ほんとスーパーワゴンだ!
昔の軽自動車といえば、とりあえず足代わりになればいい的な存在で、狭い・走らない・乗り心地が悪い・安全性が低いことは当然であり
2010.1.2
- 総評
- ほんとスーパーワゴンだ!
昔の軽自動車といえば、とりあえず足代わりになればいい的な存在で、狭い・走らない・乗り心地が悪い・安全性が低いことは当然であり、積極的に選ぶものでなく、我慢して仕方なしになるものでした。
しかしパレットSWに乗ると、そんな軽自動車に対する意識は完全に過去のものになったと感じます。落ち着いた乗り心地・豪華な装備・きめ細やかに配慮された使い勝手・造りの良い内外装…
パレットは軽自動車の中でも高価格なモデルなので、良くて当たり前かもしれませんが、それでも「軽自動車はほんとに良くなった!」と痛感させられる素晴らしい車でした。「仕方ないから軽を選ぶ」ではなく「パレットがいい!!」と言って積極的に選べる車です。
もちろん問題がないわけではありません。軽自動車なのに1トン近い車重・排気量からすると考えられないぐらい悪い燃費・軽自動車の本分から外れた高い価格・相対的に貧弱なシャシー性能…と、自動車としてこれはいかがなものかという点も多く、ライバルのタントなども含め、そういった点がこのYahooのユーザーレビューでも批判の的になることもあります。
が、この車の考え抜かれた使い勝手の良さは何物にも代えがたいです。ボディサイズが小さく、スクエアで見切りがいいことによる運転のしやすさは、運転の上手ではない女性にも安心です。
その一方で、軽とは思えない室内の広さは子供の世話や乗せ下ろしにも肉体的負担が軽減されます。室内はただ単に広いだけでなくフロアも低く(この点はタントよりも優れている)、乗降性・積載性が非常に優れています。
このようにパレットという車は、生活の中で車を必要とする人のことを本当に考えて作られています。子供がいる家庭の方はもちろん、流行りに乗ってミニバンを買ったけど、フル乗車する機会なんてほとんどないし…という方のダウンサイジングの受け皿としてもおすすめできます。「軽なんて…」と思っている方、是非一度乗ってみられてはいかがでしょうか。
- 満足している点
- ・広い室内
室内前後長・高さとも軽自動車であることが信じられないほどのスペースです。「広い」ではなく「広大」と表現するのが適切です。
特に後席空間の広さは特筆すべきで、頭上・足元とも、握りこぶし何個分とか手のひらが入るとかそんな小さいレベルの話ではなく、大人が手足を伸ばしてもまだ余裕があります。
また、この広さによりによりウオークスルーが可能で、子供をチャイルドシートに乗せ降ろしするのがとても楽ですし、荷室も含めたフロアの低さも特筆できます。小さい子供でも乗り降りが出来ますし、荷室への荷物の積み下ろしも容易です。
・優れた使い勝手
運転席周辺の小物入れスペースが豊富で、収納性が高いです。小さい子供がいるとおむつや着替え、飲み物食べ物、おもちゃなど、ちょっとしたお出かけでも荷物が増えてしまいますが、小物入れなどの収納スペースが豊富で、様々なものがうまく収まります。
荷室の空間はリアシートのスライドによって変えることができます。スライド最後端だと空間はミニマムですが、これだと後席足元空間にものすごく余裕があるので、そこまで余裕が必要なければ、前にスライドさせて荷室空間を作り出すことができます。フロアが低くて室内高が高いので、A型ベビーカーを縦にしまうことも可能です。
・安定感があり快適な走り
背の高い軽自動車としては走行安定性が高く、高速道路やコーナーでも比較的安心して走ることができます。
パレットのような背高系の軽というと、高速道路やコーナーでの安定感が低く、怖い思いをすることもありました。あまり脚を固くすると粘ったあげくに横転ということになるので、それを避けるために、柔らかいサスセッティングで最初から強いアンダーステアにしつけてある車が多いのですが、パレットの脚は固すぎず柔らか過ぎず安定した走りです。
また、1トン近く車重があるためか軽としては乗り心地が良く、細かい段差でポンポン跳ねるような動きもありません。
・両側スライドドア
パレットは後席左右のドアがスライドドアです。スライドドアは子供が駐車場で急にドアを開けて隣の車にぶつけたりする心配が少なく、また狭い場所で子供をチャイルドシートに乗せ下ろししたり、荷物の積み下ろしの際にも非常に楽で、小さな子供がいる家庭にはうってつけです。
- 不満な点
- ・苦しいエンジン性能
車重が900~1,010kg(!)と軽自動車としてはかなり重いため、エンジン性能に余裕がありません。高速道路の6~7%程度の勾配でも、時速90キロを維持するのがやっとです。試乗車はノンターボ(54PS)のXSだったので、ターボ付きのTSであればもっと余裕があるのでしょうけど…
・不安定なブレーキ
軽とは思えないほど走りが安定しているパレットSWですが、急制動時にボロが出ます。80km/hからABSが効く程度の減速Gを与えると、フロントは激しくノーズダイブしリヤの荷重が抜けてふらつきやや不安定です。直線でこうなので、障害物を避けるためにハンドルを切りながら制動を行うダブルレーンチェンジのようなことは、恐ろしくて出来ません。こういうところに重心の高さを感じてしまいます。
・期待外れの燃費
燃費は3日間、近場の買い物や山道、高速などを燃費を気にせずごく普通に走って13.2km/Lでした。軽としては相当重い1トン近い車重で、パワーに余裕がなく高回転まで使わざるを得ないノンターボエンジン車であることを考慮すれば決して悪くもないのでしょうが、低燃費と快適性を両立させた新型CVTを搭載していることを考えれば、ちょっと期待外れでした。
・スライドドア開口部の狭さ
上記のとおり両側スライドドアであることはこの車の長所なのですが、開口面積自体はヒンジドアよりも小さく間口が狭いです。スライドドアは開口部が広くて使い勝手がいいようなイメージがありますが、実際にはそうではなく注意が必要です。
それから、一般的に体重10キロ程度までの乳幼児はチャイルドシートを後ろ向きに装着して乗せますが、スライドドアはヒンジドアよりも子供の乗せ下ろしがしにくいです。スライドドアにはスライドドアのメリットがあるのですが、タントエグゼのようなヒンジドア仕様の設定があってもよいのではないかと思います。
・軽自動車の本分を外れた高い価格
試乗車のXS(FF・オーディオレス)で142.8万円、最高価格のTS(4WD・ハイグレードサウンドサウンドシステム付き)で177万円という、軽自動車としてはかなり高い価格です。内容を考えれば納得できる価格ではあるのですが、それでも先日登場した新型アルトの約2倍というのは、本来経済的であるべき軽自動車としていかがなものかと思います。
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