テスラ モデルY 「世界で一番売れているクルマは日本にマッチするか?」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

3

デザイン
5
走行性能
3
乗り心地
2
積載性
4
燃費
4
価格
3

世界で一番売れているクルマは日本にマッチするか?

2024.2.26

年式
2022年6月〜モデル
総評
2023年に世界で最も売れたクルマとなったモデルY。売れるだけの理由というか、SUVクーペのBEVでここまでバッテリー性能が高いのは確かにトレンドを抑えているし、先進的な印象を受ける。しかし、日本のマーケットにはマッチしていない部分があるのも事実だ。また、近年はさまざまな老舗自動車メーカーもBEVに参入していることを考えると、モデルYの快進撃がこのまま続くか否かがテスラの正念場なのではないか。とはいえ、新しい価値観を提供できるモデルとしてファンが定着しつつあるのは素直に賞賛したい。
満足している点
BEVとしてバッテリー性能が高いことがポイントだ。また、アップデートというこれまでのクルマにはなかった概念や、新たなコンセプトといった先進性は惹かれる人は惹かれるだろう。モデルYに限らず、他のクルマにはない世界観がテスラのクルマにはある。
不満な点
操作系のユーザーインターフェースに不満がある。これはモデルYに限らずテスラ全般に言えることだが。ドライバーの前方にメーターがなく、すべての情報がセンターモニターに表示され、目に見えるスイッチ類はウィンカーとシフトセレクター、ステアリングのボタン2個というのは正直使いづらい。いろいろな操作がセンターモニターを通じて、さまざまな階層を潜り抜ける必要があるのは面倒くさい。あとはハードな乗り心地が短所だ。スポーツモデルならいざ知らず、車種ジャンルを考えてもサスペンション周りには改善の余地ありと言える。
デザイン

5

シンプルな構成のデザインはテスラの共通した特徴であり、アイデンティティと言える。SUVクーペが最近のトレンドとなりつつあるが、大まかなスタイリングやシルエットだけ見れば、SUVクーペのオーソドックスな形と言えるだろう。変わったクルマ扱いされることも多いテスラだが、デザインだけ見れば比較的プレーンで多くの人に馴染みやすいと感じる。その中に先進性を感じるアイデンティティを入れ込めるのは見事だ。
走行性能

3

動力性能だけで言えば素晴らしいと表現できるだろう。重たい車重に見合った制動力もある。ただ、ドライブフィールはデジタル的な印象が強く、ICEに長年乗ってきた人からすると不自然に感じる部分もあるだろう。パワーステアリングはタイヤからのインフォメーションが薄いように感じるし、ロールも抑えられてはいるが、ドライブフィールは全体的に車重が重たい欧州のBEVと比べても重さが隠しきれていない印象を受ける。重たい車重でバビュっと真っすぐが速いのは、ある意味古来のアメ車的な部分かもしれない。
乗り心地

2

正直言って乗り心地はハードだ。BEVの場合は重たいバッテリーを搭載する必要があるため、どうしても足回りは固めなければいけない。そうしないと操縦安定性などが成立しないからだ。それは他のBEVも一緒だが、モデルYを始めテスラ系は全般的にハードなイメージ。車重やレイアウト、ディメンションなどで大まかなクルマのキャラクターが決まってくるのは仕方ない部分だが、サスペンションセッティングなどを駆使することでの最後の味付けの部分は、まだまだ自動車を造ってきたメーカーには及ばない印象だ。
積載性

4

特出した驚きはないが、ラゲッジスペースの床下部分にもスペースがあるのは好印象。また、フロントにもトランクがあるのである程度工夫した使い方が出来る。
燃費

4

BEVのため燃費…というキーワードでは語れないが、バッテリー性能だけで言えばモデルYに限らず、テスラは優れている。グレードによって異なるが600km近い航続距離がカタログ値とされているし、テスラ独自の急速充電システムであるスーパーチャージャを使えば、充電も比較的素早く行うことが出来る。
価格

3

サイズ感と高性能なBEVとしての内容を考えると「アリ」と思わせる価格だ。ただ、モデル3が高性能なBEVとしてバーゲンプライスに感じられることを考えると、モデルYの価格は少し気が引けてしまう気持ちもある。あとは他のBEVにはないポイントを独自の価値として感じられるか、が価格に対しての印象を決める重要なポイントとなってくる。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
テスラ モデルY 新型・現行モデル

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