スズキ スペーシアハイブリッド 「まるでスーツケースみたいなデザイナーズ軽」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

まるでスーツケースみたいなデザイナーズ軽

2021.2.22

年式

2017年12月〜モデル

総評

スーパートールワゴンならではの積載性と利便性、そして新世代の骨格を使用している軽自動車ならではの安定性……といった部分では「ライバルとおおむね同等」といえますが、スーツケースをモチーフとしたデザインのセンスに関しては——もちろん人それぞれの好みはあるでしょうが——クラストップレベルといえます。そこが気に入ったならば、買って損のない一台です。

満足している点

カスタムではない標準車の「スペーシア」は、まずは内外装デザインのセンスにおいてクラストップレベル。「しゃれた感じの軽自動車」を求めている人は大いに満足できるでしょう。また新世代のボディ骨格がもたらす車全体のしっかり感も、購入後の満足につながるはずのポイントです。

不満な点

スズキ セーフティ サポートはもともと（非装着車を除いて）標準装備で、2020年8月のマイナーチェンジで予防安全装置や運転支援システムの内容はさらに拡充されました。しかし全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロールが、標準車の場合は「ハイブリッドX アップグレードパッケージ」にしか付かないという点だけはやや不満です。

デザイン

4

「スーツケース」をモチーフにしたスタイリングは秀逸。ボリュームを感じさせるスクエアなスタイルであると同時に、各部に絶妙な丸みも持たせることで「甘すぎない可愛さ」が実現されています。インテリアにもスーツケースのモチーフが採用されていて、助手席前方の収納部の見た目もスーツケース風でおしゃれ。ただ上級ラインに相当する「カスタム」のほうは、ずいぶん雰囲気が異なる「押し出し感」の強いフロントマスクを採用しています。

走行性能

4

スズキの新世代プラットフォーム「ハーテクト」を採用しているため、全体のしっかり感は軽自動車としてはかなりのもの。標準車のエンジンはノンターボですが、全車マイルドハイブリッド機構付きであるため非力ではなく、「これで十分か？」とも感じさせます。ただ「カスタム」に用意される最高出力64psのターボ付きエンジンであれば、当然ながらさらに活発に走らせることが可能。長距離を走る機会が多い人にはターボ付きのグレードがおすすめです。

乗り心地

3

他社の新世代軽スーパートールワゴンとおおむね同等の、背の高さをさほど感じさせないフラットな乗り味。しかしライバルと比較すると、スペーシアは若干ですがソフトめな印象。これは「やさしい乗り心地」ともいえますが、「競合よりは若干揺れを感じる」ともいえます。

積載性

4

荷室の容量は、このクラスでもっとも売れているホンダ N-BOXとほぼ同等ですが、路面から荷室床面までの高さはN-BOXのほうが低いため、あちらのほうが若干有利でしょう。ただ、スペーシアのリアシート格納は操作がワンタッチで簡略化されているため、そのあたりはスペーシアのほうが若干便利だといえます。

燃費

4

ノンターボ車、ターボ車ともにカタログ燃費は同世代のライバルとほぼ同等。もちろん若干数字は違いますが、実際に使ううえでは誤差のレベル。ターボ付き車は活発な分だけ、ノンターボ車と比べるとリッターあたり2kmほど燃費は悪くなります。

価格

4

スペーシアの上級グレードである「ハイブリッドX（2WD）」が、スズキ セーフティ サポートも付いて152万4600円というのはなかなか魅力的。ただ、スペーシア カスタムのターボ付きグレードである「ハイブリッドXSターボ（2WD）」は183万5900円と、やはりそれなりの値段になります。