トヨタ GRヤリス のみんなの質問

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GRヤリスの4WDシステムについて

GRヤリスの4WDシステムを調べていると、画期的だと絶賛する声をよく聞くのですが、要は今までの方式ではセンターデフがしていた、デフォルトの駆動力配分をリア寄りにするという仕事をリアデフがしているというだけですよね?
何がそんなにすごいんでしょうか?
というか、なんで今までそういう方式はなかったんでしょうか?
自動車初心者なので的はずれな質問かもしれないですが、わかる方教えてほしいです
よろしくお願いします

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ベストアンサーに選ばれた回答

GRヤリスの四駆システム「GR-Four」は面白いシステムですね。仰る通り前後輪のデフギアの変速比によってFFベースの4WDでありながら、後輪偏重トルクを作り出しています。他の四駆システムとの違いも含めて書きますが、既にご存じの内容ばかりでしたらすみません。少し長くなりますが、最後までお付き合いいただけましたら幸いです。

「フルタイム4WD」と呼ばれるものには大きく分けて以下の3種類があります。
1) センターデフ式フルタイム4WD
2) トルクスプリット型フルタイム4WD
3) スタンバイ式4WDの拡大解釈
GR-Fourは上記のうち「2」に該当しますね。

◆1 センターデフ式フルタイム4WD

エンジンからの出力を一度センターデフが受けて、そこから前後輪に分配する仕組ですね。基本は前後トルク配分は50:50ですが、センターデフにプラネタリーギアを用いて後輪偏重トルクにしている車種もあります。このセンターデフ式フルタイム4WDは、コストや重量の関係で採用できる車種が減り、現行国産車ではトヨタのエンジン縦置4WD(レクサスLS/IS、ハイエース、タウンエース、ランクル系)か、スバルのVTD-AWD搭載車(S4/レヴォーグ2.4L)程度に限られます。レクサスLS/IS、スバルのVTD-4WDは、後輪偏重トルクです。メルセデス・ベンツのエンジン縦置4MATIC等も同様ですね。
後輪偏重トルクとすることで、回頭性が向上することや、前輪駆動系を簡素にして前輪荷重を減らせるといったメリットがあります。

◆2 トルクスプリット型フルタイム4WD

センターデフを持たないフルタイム4WDで、1987年にスバルレオーネに搭載された「ACT-4」が先駆けですが、今でも「ACT-AWD」としてスバルのメインの四駆システムです。
基本はFFなので、前輪はエンジンに直結です。そこから後輪にトルクを分配するクラッチがあります。クラッチを強制的にカットすると前:後=100:0、クラッチの直結率最大で50:50になり、その間を電子制御で最適なトルク配分を行う仕組みです。スバルのACT-AWDの場合は基本配分を60:40のトルク配分にしています。2代目ヴェゼルも同様な仕組みです。フルタイム4WDといってもセンターデフ式フルタイム4WDとは根本的に仕組みが異なるのですね。

GR-Fourも基本は同じ仕組みなのですが、前後トルク配分を100:0~30:70まで変動できます。FFベースなのに前:後=30:70になるのは、ご存じの通り前後のデフギアのギア比をかえて後輪偏重トルクを基本としているからですね。また、そのトルク配分もドライバーの意思で変更できます。

SPORT=30:70
TRACK=50:50
NORMAL=60:40

後輪にトルク配分するクラッチが最大に強いときは「SPORT=30:70」。少し弱めると「TRACK=50:50」。もう少し弱めると「NORMAL=60:40」となります。
このクラッチはJTEKTのITCC(電子制御カップリング)になります。後輪偏重トルクに対応できる強化型のITCCの搭載や駆動系の強化や高度な電子制御等のコストがかかりますので、通常のエンジン横置FFベースの4WDでは採用困難だった思います。高額なGRヤリスやGRカローラだから採用できたのではないでしょうか。

◆3 スタンバイ式4WDの拡大解釈

スタンバイ式4WDは、FFベースの場合、通常走行はほぼFFで走り、前輪が空転するなどしたときのみ四駆として機能するものです。前後輪の回転差を利用して機械仕掛で四駆になるものが「パッシブ型」、センサーにより電子制御で四駆になるものが「アクティブ型」と呼ばれます。

<パッシブ型>
パッシブ型はシンプルで軽量簡素な四駆システムです。前後輪の間にビスカスカップリング等を挟み込んでいます。ビスカスは、内部に無数の金属板と粘油が閉じ込められています。例えばFFベースの場合、前後輪に回転差が発生すると粘油が膨張して金属板を押し付け、そのクラッチ効果で後輪にもトルクが発生する仕組みです。ビスカスの構造上、粘油により常時後輪に極わずかにトルクが伝わってしまいます。これを拡大解釈してスズキの軽自動車等で「フルタイム4WD」とカタログに記載しているケースがありますのでご注意ください。

<アクティブ型>
アクティブ型のスタンバイ式4WDについては、フルタイム4WDと背伸びした表記をするメーカーはなく、各社独自の名称をつけていますね。
アクティブ型については、基本的な構造は「トルクスプリット型フルタイム4WD」と似ています。FFベースの場合、後輪へのトルクを制御するのにITCC等の電子制御のクラッチを使っています。前後トルク配分の基本は100:0〜50:50の間で変動しますが、基本はほぼ前輪駆動で走ります。後輪の駆動系は補助的な役割なので、常時四駆の必要がないため軽量簡素な構造で済みます。そのため低コストかつ燃費に有利で、現在の4WDの主流になっている所以です。最近では、電子デバイスの発達により、フルタイム4WDと比べても遜色ない性能の四駆システムも登場しています。

◆ GR-Fourのアドバンテージ

腕利きのドライバーが後輪駆動を好むのは、回頭性がよく、アクセルを第二のステアリングとして使えるからですね。4WDでも後輪偏重トルクの場合は、そのメリットを享受できます。これまで後輪偏重トルクの4WDは、センターデフ式フルタイム4WDか、後輪駆動ベースの4WDでないと実現しませんでした。

先に触れた通り、センターデフ式フルタイム4WDは重たくなるというデメリットがあります。さらに、前後トルク配分を電子制御するには、トヨタの「i-Four」のようにセンターデフに、さらに油圧クラッチを追加装備する必要があります。GRヤリスのようにコンパクトで軽量に造る制約がある競技ベース車両は、シンプルに造る必要があり、センターデフを廃したトルクスプリット型4WDが最適との判断だと思います。

前後輪が機械的にギアで繋がっているセンターデフ式フルタイム4WDの場合、センターデフにプラネタリーギアを用いて、前:後=30:70にしたとしても、油圧クラッチでセンターデフのロック率を高めて50:50まで変動する程度までです。
GR-Fourの場合は、エンジン横置FFベースの4WDでありながら、前後トルク配分を60:40〜30:70にドライバーの意思で切替られるというのは、電子制御カップリングのフレキシビリティーを逆手に利用した発想なのですね。

こうしたギミックのある四駆システムが組めるのは、競技ベース車両という大義名分があるからだと思います。また、それだけ技術革新が進んだともいえますね。

長くなり失礼いたしました。すでにご存じの内容ばかりでしたらすみません。少しでもお役に立てましたら幸いに存じます。

質問者からのお礼コメント

2024.2.8 18:06

ありがとうございました!

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