、旧車に対して大きな課題となるのが環境対応への法律だ。

これにも連邦法と州法があるが、例えば1990年の施行以来、世界の電動化法案をけん引するZEV法(ゼロ・エミッション・ヴィークル規制法)を策定している、CARB(カリフォルニア州環境局大気保全委員会)は、旧車を含めて排気ガス規制などで法の厳格化を進めてきた。

環境対応、またアフターマーケットによるエンジン改造、排気系改造、サスペンション改造などについても州法に関連する分野が多い。

筆者は実際、CARBの認定を受けた工場でアフターマーケット製品の試験や、その後のCARB認証を受けるプロセスの実務を担当したことがある。正直なところ、見方を変えれば法の抜け道があるように思える。

こうした現場の状況は州によって差があるため、25年ルールで日本から輸入されるクルマに対する認証に対する追加コストにも差が生じることになる。

つまり、日本からの輸入がしやすい州が存在するともいえる。ただし、メインテナンスを基本とした顧客対応という面で、その地理的な条件もある程度限定される。

25年ルール適用前のR34GT-Rも、「ショー&ディスプレイ」対象モデルとして米国輸入可能だという。ただし、25年ルール適用を待ったほうがお買い得

このほか、連邦運輸局による「ショー&ディスプレイ」という法解釈があるが、対応車種として認定されるプロセスに時間、労力、コストがかかり、仮に対象モデルとなったとしても販売価格は25年ルール対象車と比べてかなり高額になる場合が多い。

■ アメリカに輸入されなかった日本のスポーツカーが人気

では、具体的に25年ルール対象車はいくらで取引されているのか?

25年ルールのなかでも人気が高いのが、R32GT-Rだ。日本では一時、100万円台でも取引される車両があったが、これが5万ドル~7万ドル(500万~700万円)といったところだ。

日本では5年ほど前、R32GT-Rの中古車価格高騰で話題になった

当然、フルノーマルを見つけるのは難しく、ターボ変装、燃料制御システム追加、車高調整式サスなど仕様差があり、はっきりとした相場を確認することは難しい。さらに、対応する業者の各種コストに対する考え方も当然違う。

R32GT-Rとほぼ同じような相場で推移しているように思えるのが、80スープラだ。

ただし、GT-RがR35までアメリカで正規販売されていなかったという状況とは違い、アメリカ国内でTMS(トヨタ・モーター・セールス:北米トヨタ販売)が日本から正規輸入して販売していた。それでも、本国日本からの右ハンドルの80スープラが欲しいというユーザーがいる。

80スープラと同じく、ランエボとWRX STIも、2000年代に入りMMSA(当時の三菱モーター・セールス・オブ・アメリカ)や、SOA(スバル・オブ・アメリカ)が正規輸入するようになっており、25年ルールを適用してまで、1990年代以前のランエボやWRX STIを希望する人は限定的だと思う。

つまり、「25年ルール=日本のスポーツカー」ではなく、あくまでもアメリカに輸入されていなかった25年ほど前の日本車を右ハンドル車として乗ることが、こうしたトレンドを好むユーザーの心理なのだ。

映画「ワイルドスピード」で活躍した事もあり、A80スープラも米国ではカルト的な人気がある

その意味で、やはりGT-Rが人気となり、25年ルールでは前述のR32、そしてR33、また25年ルール適用前のR34についてはショー&ディスプレイなど、さらなる法解釈を巧みに利用するため価格は20万ドル代(2000万円強)という高値となっている。

■20年前の日本車ブーム再来!?

ちなみに、筆者は1990年代末に、ロサンゼルスでR34GT-Rを公道で試乗する機会がよくあった。

当時、西海岸を中心として、シビックやアキュラRSX(インテグラ)、80スープラなどを中核として、日本車の改造車のブームが起こった。筆者はこのブームに対してさまざまな立場から直接関与していた。

そうしたなかで、カリフォルニア州トーランス市内に、当時アメリカに正規輸入されていなかったGT-Rを日本から輸入販売する業者がおり、同社経営者からは「輸入のためには、クラッシュテスト(衝撃安全試験)が必要で1台クルマをつぶす必要があるなど、手間やコストがかかる」という話を日常的に聞いていた。

この当時の販売価格は”それなり”だったが、いまの25年ルール、また日本での中古車流通価格と比べて、べらぼうに高いという記憶はない。

また、同社がGT-Rと並行して強化していたのは、シルビア用のSR20型(2L直4ターボ)エンジンだ。北米仕様の日産SX240はKA24型(2.4L直4NA)搭載で、ターボが魅力のSR20型へのエンジンスワップが人気だった。

2.4 L自然吸気エンジンを搭載する240SXは、シルビアの2Lターボに換装するのが人気だった

ただ、この会社はさまざまな課題を抱えてその後、姿を消すことになる…。

こうした20年近く前の、日本車改造ブームを懐かしむ中高年、またはそうした逸話に憧れる若い富裕層が、近年の25年ルール車のユーザーだ。

需要の高まり、また株式市場の高値による個人資産の拡大などもあり、やや過熱気味となっている今回のブーム。

いったい、いつまで続くのか?

20年前のブームが一気に冷めたように、その行く末は誰も予想できない。

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みんなのコメント

46件
  • >また欧州では車歴の長いクルマに対する税制優遇があるなど、古いクルマを大切にしようという仕組みがある。

    なんでこう言うのをマネしないんだろうね。日本は。
  • この十年前後の間に、スクラップインセンティブ(13年超えの車を廃車に出して新車を買うと多額の補助金があった)の時に、程度の良い多くの車がスクラップとして消えていき、普段からも希少な日本車は海外右ハンドル地域へは輸出されて消えています。ここのきて最近はアメリカの25年ルールで多くの貴重な日本車が消えていく。海外先進国はこの十年で年収も上がっていき買える人がいる一方、日本はこの十年でどんどん年収が下がって普通車の維持が難しくなってきている。長年大事に乗っていても、さらに13年超えは重加算税ときた。
    日本は、13年したら車は使い捨てしろと言っているようなもの。先進国?自動車大国?そういわれている日本は幻想ではないかと最近思う。この国は自動車を維持するには先行きが暗すぎる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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