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日産が新型「スカイライン」発表! 唯一の「4ドアセダン」に「走りのNISMO」理由は? 9月発売へ

掲載 更新 49
日産が新型「スカイライン」発表! 唯一の「4ドアセダン」に「走りのNISMO」理由は? 9月発売へ

■13代目登場から10年越しに「NISMO」設定の理由とは?

 日産は2023年8月8日、特別仕様モデル「スカイラインNISMO」を発表しました。
 
 近年では国産セダンの需要が減少するなか、スカイライン現行型(V37)の登場から11年目を迎え、その去就についても注目が集まっていましたが、このタイミングで日産とNISMOはなぜ特別仕様モデルを発表したのでしょうか。

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 スカイラインは1957年に登場したミディアムサイズセダンで、70年近くもラインナップされ続けている、日産を代表するモデルです。現行型は13代目で2013年11月に発表されました。

 高級車でありながら、スポーティな味付けのエンジンや足回り、ハンドリングの良好なFR(後輪駆動)を採用していることが特徴で、ミディアムセダンのなかでも走りの良さを追求した国産スポーツセダンの代名詞となっています。

 一方、昨今のアウトドアブームなどからクロスオーバーSUVが主流になっており、かつて一般的であった4ドアセダンは各社ともにラインナップ縮小を余儀なくされています。

 日産も例外ではなく、高級セダンとして歴史の長い「シーマ」「プレジデント」や「フーガ」、コンパクトセダン「シルフィ」などの販売はすでに終了。スカイラインは現在、日産ラインナップにおけるセダンとして唯一残るモデルとなっています。

 現行スカイラインも幾度かの改良を経ていますが、モデルライフ途中に追加されたハイブリッドモデルや先進運転支援機能「プロパイロット2.0」搭載モデルなどは現在ラインナップから消滅し、モデル展開の縮小が見られます。

 国産車として11年もの長いモデルライフを送っており、これらのことからスカイラインも終了するのではないかといった憶測が広がり、2021年6月にはスカイライン廃止という一部報道が世間をざわつかせました。

 報道から3日後、星野朝子副社長が「日産自動車はスカイラインを決してあきらめない」とコメントしたことで一時は収束したものの、依然11年目を迎えたスカイラインの去就については注目されていました。

 こうしたなかで、日産は今回「スカイラインNISMO」を発表しました。

 コンセプトは「The Skyline GT よみがえれ、羊の皮を被った狼」を提唱。NISMOによる「スカイラインGT」原点への敬意を示し、グランドツーリングカーとしての集大成を目指したといいます。

「GT(グランドツーリング)」とは、1963年の2代目スカイライン登場翌年に開催された第2回「日本グランプリ」に出場するために突貫で開発されたモデルで、セダンでありながらポルシェ「904」などの生粋のレーシングカーと対等に争うことができ、2位から6位を独占。

 それ以来、赤い「GT」バッジとともに歴代スカイラインに設定されてきたスポーツグレードですが、スカイラインNISMOにはこのバッジが復刻され、限定で発売されることになりました。

 今回、スカイラインNISMOが誕生した背景として、日産モータスポーツ&カスタマイズ(NMC) NISMO商品・戦略企画部チーフプロダクトスペシャリストの饗庭(あいば) 貴博氏は以下のように話します。

「『羊の皮を被った狼』と称され、日本の多くの自動車ファンに誇りをもたらしたこの『スカイラインGT神話』から60年を迎える中で、スカイラインの集大成・原点回帰として誕生しました」

 また、車両評価責任者である神山 幸雄氏は、「はっきりとしたことは言えない」としつつも、以下のように補足しています。

「(現行型の)スカイラインは長く作っていますので、これからもずっと作り続けられるという状況ではありません。

 そうしたこともあり今回は気持ちを強く持って、スカイラインがこれまで目指し続けていたGTカーの理想と、NISMOロードカーの『より速く気持ちよく安心して走れる』ということを重ね合わせ、さらに追求したモデルなのです」

■「スカイラインの原点」とは?

 スカイラインの原点回帰を考える上で、1980年代後半から日産開発部門が提唱していた「P901活動」で実施していた方法を用い、ドライバーとクルマの対話を大切にするという方針を取ったといいます。

 NMC チーフビークルエンジニア(CVE・開発責任者)長谷川 聡氏は以下のように話します。

「P901活動とは30年前、国産車の多くは欧州車に(走行性能面で)負けていたので、立ち向かえる、同じくらいの性能のクルマをつくりたいとしてはじまったプロジェクトの総称です。

 1990年に日産車の走りが世界一になっていることを目標として、『Catch the GTI and 944』(フォルクスワーゲン「ゴルフGTI」とポルシェ「944」のこと)を掲げ、今でいう深夜残業をかなりやって、日産の操縦安定性をよくしていた時代でした」

 これにより、初代「プリメーラ(P10型)」やスカイライン(R32型)が誕生し、日産の走行性能が世界的に評価されました。

 日産によれば、現在の多くのクルマがシミュレーションを用いて開発される一方で、P901活動時代と同様に、スカイラインNISMOでは実車を用いて度重なる走行テストを経るという愚直な開発を行ったと説明します。

 ちなみに前出の神山氏は、このP901活動にも参加していたことから、そうした当時の状況も現在の開発陣に伝えられたといいます。

 さらに集大成としての側面をもたせるべく、GTの赤バッジを装着し、スカイラインの歴史や日産においてのスカイラインの存在を改めて知ってもらうという目的もあると長谷川氏は話します。

「『赤いGTバッジって何だっけ』と(思ってもらい)、そのスカイラインの過去を紐とくトリガーに是非なってもらいたいと思うんです。

 やはり日産で仕事してきた人間はスカイラインが好きで、特別な存在なんです。そしてユーザーの方が思ってる以上に、僕らも“スカイラインはこうでなきゃ”というイメージがあります。

 情熱的なクルマ作りとか人とか、そういったところまで関心がもう1回さかのぼるといいなと。そうした呼び水になることを期待しています」

 1957年の初代スカイライン登場後、70年近くも名称が続いているスカイラインは、日産だけでなく開発側としても強いこだわりやプライドがあるようです。

 4ドアセダンとしての利便性と快適性、スポーティさという、GTカーとしてのスカイラインの原点をいちから考え直した上での結論が、このスカイラインNISMOで示されるということになります。

■「GTカーの資質」を追求した走行性能は?

 2023年7月に、新型スカイラインNISMOを日産のテストコースで試乗してみました。

 パワートレインは3リッターV型6気筒ツインターボエンジンに7速ATを組み合わせ、FRという基本設定に変更はありませんが、最大出力420馬力・最大トルク550Nmの高性能を発揮します。

 ベースとなったスポーティグレード「400R」を比較すると、15馬力・75Nmの大幅な出力向上を実現しました。

 エンジン本体のパワーアップに加え、NISMO専用のATシフトプログラムにより、高速道路の追い越しやゆるやかな登り坂などでトルクを有効に使えるよう、低い回転数で大トルクを発揮するようにセッティングされています。

 テストコースの登り坂コースではアクセルを踏み増したり、シフトダウンするといったことをせずスムーズに加速することができます。

 また、専用開発タイヤは400Rよりもリアを20mm拡幅してグリップ力を高めるとともに、軽量・高剛性を両立したNISMO専用19インチホイールを装備。

 加えて、サスペンションとスタビライザーに専用チューニングを施すことで、旋回時にロールを抑えつつも起伏のある路面で追従性を保ち、限界域まで安心して走行することが可能となりました。

 テストコースではさまざまな起伏が再現された路面とともに、大小それぞれのコーナーが設けられ、低速から高速までの幅広い速度域で走行性能を確認できるようになっています。

 スカイラインNISMOでは、これらの専用チューニングにより前席・後席ともに乗り心地を悪化させることなく、俊敏で軽快なハンドリングを実現しています。パイロンを等間隔に設けたスラローム路においても、揺り返しの少なくキレの良い動きを可能としています。

 その他、耐フェード性に優れる摩擦材を使用したブレーキや、ABS・VDCなどの制御も最適化することで、コントロール性の向上を図り、サーキットでの使用にも耐えうる電子制御としています。

 インテリアでは黒基調とすることで落ち着いてドライビングできる空間を実現。ドライバーシート周りでは280km/h表示のメーターやレッドリングのタコメーターを採用し、走行性能の高さを予感させています。

 オプションで用意されるブラックのレカロ製スポーツシートはセンターに赤いアクセントカラーを配置。ヘッドレスト一体のバケット形状により、急旋回時のホールド性を確保したといいます。

 先程のスラローム路においても、ステアリングの保持や視線、ドライバーの荷重が過度に移動することなく、安定した操作を実現していました。

 一方で、座面は体圧を分散する構造によって、バケットシートにありがちな硬すぎるものではなく、あくまでもGTカーとしての性質を持たせているため、長時間の乗車においても疲れにくいという快適性も両立しています。

 エクステリアは「GT-R NISMO」(2024年モデル)や「フェアレディZ NISMO」など、最新のNISMOロードカーのデザインを取り入れつつ、赤いGTバッジや歴代スカイラインをオマージュした意匠を各部に取り入れたNISMO専用エアロパーツを装備しています。

 専用エアロパーツは重量増加を抑制しつつも、空力性能やラジエーターの冷却性能などの実用性も考慮されたデザインとなっています。

 これらの専用内外装によって特別感を演出すると同時に、スカイラインの集大成であることを視覚的に示した仕上がりとなりました。

 新型スカイラインNISMOは1000台限定販売で、価格は788万400円。9月上旬に発売予定です。

 なお、スカイラインNISMOをさらに特別に仕立てた「LIMITED」を100台限定で2024年夏に用意する予定で、匠による手組みの高精度エンジンや職人による手作業で貼付したデカールなどがあしらわれています。こちらは947万9800円です。

※ ※ ※

「ドライビングプレジャー」を追求し、多くの自動車ファンを増やしたスカイラインの“集大成”として、ユーザーにどのように受け入れられていくか、注目が集まります。

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みんなのコメント

49件
  • IS500と同じでモデル末期のテコ入れでしょうね。
    内燃機関の開発が規制でブレーキかかってるから
    どこも大変だな。
    無論消費者としても、買い替えタイミングや車種など悩みどころ。
  • デビュー当時のGTRとほぼ同じ価格ですね!
    モデルチェンジ出来なくても改良して売り続けるのは、日産の意地なんでしょうね。
    スカイラインは、存続して欲しいですね!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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