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発電用「ロータリー」で新風! マツダMX-30 R-EV お値段以上のインテリア 長期テスト(1)

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発電用「ロータリー」で新風! マツダMX-30 R-EV お値段以上のインテリア 長期テスト(1)

初回 新しい風を吹き込んだMX-30 R-EV

昨今の欧州市場では、主力カテゴリーといえば小さなSUVだ。従来のハッチバックと同等の全長・全幅に、広々とした車内や荷室と、見晴らしの良い視点。運転のしやすさはそのままに、従来以上の実用性を求めるユーザーにとって、魅力的なレシピといえる。

【画像】発電用「ロータリー」で新風 マツダMX-30 R-EV バッテリーEV版とRX-8 アイコニックSPも 全132枚

マクラーレンなど特別な例を除いて、自動車メーカーのほぼすべてが、小さなSUVをラインナップしている。市街地を運転すれば誰でも気付けると思うが、販売割合もかなり大きい。加えて多くの自動車メーカーは、他のメーカーと協力関係を結んでいる。

必然的に、モデルによる違いは生まれにくくなる。このクラスで高い評価を得るモデルは、いずれも同等のパッケージングにあるといっても良いだろう。

そんな面白みの欠ける市場に、新しい風を吹き込んだのが、マツダMX-30 R-EVだ。第一印象から、筆者は他に例を見ないモデルだと感じた。スタイリングは好戦的でなく、飾り立てられてもいない。美しくクリーンに仕上がっている。

サイドのドアは、特徴の1つ。フロントドアを開くと、リアヒンジのリアドアも開くようになる。まるで、マツダのロータリー・スポーツの最後を飾った、RX-8のようじゃないか!と思った。

この観音開きドアを備えるモデルは、他にフェラーリ・プロサングエか、ロールス・ロイスのリムジン程度。真横から見るプロポーションも、均整が取れている。

お値段以上のインテリア 発電用のロータリー

インテリアの景色も心地良い。欧州では新車価格の高騰が止まらないが、少なくとも英国では、4万ポンド(約768万円)の車内とは思えないほど上質。クロス張りのシート1つとっても、座り心地に優れ見た目も上品。足元の空間も広い。

インフォテインメント・システムも直感的に扱える。センターコンソールには、ロータリー・コントローラーがあり、ダッシュボード上のモニターに映し出されるメニューを操作できる。ミュージックとナビ、ホームへ飛べる、ショートカットキーも付いている。

シフトレバーの前方には、エアコン用のタッチモニター。その両脇には、実際に押せるハードボタンが並んでいるから、実際に触れる機会は少ないが。

運転性からの視界は素晴らしく、明るめのシートの色味と相まって、車内は実際以上に開放的。コルクを用いた化粧パネルは、本当に肌触りが良い。コルクの製造業者としてスタートしたマツダの歴史が、誇らしげに表現されている。

そして最大の特徴といえるのが、ボンネットの内側にある。2021年に英国へやってきたバッテリーEVのMX-30 EVは、航続距離が短く評価が優れなかった。AUTOCARの試乗で確かめた限り、実際に走れる距離は約190kmに留まった。

これを改善するため、MX-30 「R-EV」には発電機としてロータリーエンジンが載っている。2300rpmから4500rpmで回転し、17.8kWhの容量を持つ駆動用バッテリーへ電力を供給するという。ちなみに現在の量産車では、ロータリーエンジンを積む唯一だ。

モーターは170ps 高速道路での燃費は振るわない?

ただし発電機だから、タイヤを直接動かすわけではない。マツダは、小さな自然吸気ユニットが生み出すパワーへ可能性を見出したらしい。結果として、830ccの排気量から74psと11.7kg-mを得ている。

MX-30は、CX-30とプラットフォームを共有している。電動パワートレインと同時に搭載するうえで、発電機の小ささは重要なポイントになった。ダイレクト・インジェクションと排気ガス再循環システムを組むことで、燃費も改善させている。

信頼性があまり高くないという、従来の特性を改めるため、新素材でコーティングされた部品をローターの頂部に採用。圧縮比は、RX-8の7.9から11.9へ高められている。

駆動用モーターの最高出力は、170ps。MX-30 EVから27ps強化された。最大トルクは26.3kg-mがうたわれる。0-100km/h加速は9.1秒と、ロータリーエンジンを積まないモデルより0.5秒縮めた。

これまで運転してみた感想としては、速さは充分。高速道路の合流も、まったく問題なくこなせる。

航続距離は、17.8kWhの駆動用バッテリー単体で最長85km。タンクに入る50Lのガソリンで発電することで、最長643kmを連続して走れると、マツダは主張する。

筆者は手始めに、カーブが続く郊外の道を80kmほど走らせてみた。回生ブレーキを活用した状態で、平均の燃費は17.0km/L。だが、高速道路の速度域では12.5km/Lと、余り振るわないようではある。これから距離を伸ばしていく中で、変化はあるだろうか。

どんな欠点を発見することになるのか?

長期テストにやってきた車両は、ミドルグレードのエクスクルーシブライン。パワーシートとプライバシーガラス、クロームメッキ・トリムなどが付いている。見栄えするソウル・レッド・クリスタル塗装は、1800ポンド(約35万円)のオプションだ。

周囲と異なる特徴を持つことが、必ずしもプラスになるとは限らない。しかしMX-30 R-EVは、魅力的なスタイリングとインテリアが与えられ、操縦性も好印象。どんな欠点を発見することになるのだろう。

セカンドオピニオン

MX-30 R-EVの発想は、筆者には魅力的に映っている。プラグイン・ハイブリッドより価格は抑えられ、カタログ上の燃費は優秀と、合理的な数字も並んでいる。

しかし、実際のメカニズムには多少の妥協が存在するようでもある。MX-30 EVと同等の航続距離を保ったまま、ロータリーエンジンによるバックアップを受けられた方が、より訴求力は高かっただろう。 マット・ソーンダース(Matt Saunders)

テストデータ

テスト車について

モデル名:マツダMX-30 R-EV 170PS エクスクルーシブライン(英国仕様)
新車価格:3万6650ポンド(約704万円)
テスト車の価格:3万8450ポンド(約738万円)

オプション装備

ソウル・レッド・クリスタル塗装+ブラックサイドパネル+ブラックルーフ:1800ポンド(約35万円)

テストの記録

燃費:100.2km/L(WLTP値)
故障:なし
出費:なし

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