フォルクスワーゲン ポロ 「マジメが一番」のユーザーレビュー

RT141N14 RT141N14さん

フォルクスワーゲン ポロ

グレード:TSI コンフォートライン_RHD(DSG_1.2) 2014年式

乗車形式:レンタカー

評価

5

走行性能
4
乗り心地
4
燃費
4
デザイン
5
積載性
5
価格
5

マジメが一番

2023.9.5

総評


代車として2014年式・走行約8万kmの個体を約1週間(実質4日間)お借りしました。
先代にあたる9N型を新車から3年間所有しましたが、誰もが認めるBセグメントのベンチマークらしく全体的なクオリティの高さには一切の揺るぎがないことを改めて思い知らされました。

この次の現行AW型で小型車枠を踏みこえてしまったのは返す返すも残念です。
満足している点
実用に徹する車としてこれ以上何を望む?というほどの隙のない基本能力の高さと徹頭徹尾穏やかな性格は、特にこのセグメントでは得難いものがあります。

あと、純正オーディオ(ヘッドユニットはオプション?の2DINナビゲーション)も気に障るところのないバランスの取れた自然な鳴り方でした。
不満な点
実用Bセグメントとして、死角はまるで見あたりません。満たせないのはクルマ好きの煩悩だけ?
デザイン

5



実用一辺倒のクルマらしく外装に「デザインのためのデザイン」的な要素はほとんどなく、かといって先代9N型に若干みられた野暮ったさも感じさせないのは見事です。

内装では、9N型では真っ黒けで余りに素っ気なかったダッシュボードにもごく控えめにめっきのアクセントが与えられ、またこのブルーモーションではステアリングホイールやシフトノブが革巻きとなるなど、最低限の装飾で大きな効果を発揮しています。

中央部に布地が貼られるドアトリムは、アームレストを除いて一面プラスチックとなる素の現行ミニよりも断然上質に映ります。
走行性能

4



エンジンは1.2L直列4気筒"SOHC"ターボのCBZ型で、最大出力とトルクはそれぞれ105PS/5000rpm・17.8kgf-m/1500-4100rpmです。9N型5ドア1.4Lよりも40kg軽い1100kgの車重に対して実用上の不足はなく、全開加速では4500rpmを超えたあたりから勢いが鈍りますが1~2人乗車なら高速道路での追い越しもさほど苦にはなりません。メーター読み100km/hは7速で約2050rpmです。
初代アウディA1で1.0Lと1.4LのTFSIは経験済みですが、この1.2L版は全体的には1.0Lの自然なドライバビリティに余裕をプラスした印象です。1.4Lで気になった、「ジキルとハイド」的に燃費モードと性能モードを激しく行き来するような印象はほとんど受けませんでした。


トランスミッションはいわゆる「DSG」すなわち内製の7段乾式DCTで、発進時の半クラッチを含め変速はとても滑らかかつ敏速です。
ちょっとした負荷の変動でもこまめにギアを上げ下げしますがこれはメーターパネルのシフトインジケーターをこまめに見ないと気づかないほどで、音振やトルクの変動も自然です。
ただやはりDポジションでは燃費のため巡行時に回転を低く保つので、エンジンブレーキの効きは弱いです。シフトパドルの備えがないので強いエンジンブレーキを得るにはシフトレバーを横に倒してから手前に引く必要があるのがやや煩雑で、この辺は倒すだけで1段落ちるBMW式に分があります。


4輪ディスク式のブレーキはマスターシリンダーもきちんと右側に移設する真面目な右ハンドル化が功を奏してか、通常の範囲ではタッチ・効きともすこぶる漸進的で非常に扱いやすいものでした。


パワーステアリングはさすが油圧式(圧力は電動ポンプで発生)で、電動式によくあるような舵角によって不自然な反応を示すことは一切なく、これまたごく自然な印象でした。


サスペンションはFF小型車のスタンダードである前ストラット式・後トーションビーム式です。
コーナリングは後ろをしっかり落ちつかせて舵角で曲がるいかにも実務的な印象で遊び心は起きようもありませんが、クルマの性格的には至極当然の仕付けでしょう。


視界についても文句の付けようがありません。高めの着座位置を採るため相対的にウエストラインも下がり、十分に確保された窓面積と相まって「ストレス?何それ」という感じの取り回し性です。
乗り心地

4



タイヤはブリヂストンのPlayz PX-C(前後ともサイズは185/60R15、2019年第16週製造)でした。指定空気圧は軽荷重時前220・後200kPaで、借り出し後すぐにそれに合わせました。車検証記載値上の前後軸重は前700kg・後400kgで前後重量配分は64:36です。
一般道から高速道路まで乗り心地は一貫して穏やかで、ヒョコヒョコ揺すられることもありません。大きな入力に対してリアが多少ドタバタするのと、高速で強い横風に見舞われると多少ながら左右の揺れに見舞われるのが気になりましたが、それ以外は一貫して安穏としたドライブを楽しめることでしょう。


最近のコンパクトカーは3気筒エンジンが当たり前になってしまいましたが、このポロの4気筒はやはりそれらとは全く別次元の質感です。初代A1で乗った3気筒1.0Lも特有の音以外は悪くなく、VWアウディの横置きマウントの按配自体が優れているのでしょうが、それにしてもこのポロは日常的な使用でスナッチなどの不粋な低級振動を一切示すことがなかったのには驚きました。
また、このエンジンは回転域にかかわらず音・振動もよく抑えられています。音質自体は無愛想ですが、回してもウルサくなるようなことがないので性能を引きだすのに億劫になることもありません。
速度を上げてもエンジンはもとより風切り音もほとんど気にならず、古びたタイヤ起因と思われる音が高まる程度です。タイヤが良ければ実用上気になるところは皆無と思われます。


運転環境は日本仕様ポロ最大の美点といえると思います。きちんと真正面に位置したステアリングホイールとその右側に置かれるABペダルの配置は、日本車ですら出来ていないものが珍しくありません。ステアリングコラムの上下前後調節を使えば、適切かつ満足できる運転姿勢を取れます。
ただ、これを実現するためにトーボードを後退させざるを得なかったのは致し方なく、ステアリングは私の場合コラムをほぼ一杯に手前まで引かないと適切な位置にはならず、またダッシュボード右端のライトスイッチは手を伸ばさないと届かなくなります。
シートは先代同様やや平板な座り心地ですが、身体をしっかり支えてくれる感じはありました。



右ハンドル化の代償は後席にも及び、身長178cmの私が上記の運転姿勢を取ってその後ろに座ると膝前空間はほとんどありません。前席下につま先を突っ込めるのが救いです。
試しに助手席で左ホイールハウスをフットレストに見立てて前後位置を調節すると、運転席よりも5cm近く前になりました。これなら後席にもまずまずの余裕が生まれます。
横・上方向については狭くもなければ広くもない、まさに「ピッタリ」というところです。

後席ヘッドレストの仕組みについては特筆すべきところです。
画像でもおわかりのように、収納状態では背もたれから前に出っ張るためこのまま座ると背中に当たって邪魔なので、嫌でも適切な位置まで引き上げて使うことになります。昔から確かボルボなどもやっていたと思いますが、すべからくこうあって欲しいところです。
積載性

5





Bセグメント相応といえばそれまでですが、ボディサイズを考えれば申し分ないところかと思います。
車内では、先代にあったダッシュボード下を室内幅いっぱいに横切る棚がなくなったのが大きな変化です。

トランクは兄弟の初代A1とは違い、ホイールハウス以外は極力幅を一杯に取られています。後席はダブルフォールディング分割可倒式で、ヘッドレストを引き抜くことなく簡単に格納できます。

トランクの床は二重になっていますが、プラスチック成形の取っ手も付いた上側の床板の造りはうちの初代A5スポーツバックに匹敵するものがあり、ペラペラの板に取っ手も切り込みを入れただけになった現行A1などとは天地の差があります。
燃費

4



309.2km走行し(割合はだいたい高速2/3・市街地1/3)、ハイオクガソリンを27.18L給油して満タン法での燃費は11.4km/Lと出ました(エアコン使用・アイドリングストップは不使用)。
高速中心では15km/Lを叩きだしたこともある先代の1.4L自然吸気+6ATとあまり変わらないのではと思いますが、+25PS(3割増し)の性能差を考えれば効率はアップしたといえるのかもしれません。

とはいえこれは以前乗っていたアルファ147の1.6ともあまり変わらない値で、個人的には正直なところ多少期待外れでした。車載の燃費計はいつもの通勤路で15km/L近い値を出していたので「さすが」と感心していたのですが、およそ1割増しの数字が出るうちのA5よりも「ハッピーメーター」度合いが大きいのでしょうか。

(補足…後日再度お借りしたときは、9割方高速を走って257.0kmで18.34L消費し、燃費は14.1km/Lでした。おおむね18km/L前後だった燃費計はやはりかなりの過大表示のようです)

燃料タンク容量は45Lと、当時のBセグメント車の標準的なところです。
価格

5

新車当時の227万6000円という価格は、内容を考えるとバーゲンと言ってもよいほどお得だと思います。どうしてもという人でもなければ、ミニやA1などにエクストラコストを払うこともないでしょう。
故障経験
短期間の使用にて、不具合はありませんでした。

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