トヨタ ヤリスクロス 「GR SPORTを持つ小型SUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

GR SPORTを持つ小型SUV

2023.12.20

年式

2020年8月〜モデル

総評

コンパクトモデルであるヤリスをベースにしたヤリスクロス。ガソリンモデルとハイブリッドがあり、駆動方式はFFモデルと後輪に独立した駆動モーターを持たせたE-Four（4WDモデル）を用意する。さらにGR SPORTとして外観、内装、走行性能を高めたモデルも用意する。専用サス設定にボディの高剛性化がメニューだ。

満足している点

ボディサイズは全長4180（4200）mm×全幅1765mm×全高1590mm（アドベンチャーの値）と日本の道路環境でも扱いやすい。そこに燃費数値の良いパワートレーンを組み合わせ、先進安全技術群であるトヨタセーフティセンスを盛り込んだ。売れ筋となる要素だけで構成されているから、発売以降、人気が衰えない。

不満な点

とはいえ、輸入車を含めるとコンパクトSUV市場は百花繚乱となり、個性の薄いモデルは選ばれにくくなっている。また、登場から3年が経過したことで供給が追いつきつつあり市場でも見かける機会が多くなってきた。性能は未だに第一級レベルだが、レクサスLBXという選択肢も増えるなか、次の一手が望まれる。

デザイン

4

ベースのヤリス同様に、抑揚のある面構成でデザインされた。SUVは最低地上高が高めに設定されており（ヤリスクロスは170mm、GR SPORTは160mm）、腰高感を助長する。ヤリスクロスは短い全長（4180mm／4185mm）ながらフェンダーアーチモールとドア下部モールの相乗効果で凝縮した。まさにお手本デザイン。

走行性能

4

ガソリン／ハイブリッドモデルともに軽快に、そして活発に走る。ハイブリッド化といえども最新世代なので重量の増加は50kgとごくわずかだ。電動モーターから得られる力強さはかなり魅力的。ガソリンモデルも市街地メインであれば3名乗車であっても十分な加速力を披露する。理想はハイブリッドの4WDモデルだ。

乗り心地

3

FFと4WDでリヤサスペンションの構造が異なる。ハイブリッドモデルの場合、乗り味には結構な違いがあってトーションビーム式リヤサスのFFモデルの場合は、やや硬さが残る。一方、2リンク式ダブルウイッシュボーンサスとなる4WDは後輪荷重が増えたことの相乗効果で乗り味は上質。GR SPORTは引き締まった乗り味が特徴だ。

積載性

3

扱いやすいラゲッジルームながら、ボディが小さいことから絶対的な広さには欠ける。後席は分割可倒式（4.5:1:4.5）なので使い勝手にも優れる。中央部分が狭いながらも独立して倒せるので、長尺物を積載した状態でも4名乗車が可能。スペース的には狭くなってしまうが、空間をうまく利用した好例といえる。

燃費

4

THS-Ⅱと呼ぶトヨタの主力ハイブリッドシステムだが、ヤリスシリーズは高い熱効率を誇る直列3気筒1.5Lエンジンと組み合わせた。そこに軽量ボディなので、燃費数値はとても良い。いわゆるカタログのWLTC値に留まらず、実用燃費に優れる。条件の厳しいハイブリッドの4WDでも市街地の実燃費は23.0km/L近い。

価格

4

コンパクトクラスも値上げラッシュが続くが、ヤリスクロスはまだ良心的。上級グレードとなるHYBRID GR SPORT 1.5L・2WDが275万円。標準グレードはガソリンの189万6000円〜ハイブリッド4WDの293万6000円まで。装備との兼ね合いでのベストバイはHYBRID G 1.5L・E-Fourの262万5000円だ。