トヨタ ハリアーハイブリッド 「上級クロスオーバーモデルの先駆け的存在」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

5

デザイン
3
走行性能
3
乗り心地
4
積載性
4
燃費
4
価格
4

上級クロスオーバーモデルの先駆け的存在

2022.6.24

年式
2020年6月〜モデル
総評
SUV、しかもフォーマルからアウトドアフィールドまで高い満足度を得たいというユーザーにはうってつけのモデルだ。ハイブリッドモデルは実用燃費数値に優れる。リチウムイオンバッテリーにより流れの安定した道路環境ではEV走行時間が長いからだ。乗り心地もE-Fourモデルはとくに上質で、大人4名 荷物のロングドライブも苦にならない。中古車市場でも人気の車種だから手放す際も有利だ。
満足している点
クロスオーバーモデルとして確固たる地位を確立したハリアーは、ハイブリッドモデルになると実走行時の燃費性能が格段に上がることから利便性も高まる。また、競合となるSUVはアウトドアフィールドを意識したラギット感を強めたモデルが多いが、ハリアーは初代から受け継ぐ「セダン SUV」のクロスオーバーモデルであることを頑なに守っている。E-Fourは単独リヤモーターで雪道も強い。
不満な点
ハイブリッドモデルは搭載する2次バッテリー容量やその仕組みによって走行性能が大きく変わる。たとえば兄弟関係にあるRAV4にはプラグインハイブリッド方式のPHVモデルがあるが、現在、ハリアーには存在しない。トヨタ曰く「車種ごとの適正を見極めて搭載を検討しています」とのことだが、半導体などの供給改善により、将来的にはハリアーにもPHVが加わるのではないかと筆者は推察する。
デザイン

3

流麗なスタイルで新たなSUVを成立させたことから、長らくこのクラスのベンチマークとされてきた。なだらかな弧を描くルーフラインやシャープなマスクはクロスオーバーモデルの定番となった。現行モデルでは横一文字に赤く光るバックライトにバンパー下部へのウインカー移設など、こちらも新たな試みがなされた。内装も歴代が培ってきた上質さをさらに高め、パーソナル感を強めている。
走行性能

3

直列4気筒2.5L ハイブリッドシステム(THS-Ⅱ)と、直列4気筒2.0Lの2本立て。2.0LにはCVTが組み合わされる。どちらも4WDモデルがあるがハイブリッドは後輪独立モーター方式のE-Fourだ。ハイブリッドモデルは大人4名での高速走行でもゆとりがあり、それでいて20km/L近い実用燃費を誇る。2.0LモデルもFF方式であればストレスなく走る。個人的にはおすすめだ。
乗り心地

4

全般的にマイルドな印象。競合他車、とりわけPHVモデルが反応の良いスポーツ性能を重視する傾向にあるなか、あくまでも上質さを打ち出した。ハイブリッドモデルでも、FFとE-Fourでは乗り心地が大きく異なる。市街地を流れに沿って走らせる程度でも、FFは後輪からの突き上げが大き目。その点、E-Fourは後軸重が増えることから滑らかさが際立つ。後席での乗り心地も向上。
積載性

4

ボディサイズにゆとりがあることから、積載能力にも優れる。2列5人乗り仕様のみであること、後席の居住性能を重視したシート形状であることから、ラゲッジルームの前端部(前席側)は若干持ち上がる傾向にある。が、使い勝手は悪くない。バックドアはボディ下部に足を出すと自動的に開閉するハンズフリー機能をグレード別装備として用意。流麗なスタイルだがラゲッジルーム高も十分だ。
燃費

4

ハリアー・ハイブリッドの大きな特徴ともいえるのが燃費性能だ。ハリアーとプラットフォームや各種コンポーネントを共有するRAV4は2次電池にニッケル水素を使う。対してハリアーは単位質量あたりのエネルギー密度の高いリチウムイオン。その違いはEV走行時間に直結するため燃費数値にも如実に表れる。単純比較だが、ハリアー・ハイブリッドはRAV4よりも4%ほど良好。実測でも違いは明確。
価格

4

3,580,000円。これがエントリーモデル「SハイブリッドFF」の価格だ。ガソリンモデルの同グレードとの比較では電子制御ブレーキ「ECB」や専用装備が付くため590,000円高くなる。昨今、カタログ値では魅力的な数値が踊るが、車格に応じた装備をオプション装備で加えていくとかなり高額になる。その点、ハリアー・ハイブリッドはSグレードであっても十分。トータルでの満足度は高いはずだ。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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