他社とは異なるマツダの主張
text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
【画像】MX-30とCX-30 リーフ, ホンダeも 全94枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
自動車メーカーは、それぞれ様々な意見を持っている。新しいスタイリングのSUVには、多様な主張を耳にする。特にマツダには、ほかとは異なる思想がある。
ロータリーエンジンから圧縮点火技術を用いたガソリンエンジンまで、独自路線を進んできたマツダ。大きな変革時期にあって、電気自動車に対するアプローチも同様のようだ。
マツダは、純EVを特有の視点で捉えている。走行時の排気ガスに含まれるCO2だけでなく、クルマの生産から利用、廃棄に至るまでのライフサイクル全体で、環境負荷を捉えるべきだという考えを持つ。
事実、大きなリチウムイオン・バッテリーを搭載する純EVの製造過程では、内燃エンジンを積んだクルマの製造以上にCO2を排出する。気候変動を引き起こすCO2の排出量は、ライフサイクル全体で見るべきだという考えは、筆者も理解できる。
同時にマツダは、消費者の動向と、厳しくなる排気ガス規制との両方に対応するため、純EVが必要なことも理解している。そこで生まれたのが、マツダMX-30だ。
装備も充実し、値段だけ見れば充分に競争力は高い。英国での販売価格は、英国政府の補助金を引いたあとで2万5545ポンド(342万円)からに設定されている。
一方でマツダの哲学は、反体制的なものでもある。長い航続距離のために、大きなバッテリーを搭載する、という純EVの主要な流れとは異なる。
結果、MX-30がフロアに搭載するリチウムイオン・バッテリーの容量は、35.5kWhと比較的小さい。そのかわり製造時の環境負荷は小さく、価格を下げ、軽量だから動的性能にもメリットがある。
35.5kWhのバッテリーで199kmの航続距離
航続距離は200kmしかない。マツダは、対象となるドライバーが日常的に走行する条件では、充分な距離だとしている。
この航続距離はコンパクトな純EVと比較しても短い。例えば、イギリス仕様のプジョーe208の場合は339km。同じく日産リーフは312km走れる。航続距離が短いと指摘される、ミニ・エレクトリックですら228km、ホンダeでも218km走れるのだ。
魅力的な価格と動的性能などを備えているとしても、果たして、マツダの哲学をドライバーに理解してもらうことはできるのだろうか。疑問は残る。
MX-30には、マツダの魂動デザインと呼ばれるデザイン言語を、進化させたスタイリングが与えられている。シャープでクリーンな面構成は、内燃エンジンを搭載するクロスオーバーのCX-30などとは明らかに違う。
ルックスはボクシーで、マツダらしい控えめなスタイリングに、スタイリッシュな処理が施されている。ドアは、RX-8のような観音開きだ。
試乗車は、オプションの3トーン塗装が与えられ、一層見た目が際立っていた。エンジンを搭載するかのようにボンネットは長く、純EVらしさは強くない。
車内は、純EV専用アーキテクチャによる、空間的なメリットを享受している。同時に、従来的な構造や操作系も残された。
ダッシュボードの造形はクリーンで、8.8インチのインフォテインメント・システム用モニターを奥の方にレイアウト。エアコン用の7.0インチのタッチモニターが、センターコンソール上にある。
機敏な動的性能のクロスオーバー
エアコン用モニターの周囲には、スイッチ類が残され、インフォテインメント・システム用には、ロータリーコントローラーが用意されている。実用性を犠牲にしたモニター化ではない点が、評価できる。
インテリアには、触感のいい素材を多用。一部にはコルクや環境に優しい素材も採用し、上質で快適なインテリアを構成する。センターコンソールも個性的。
今回試乗したのは、量産直前のプロトタイプ。英国では上級グレードとなるGTスポーツ・テックだった。エントリーグレードでも、ヘッドアップ・ディスプレイや8スピーカーのオーディオ、18インチ・アルミホイールやバックカメラなどが標準装備になるという。
MX-30のデザインで注目なのが、リアヒンジのリアドア。RX-8を彷彿とさせ、後部座席へのアクセスもしやすい。フロントドアを開かないと、リアドアは開かないけれど。
後部座席は、余裕があるとはいいにくい。身長の高い大人は、特に足元周りで狭く感るだろう。荷室空間は366Lあり、リアシートを折り畳めば1171Lにまで広がる。
電気モーターはフロントに搭載され、145psと27.4kg-mを発揮する。多くの純EVと同様、最大トルクは発進と同時に生み出される。爽快に活発な加速を引き出せる。
35.5kWhと小さなバッテリーのおかげで、車重は1645kgと、このサイズの純EVにしては軽い方。ダイナミックに走る。純EVとして、機敏な動的性能を得たクロスオーバーだ。
ステアリング裏のパドルを弾けば、回生ブレーキの強さを調整できる。5段階から選べ、最も効きを強くすれば、ほぼワンペダルでの運転も可能だ。
ロータリーによるレンジエクステンダー版?
今回の試乗では、様々な条件で約65kmを走行した。その結果、残りの航続距離は91km短くなっていた。
さほど丁寧に運転したわけではなかったから、余計に短くなったのだろう。しかし、200kmより短い距離で充電が必要になることを示唆している。充電器は、最大で6.6kWのACか50kWのDCに対応する。
MX-30は、多くの点で評価できる。スタイリッシュだし、装備も充実している。洗練され上品で、価格だけ見れば競争力も高い。コンパクト・クロスオーバーの純EVとして、オススメできる要素は多い。
航続距離が、最後のひと押しをためらわせる。マツダが設定するターゲット層には、丁度いい距離かもしれない。しかし、より長い航続距離が与えられれば、そちらに流れる可能性は高い。200kmで充分なら、MX-30は良い選択肢になるだろう。
現時点で、より大きなバッテリーを搭載する予定はない。そのかわり、レンジエクステンダー版が出ることも考えられる(ほら、フロントに発電用ロータリーエンジンを搭載できるスペースが!)。マツダの主張では、大容量バッテリーより長い航続距離が得られ、環境負荷は抑えられるという。
航続距離に納得できれば、増加する純EVの中で、マツダMX-30は歓迎できるモデルに位置づけられる。ほかのブランドとは少し違うというマツダのスタイルは、純EVでも変わらない。
マツダMX-30 eスカイアクティブ GTスポーツ・テック・プロトタイプ(欧州EV仕様)のスペック
価格:2万9845ポンド(399万円:英国政府の補助金適用)
全長:4395mm
全幅:1795mm
全高:1570mm
最高速度:140km/h
0-100km/h加速:9.7秒
航続距離:199km
CO2排出量:0g/km
乾燥重量:1645kg
パワートレイン:同期電気モーター
バッテリー:35.5kWh
最高出力:145ps
最大トルク:27.4kg-m
ギアボックス:-
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