コンパクトながらも「セルシオ品質」を追求したこだわり
トヨタが1998年に発売した「プログレ」は、「小さな高級車」というユニークなコンセプトを掲げたコンパクトセダンでした。
【画像】今から27年前に登場した“小さな高級セダン”トヨタ「プログレ」ってどんなクルマ?写真で見る(11枚)
当時は一般的に、高級車といえば大きなボディを持つ「クラウン」や「セルシオ」のようなフルサイズセダンが主流でしたが、プログレは全長約4.5メートルのコンパクトなサイズに、当時のトヨタ最上級モデルにも匹敵する高級感と上質な走行性能を凝縮したクルマでした。
しかし、この斬新な試みは市場に十分受け入れられず、2007年に生産終了。販売期間は9年と短命に終わりました。
それでも、プログレは他のトヨタ車とは一線を画す独自性を持ち、現在でも根強いファンに支持されています。
では、トヨタが「クラウン以上、セルシオ品質」を目指したこの特別なクルマは、どのような特徴を持っていたのでしょうか。
プログレのボディサイズは、前期型で全長4500mm、全幅1700mmと、5ナンバー規格に収まるものであり、当時の高級セダンのなかではかなりコンパクトな部類でした。
しかし、単に小さいだけのクルマではなく、インテリアは高級感にあふれていました。ダッシュボードやセンターコンソールにはウォールナットの本木目パネルが使用され、シートは本革と高級ニットの2種類が設定。
さらに、吸音材を多用することで、クラストップレベルの静粛性を確保していました。当時の国産車としては珍しく、シート表皮の素材やデザインにまでこだわり、乗る人に上質な空間を提供することを追求していました。
搭載エンジンは、トヨタが誇る「2JZ」系の直列6気筒DOHCユニット。3リッター(215馬力→マイナーチェンジで220馬力)と2.5リッター(200馬力)の2種類が用意され、駆動方式はFRが基本。
2.5Lエンジンにはトヨタ独自のフルタイム4WDシステム「i-Four」を搭載した「NC250 Four」も設定され、雪道などでも安定した走行を実現していました。
このエンジンは「完全バランス」といわれる直列6気筒ならではのスムーズな吹け上がりと静粛性が特徴で、高級車にふさわしい上質な乗り心地を提供していました。
さらに、安全装備も当時としては非常に充実していました。カーテンエアバッグやVSC(車両安定制御システム)、さらにはカーナビと連動して道路状況に応じた最適なギアにシフトする「NAVI・AI SHIFT」を搭載するなど、技術的にも先進的なモデルでした。
プログレが短命に終わった理由と今なお愛される理由
このように、高級車としての要素を凝縮したプログレですが、市場での販売は芳しくありませんでした。
その理由のひとつは、当時の日本市場における「高級車=大きい」という価値観でした。
当時、同じ価格帯でより大きなクラウンが購入できる状況だったため、「わざわざ小さな高級車を選ぶ理由がない」と考えるユーザーが多かったのです。
また、1990年代後半から2000年代にかけては、ミニバンやSUVの台頭によって、セダン全体の需要が縮小していた時期でもありました。その結果、プログレは十分な販売台数を確保できず、1代限りで生産終了となりました。
しかし、現在の視点でプログレを見ると、そのコンセプトのユニークさや、作りの良さが再評価されています。
特に、直列6気筒エンジンを搭載したコンパクトセダンは現在ではほぼ絶滅しており、スムーズな走行フィールを求める人々にとっては希少な存在となっています。
また、当時のトヨタが「クラウン以上のセルシオ品質」を目指して作り込んだ一台であるため、その質感の高さは今でも色褪せることがありません。
また、中古市場においてもプログレは比較的希少なモデルとなっており、低走行で状態の良い個体は人気があります。
プログレのように、都市部での扱いやすさと高級感を両立したクルマは現在の国産車ラインナップにはほぼ存在しないため、「コンパクトなサイズで上質なセダンに乗りたい」という層には魅力的な選択肢となっています。
※ ※ ※
トヨタ「プログレ」は、クラウンやセルシオとは異なるアプローチで高級車の新たな可能性を模索したモデルでした。結果的に市場のニーズとは合致せず短命に終わりましたが、そのコンセプトは今見ても独特の魅力を持っています。
現在、プログレのようなコンパクトな高級セダンは国産車市場にはほぼ存在せず、その希少性は増すばかりです。サイズにとらわれない「本物の高級感」を求めたプログレは、今なお特別な存在であり続けています。
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みんなのコメント
今やメカに詳しい若いひとたちがカスタムの素材にしてますよ。
わざわざコーナーポールを立てたりレースの半シートカバーかけたりして。
今はそれがカッコいいらしい。