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スポーティ「フレーバー」を楽しむ フォルクスワーゲン・カルマンギア MGBに代わる1台を選ぶ(5)

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スポーティ「フレーバー」を楽しむ フォルクスワーゲン・カルマンギア MGBに代わる1台を選ぶ(5)

起源はクライスラーのコンセプトカー?

フォルクスワーゲン・カルマンギアの誕生には、アメリカ・デトロイトが深く関わっている。同社の上層部は殆ど把握していなかったようだが、1950年代のクライスラー社とイタリアに拠点を置くカロッツエリアのギア社は、積極的にビジネスを展開していた。

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大西洋を超えて、いくつものデザイン提案が練られていた。クライスラーのデザイナー、ヴァージル・エクスナー氏による審美眼のもと、とある次期モデルの候補も、そこには含まれていた。

ギアがデザインから製造まで請け負ったコンセプトカー、デ・エレガンスのスタイリングは、ひたすら美しかった。フロントフェンダーは滑らかに後方へ流れ、リアフェンダーのカーブはウエストラインからキックアップし、優雅なテールを織りなしていた。

筆者が推す、フォルクスワーゲン・カルマンギア、タイプ14のスタイリングと、共通する特徴が見られるのは偶然ではない。ボディサイズは、大きく異なるけれど。

ドイツの国民車を提供するメーカーとして、実用主義に軸を置いていたフォルクスワーゲンは、タイプ1のビートルとタイプ2のバスに続く新しいモデルファミリーを、その頃に検討していた。ドライバーを喜ばせる、スポーツカーの創出に意欲的だった。

今でも見るものを魅了するフォルクスワーゲン

フォルクスワーゲンは、ギア社へビートル・カブリオレの生産を委託していた。そこで、スポーツカーの開発に関しても協力を仰いだ。偶然にも、生産には至らなかったデ・エレガンスのスタイリングが、ギア社では宙に浮いていた。

ビートルのフロアパンへサイズが合うよう、ボディは40%縮小。役員会議で美しいクーペが披露されると、出席者はその提案へ魅了された。すぐに量産化が決まったという。

魅力的なモデルの誕生秘話として、望ましい内容ではないかもしれない。しかし、今でも見るものを惹き込むフォルクスワーゲンであることは、間違いないだろう。

生産が始まったのは、1955年。フォードサンダーバードにMGA、トライアンフTR3、メルセデス・ベンツ190SL、ジャガーMk1、シトロエンDSなど、興味をそそられるモデルのビンテージイヤーといえた。その中で、カルマンギアも輝いていた。

小さな空冷・水平対向4気筒エンジンのクーペを、スポーツカーだと強くは主張しにくい。発売当初の最高出力は、当時としても高くはなかった36ps。1969年には57psへ増強されたが、それでも活発に走るな、と思わせる程度といえた。

とはいえ、運転体験は速さだけではない。滑らかなパワーデリバリーや、シフトフィール、聴き応えのある排気音も大切な要素になる。MGBへ劣らないような美しい容姿も、クルマの魅力を織りなす重要な側面といえる。

スポーティなフレーバーを楽しむ

そうはいっても、クルマだから走るのが本分。フラットなフロアパンへ据えられたシートへ腰を下ろすと、目線はかなり低い。ボンネットが前方で弧を描き、トランクリッドが後方視界の一部を彩る。スポーティな雰囲気を醸し出している。

排気音は、おなじみのガサついたフラット4ノイズ。シフトフィールは例によって曖昧で、レバーでゲートを探り出す必要がある。社外品のショートシフト・キットを組むと、大幅に選びやすくなるが。

走り出してみると、印象はビートルと大きくは違わない。低く屈んだフォルムだから、最高速度は少し高いはず。しかし局面的なボディパネルを繋ぎ合わせるため、ギア社の職人は軽くない溶融鉛を利用している。車重は、ビートルからだいぶ増えていた。

細いタイヤでカーブへ突っ込むと、例によってアンダーステア。リアに載ったエンジンの荷重移動次第では、オーバーステアへ転じる。しかし、50km/h程度で走っている限り、心配は無用。スポーティなフレーバーを、楽しんでいるのが良い。

ビートルと部品の多くを共有し、スペアパーツの入手は今でも難しくない。フォルクスワーゲンの専門店を訪ねれば、必要な部品の殆どを揃えてくれる。クラシックカーとしては、維持費は懐に優しい。

ただし、ボディパネルは高価。予め、腐食が少ない例を選ぶのが賢明だろう。

最もセクシーなボディを持つ1台

英国での中古車価格は、クーペなら1万2000ポンド(約234万円)程から。今回ご登場願ったコンバーチブルは珍しく、5000ポンド(約98万円)前後のプレミアが載る。

北米から輸入された左ハンドル車が殆どで、状態によって値段には大きな幅がある。選択肢は、今回比較する6台では1番多い方といえるだろう。

レッドのカルマンギア・コンバーチブルのオーナーは、ジョン・ニコラス氏。1969年式を、8年前に購入したという。「最もセクシーなボディを持つ1台ですよね」。と話す通り、彼は今でも惚れ込んでいる。

数年前、オーナーズクラブのイベントで、雨がちなスコットランドを数日間ドライブしたとか。劣化したシールから雨水が流れ込み続けたが、妻もカルマンギアが大好きなのだと、改めて確認することになったらしい。

「ブレーキは改良した方が良いかもしれません。でも、全体的には所有する価値のある、素晴らしいクルマだと思います」。筆者も強く同意する。

編集部によるマニア度スコア

コストパフォーマンス:2/5
メンテナンス性:5/5
修理部品の入手性:4/5
実用性・使いやすさ:3/5
運転体験の魅力:2/5
クルマ好きの話題性:4/5
合計:20/30

フォルクスワーゲン・カルマンギア・コンバーチブル(1957~1974年/英国仕様)のスペック

英国価格:1166ポンド(クーペ/新車時)/3万5000ポンド(約683万円/現在)以下
生産数:8万877台(コンバーチブルのみ)
最高速度:135km/h
0-97km/h加速:21.3秒
燃費:9.5km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:870kg
パワートレイン:水平対向4気筒1584cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:57ps/4400rpm
最大トルク:11.3kg-m/3000rpm
ギアボックス:4速マニュアル(後輪駆動)

この続きは、MGBに代わる1台を選ぶ(6)にて。

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みんなのコメント

3件
  • kmq********
    ハワイで、アグネス・ラムの愛車だった
    ボディ色が思い出せない
  • niw********
    かっこいい..優雅な感じがいいね、昨今のイキってる顔の車とは違い余裕がある大人って感じる
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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