素材の良さが活きている
昔は国産各メーカーから多数ラインナップされていたスポーツハッチですが、最近は数えるほどになってしまいました。そんな中、スイフト
2007.12.27
- 総評
- 素材の良さが活きている
昔は国産各メーカーから多数ラインナップされていたスポーツハッチですが、最近は数えるほどになってしまいました。そんな中、スイフトスポーツは貴重な存在です。ライバルといえばフィットRSやデミオスポーツ、ヴィッツRSというところかもしれませんが、それらはノーマルグレードにややスポーティな味付けをした程度の車なので、本格的な雰囲気を持ったスイフトスポーツのライバルとは言えないように思います。
先日、標準車(XG Lパッケージ・1200CVT)に試乗して、その好印象が冷めやらぬ間に今回のスポーツの試乗となりましたが、スポーツには標準車の素材の良さがはっきり表れているように感じます。スポーティな内外装などスイフトスポーツならではの雰囲気もあるのですが、しっかりしたシャシー性能やボディ剛性の高さなど、標準車のレベルの高さがあってこそ、スポーツとしての魅力が強まっていると思います。
スポーツの価格はXGからすると約50万円高くなってしまいますが、価格差ほどの圧倒的な価値の差は感じませんでした。もちろん高速域を中心として性能の差は明白なのですが、維持費などを総合的に考えると、標準車の実力は相当高いため、スポーツではなく標準車を買っても満足できるのではないでしょうか。
- 満足している点
- ・扱いやすく、かつ楽しい足回り
ハンドリングが素直で、自分の想定したラインをトレースすることができ、かつステアリングを通じて路面のインフォーメーションが的確に伝わってきます。限界自体はそれほど高いわけではなく、基本的にはアンダーステア特性ですが、その気になればブレーキングやアクセルオフでリヤの流れをコントロールすることができとても楽しいです。
・高速域での安定性
高速では車格を感じさせない、どっしりした直進性があります。法定速度程度の領域のクルージングは極めて平和で、スピードメーターのフルスケール220㎞/hというのは誇張ではないようです。
・意外とシックな外装デザイン
スイフトスポーツのボディカラーといえばイメージカラーの、あの目がチカチカするような(笑)チャンピオンイエローのイメージがありますが、グレー、銀、黒、パールホワイトなどもラインナップされており、それらの色だと大人っぽくシックな印象で、もともとの造形が完成度の高い大人っぽいものなのだと気づきます。従来の日本車のコンパクトスポーツはいかにも若者向けの子供っぽいデザインかオタクっぽい車が多かったと思いますが、スイフトスポーツは大人の男でも十分乗れる雰囲気を持っています。
- 不満な点
- ・エンジンパワーがもう一歩
エンジンパワーは1,600㏄のスポーティエンジンとしてはやや寂しい125馬力で、ホンダのVTECが15年以上前にリッター当たり100馬力以上を達成していることや、スイフトの前身のカルタス(2代目)1300GT-iのG13B型エンジンが115馬力だったことを考えると物足りないです。
さらに、この程度のエンジンパワーにもかかわらずハイオク仕様というのは納得できません。ジュニアラリー選手権に参戦しているスイフトスーパー1600のように218馬力以上ものパワーは必要ありませんが、それでももう少しパワーがあればより痛快な車になりそうです。
試乗中にワインディングでちょっと飛ばしてみたのですが、レッドゾーンの始まる7,000rpmまでエンジンはきれいに回りパワー感は衰えず、かなりマージンを持たせてあるように感じます。8,000rpmぐらいまで使えるようになればかなり楽しいエンジンになりそうです。
私なりの提案ですが、以下のような方策を採ればより魅力が増すと思うのですが…
①1,600㏄で150~170馬力程度の出力にする。
②自動車税の安くなる1,500㏄にして現状の出力を維持
③1,600㏄のままレギュラーガソリン仕様にして現状の出力を維持
・6速MTがあれば…
100㎞/h時のエンジン回転数は3,400rpmとやや高く、燃費に不利なように感じます。1~5速をクロスさせ、6速を巡航用のギア比とした6速MTがあればスポーツ性にも燃費にもプラスになるのではないでしょうか。
・3ドアが欲しい
私は現在車の買い替えを検討しているのですが、通勤&自分の遊び用の車なので5ドアは必要ありません。輸出仕様に存在する3ドアを日本にも導入していただければうれしいです。3ドアならば軽量化やボディ剛性の向上にも寄与するはずですが…
以上、項目としては欠点の方を多く書き連ねてしまいましたが、あくまでも今後の改良への期待を込めた要望レベルのもので、今のスイフトスポーツでも十分以上に魅力的だと思います。
※
この車の欠点として、よく室内が狭いことが言われますが、コンパクトカーとしては標準的だと思いますし、この車はシートのサイズが大きいため実寸以上に狭く感じてしまうのだと思います。室内を広く見せるためにシートを小さくするという姑息な手段をとっていないところにメーカーの誠実さを感じます。
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