トヨタ ハリアーハイブリッド 「これは現代のマークⅡ」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

工藤 貴宏
工藤 貴宏(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
5
走行性能
4
乗り心地
5
積載性
4
燃費
5
価格
3

これは現代のマークⅡ

2022.6.21

年式
2020年6月〜モデル
総評
ハリアーは、いうなれば「現代のマークⅡ」である。マークⅡはバブル期前後に大ヒットしたトヨタのセダンで、周囲よりも上級に感じさせる内外装が人気の理由だった。当時は一般的な乗用車といえばセダンだったが、それがSUVへと変化した今と考えればハリアーはマークⅡのような存在なのだ。力強さやカジュアルな雰囲気はRAV4、いっぽうで都会的な雰囲気やエレガントさではハリアーとすみわけがしっかりできている。
満足している点
エレガントなスタイル。美しさで選びたいSUVだ。外装だけでなく内装も含めて高級感があり、この雰囲気だけでハリアーハイブリッドを選びたくなる理由としては十分だ。価格帯もベーシックな「S ハイブリッド(2WD)」の358万円から最上級となる「Z “レザーパッケージ”ハイブリッド(2WD)」まで幅広く展開されているから好みに応じて選べるし、4WDも選択可能と選択肢が広いのもいい。
不満な点
全長4740mm×全幅1855mmの車体は日本の常識に照らし合わせると大きめで、狭い道や駐車場ではやや苦労することも。購入時は自宅駐車場や行動範囲の駐車場で無理なく乗り降りできるかまで検討したいところだ。また、ガソリン車に対して約60万円高くなる“ハイブリッド代”もそれなりに高額なのが気になるところ。メカニズムにお金がかかっているのは理解できるのだが…。
デザイン

5

誰もがカッコいいと感じる流麗なデザイン。いうなればSUVの形をしたクーペのような存在だ。SUVながらオフロードテイストや土臭さを徹底的に排除し、スポーティで都会的な雰囲気を前面に押し出している。同じトヨタの中にいる兄弟車RAV4がオフローダーらしい力強さを追求しているのとは対照的に、こちらはエレガントを追求しているのだ。横から見たときに流麗に感じる秘密のひとつはサイドウインドウのデザインで、リヤクォーターウインドウ(リアドアよりも後ろにある窓)の上部が後ろへ向かって大きく傾斜していることでクーペのような雰囲気を作っている。馬の鞍をイメージしたセンターコンソールなど、インテリアの高級感も抜かりない。
走行性能

4

ハリアーにはガソリン車とハイブリッドが存在するが、ハイブリッドはガソリン車よりもパワフル。そもそもガソリン車のエンジン排気量が2.0Lに対してハイブリッドでは2.5Lとゆとりがあり、そこへモーターを加えているのだから動力性能に優れるのだ。ハイブリッドカーといえば燃費に優れるだけの乗り物と思われがちだが、「燃費が優れる上に動力性能的にもゆとりがある」というのが昨今のハイブリッドカーのトレンドとなっている。パワーユニットは基本的にRAV4のハイブリッドと同じだが、駆動用バッテリーはRAV4が6.5Ahのニッケル水素になのに対し、ハリアーハイブリッドは3.7Ahのリチウムイオンと異なる。ただし、走りの面での違いを感じることはできなかった。ハンドリングはキビキビとしたRAV4に対しておっとりした印象。
乗り心地

5

高級サルーンのような乗り味だ。同じメカニズムを使うRAV4が入りのキビキビ感を重視したハンドリングで乗り味も締まった感じを受けるのに対し、ハリアーはあくまでしっとりとしなやかさ重視。スムーズに動くショックアブソーバーを採用するなど路面の凹凸もしっかりと吸収して乗員に伝えないように配慮されている。また、遮音材を多く使うなど静粛性に対しても手当されていて、静かな車内は移動中の疲労低減にもつながる。
積載性

4

単純な広さでいえば身内のライバルであるRAV4ハイブリッドよりもラゲッジスペース容量が少ない。それは実用性を高めたRAV4に対してハリアーはエレガントなデザインを重視とキャラ分けがしっかり行われているからだ。具体的にいえばテールランプ下に“くぼみ”があるデザインによって荷室が狭くなるが、それは積載性よりデザインを重視したから。傾斜の強いリヤウインドウも同様である。とはいえ、1mに迫る床の奥行きを誇るなど一般的な基準でいえば荷室は十分に広い。クラスに見合う容量はしっかり確保している。
燃費

5

FFモデルのWLTCモード燃費は22.3km/L。ガソリン車の15.4km/Lの約4割増しという優れた燃費性能はうれしい。実際の走行でも流れのいい郊外路であれば20km/Lに迫ることもある。浮いた燃料代で通常のガソリン車との車両価格差を埋めるのは難しいが、燃費がいいだけでなく動力性能にゆとりがあって、手放すときのリセールバリューも高いと考えればハイブリッドを選ぶ価値は十分だと思える。
価格

3

大きめの車体とした上級SUVなのに300万円を割り込む299万円からというガソリン車の値付けには誰もが驚いた。ハイブリッドでもっとも安い「Sハイブリッド(2WD)」の価格は358万円。ガソリン車であれば約10万円を足すことで革シートを備える中間グレード「G“レザーパッケージ”」に手が届くのが悩ましいところ。走りでハイブリッドを選ぶか、それとも装備の充実度でガソリン車を選ぶかという選択になる。
工藤 貴宏
工藤 貴宏
自動車ジャーナリスト
1976年生まれ。クルマ好きが高じ、大学在学中に自動車雑誌の編集部でアルバイトしたことをきっかけに、そのまま就職。そして編集プロダクションを経てフリーランスの自動車ライターに。日々新車を試乗し、日夜レポートを書く日々も気がつけば10年以上。そろそろ、家族に内緒でスポーツカーを買う癖はなんとかしないと。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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