至極「まとも」なクルマでした
:
究極の3ドアMT―――(ただし2ペダルのセミMT・・・)
と好き勝手に位置付けさせてもらったこの車。
ついに今回
2011.7.12
- 総評
- 至極「まとも」なクルマでした
:
究極の3ドアMT―――(ただし2ペダルのセミMT・・・)
と好き勝手に位置付けさせてもらったこの車。
ついに今回の往復1000㎞の帰郷に借り出すことができました。
日本車とは1味も2味も違うことを思い知らされたところもありました。
まず、外装。
ドアがプラスチック!
こんなんでボディ剛性、確保できるの?と不安に思ったが、実は正反対で、これこそが強いボディ剛性の証でもあった。
トリディオンセーフティセル。
骨格があまりにも頑丈なため、ドアがプラスチックでも何の問題もない、ということだ。さらに、今回借り出したのがオープン仕様で、ルーフをぶった切ってもなお剛性を確保できるほどの高レベルなのだ。―――が、実際は砂利道では結構ビビリ音がして、少し興ざめもした。
ドアを開けてもビックリすることがあった。
床が高い。
その高さ実測40㎝。普通の車より15㎝くらい高い。
これくらいの高さがあれば対向車がぶつかって来ても、相手が乗用車であれば、相手のサイドメンバーは足の下に潜り込みそうで、下肢へのダメージがかなり軽減できるのではなかろうか。「乗り降りが不便」なんて声も出そうだが、私は万が一車同士がぶつかった時に、足の安全性がより高いこの高い床を支持する。
1速目のギア比がかなり低い。十分に加速する前にかなりの高回転になり、エンジンの下品な音が車内に響く。が、早目のギアアップをすれば何の問題もない。MTに慣れてる人なら、すぐに対応できるだろう。ATモードもあったが、変速する時にエンジンが空回りし失速するので、私には快適とは言えなかった。
ウインカーレバーとワイパーレバーが左右逆なのは不便だったが、まあ慣れの問題だろう。スタートキーの差し込み口がフロアシフトレバー手前にあるのはご愛敬。
内装
インパネやドアの内張りのプラスチックに赤い布が貼られている。こういうのを「プラスチッキー(=安物)でない」というのかもしれないが、私にはただのコストアップにしか感じられなかった。
:
- 満足している点
- :
サイズがとってもイイ!!
特に全幅の156cm。軽より8cmほど大きい。カップルディスタンスは60cm、ミラが62cmだから、サイドクラッシャブルゾーンも広く、運転手も端に追いやられず重量バランスもいい。左右ドアミラー間172cmというのは現行ミラより狭く、取り回しもいい。ライバルのトヨタIQは幅を168cm、カップルディスタンスは70cmに拡げた結果かミラー間は198cmもあり、せっかくのコンパクティーを生かし切れていない。
いい乗り心地
IQより短い1865㎜のホイールベースに、大きいピッチングを覚悟していたのだが、固めた足のせいか、全く感じなかった。かえって、変な揺れはなく、疲れにくい。ギャップを越えるとかなり衝撃を受けるが、高いボディ剛性が齎すのか一枚オブラートに包まれている感じで不快感は少ない。
シートはヘッドレスト一体型だが、たっぷりサイズで、座高90cm超の私の後頭部を十分に支える。腰部の収まりも良く、疲れにくい。トイレ休憩以外ノンストップで500km弱を走り抜けた。
粘る足。
基本アンダーステアでハンドルも重く高全高。旋回は苦手なイメージだが、実際は高速でのレーンチェンジも無難にこなす。高速を降りると畑や森の中に大きなカーブがあり、いつもは十分に減速してからハンドルを切るのだが、敢えて減速しないで突入してみた。
切ったハンドルを保持するのに力がいるが・・・・あっさりと、ロールも小さくタイヤのよれる音もせずに、駆け抜けていった。爽快!気持ちいい。ドイツ車や国産でもライトウエイトスポ^-ツなら普通なのかもしれないが、軽やコンパクトを乗っている私からすれば、感動もんだった。エルクテストを繰り返し、後輪を鍛え抜いただけのことはある。幅:前175㎜、後195㎜の太いタイヤも伊達でない。制動力も十分で信頼感が高い。
燃費いい、
特に往路、渋滞路数十キロを含め21㎞/Lの燃費は予想外によかった。ただしハイオクだ。
観音開きのワイパー
拭き残しが真ん中上部のルームミラー付近なので、視界がよく確保できる。なんで国産車にこのタイプが少ないのか。国産車の同方向ワイパーでは左前方に拭き残しが多く、視界が大きく妨げられる。ただしスマートのワイパー、左ハンドル用のようで、取り付け位置が左にずれて、左のAピラーの内側の拭き残しは少ないのに、肝心の右側はAピラー内側に数センチ幅の拭き残しがあり、素のままでは危険であろう。
:
- 不満な点
- :
動力性能
850㎏の車重に1L71ps/9.4㎏のエンジン。軽ターボの感覚で、いまいち高速の加速はよくない。上り坂もつらい。
人、荷物を積めない。
これは当然。
その分、軽量(IQ-40kg)と取り回しの良さを得た。さらに2人乗りと割り切ったことで、たっぷりとしたシートと前後のクラッシャブルゾーンを得た。
アイドルストップは粗削り
再始動時の振動・騒音は大き目。荒目のマーチやムーブ・MRワゴンよりもさらに荒い感じ。
小回り。
短いホイールベースに、大きく舵を切れるはずのRR。にも関わらず最小回転半径は4.2m。絶対値は小さいが、一回り大きいIQより大きい。分りやすい数字より走行安定性を重視した結果なのだろう。
ホイールボルトが3本というも気になった。日本では軽でも4本。
太い重いタイヤと850㎏の車重。これらを支え続けるのに3本のボルトでは一抹の不安も覚える。
ギアの設定が微妙。
日本でよく使う速度域60㎞/h前後が4速だとエンジンが回りすぎ、5速ではトルク不足となる。もう少し日本の走行に合わせたセッティングがされるともっと乗りやすく、かつ燃費もよくなるのではなかろうか。
「ドイツ車」
よくもわるくもドイツ車。
日本車は、消費者が何を求めているかマーケットリサーチをして、求められている所には力を入れ、それ以外は低レベルにしてコストダウンを図る。そうでもしないと、割安感を出せず、日本では売れない。ドイツ車は、メーカーが目標を設定し、それをクリアする車を作って消費者に提供する。値段も大切だが品質の方が大事―――そんなイメージだ。
日本はおもてなしの心で搭乗者を迎え入れるが、想定外の事態に対しては「そこまでは責任はとれません」と言う感じ。ドイツ車は最後まで責任を取りたい、だからそれなりの不便さ、割高感は受け入れてよ、という感じか。どっちがいいかは決めきれないが、私には後者が好ましい。
見た目もパッケージングも駆動方式も「個性的」な車だが、街中から高速までの走り、安全性もかなり高レベルな至極「まとも」な車だった。ネックは184万からの価格・メンテナンス費用とサービスにかかる時間か。
- デザイン
-
-
- 走行性能
-
-
- 乗り心地
-
-
- 積載性
-
-
- 燃費
-
-
- 価格
-
-
- 故障経験