日産 サクラ 「軽の枠を超えたシティコミューター。」のユーザーレビュー

ふぃおらの ふぃおらのさん

日産 サクラ

グレード:X 2022年式

乗車形式:試乗

評価

4

走行性能
-
乗り心地
-
燃費
-
デザイン
-
積載性
-
価格
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軽の枠を超えたシティコミューター。

2023.10.15

総評

軽自動車規格ではあるものの軽自動車にはない卓越した運動性能と車格を超えた数々の安全機能と快適性能。
しかし、限られた積載性と航続可能距離、そして価格面のコストパフォーマンスではハイブリッドコンパクトカーに劣る。

何を手にして何を諦めるかのトレードオフ材料は、このSAKURAにはたくさんある。どのカードをトレードするかの選択肢はライフスタイルの数だけあろう。
ある人には魅力的に、またある人には脆く不完全に映るクルマが他にあるだろうか。

バリアフリーかつドライバーフレンドリーなこの時代に珍しくユーザーを選ぶ不思議なクルマ。

軽自動車以上の機能性、軽自動車より見劣りする汎用性、このWフェイスを持つSAKURAは、シティコミューターの枠にある電気自動車だと感じた。
満足している点

目を見張る運動性能と環境性能。

踏み込んだ時の出だしの良さに加え、アクセルのワンペダルで発進、加減速及び停止までこなす日産独自技術のe-ペダルは、この上なく軽快かつ痛快。
走り出すと軽自動車規格のクルマとは思えないほどの軽さすら感じる爽快なドライビングフィール。
踏み込むとスーッと滑るように静かに加速する。
このフィーリング、ガソリン車には決して真似できない滑らかさ。電気自動車ならではの加速感とe-ペダル独特のモリモリ感のある不思議な減速感は相性良くクセになる。

しばらく走らせて驚いたのは、燃費(電費)を稼ぐためにふんわりアクセルをしても、欲求に負けて力強く踏み込んでも、航続可能距離に変動は見られなかった。
それならば周りの交通の流れに乗ってしっかりキビキビ走った方が気持ち良い。
エレクトリックパワーの加速感、至極快適でストレスフリー。所有する現行型DAYZでよくある、想像する加速と実際の速度が全くシンクロしないしんどい運動性能とは無縁。


唯一であり最大の課題点は、やはり航続距離だろう。

満員乗車のシチュエーションはなかなかないとしても成人2、3名の乗車、そしてエアコン稼働。過酷な使用状況にどれだけ期待に応えられるのか。
自宅の給電ポートで約8時間の充電時間というのは、残業しても夜9時、遅くとも夜10時までには仕事から帰宅しないと翌日安心して出勤できない。
使用方法や走行距離によってはもちろん毎日充電する必要はないが、ガソリンエンジン車やガソリンハイブリッド車に慣れ親しんだ方からすれば、航続可能距離が100kmを下回るとソワソワしてくるのではないだろうか。
私はソワソワ、ゾクゾクしてくる。

充電インフラの圧倒的不足とガソリン給油と相対的に長い給電時間が、購買意欲と普及を鈍らせる要因のひとつだと感じる。

SAKURAから感じるのは電気の力強さと脆さ、コインの裏表の関係性。
不満な点

満充電で航続可能距離は約150kmを表示。

しかしお借りした日は穏やかな秋晴れ。炎天下に駐車して後の移動や降雪地域での底冷えの気候で、クルマに負担をかければグングン蓄電残量が減るのは想像に易い。
イメージするのはApple Musicを使用しながらストリーミングするi Phone。

たまの遠出や複数名での1泊2日の旅行をされる方にとって、このクルマはメインカーにはなり得ない。
言い換えれば、ご自宅に給電ポートをお待ちの方や生活圏が半径30km程度で完結する方にとれば何の不足も問題もない。セカンドカーとして百点満点のクルマ。

都心部や地方都市にお住まいの方には、軽自動車規格の回頭性、取り回しの良さとガソリンスタンドへ立ち寄る煩わしさから解放され、十分な動力性能のおかげで気持ちの良いパートナーになり得るだろう。

スマートなLEDや細やかなシグネイチャーランプを多用したヘッドライトやリアコンビネーションランプ。一目で電気自動車とわかるグリルレスなフロントセクションに、過度なプレスラインや加飾を控えたタイムレスなエクステリアデザインは、軽自動車規格のクルマであることを忘れさせる。

インテリアも同じく統一感と先進性を感じさせる。
まず目に入るのは解像度が格段に高くなったインストルメントパネル。ガソリン車でも最近はタコメーターレスの時代、映し出されるのはデジタルメーターの速度計、選択されているドライブシフトとバッテリー残量が一目でわかる電池式表示。
シンプルではあるが必要な情報量は確保されている。

そこから少し俯瞰すると2アームのステアリングホイール。アーム(スポーク)がひとつ減るだけで不思議と先進感や未来感が出る。
ステアリングホイールのコントロールパネルは日産の軽自動車 DAYZからなんら大きく変わりはなく扱いやすい。
目線を左に移すとお馴染みのバイワイヤ式シフトセレクターレバー。表現するのは難しいが、このシフトレバー、動かすとしっとりとしたコリコリ感のある抵抗が気持ち良い。
空調関係はタッチパネル、オーディオ・ナビ関係はナビモニター両脇の物理スイッチと異なる入力方法が同居している。流行りのただ画面サイズのインチが大きいだけの情報表示量に乏しいナビモニターでないのはGOODポイント。
昨今の見栄えだけの大きさの追求は今の時代にはそぐわない発想。それならば解像度や操作性を煮詰めてほしい。

コンソール周辺は全体的にピアノブラックでシックに仕上げられているが、触れる部分は指紋汚れが目立つ。特にステアリングホイールのコントロールパネル周辺は悪夢。
加えて残念なのはグレードによりUSBポートが何ひとつ設定されないこと。スマートフォンの置くだけ充電を備えるか、ないならUSBポートくらいつけていただきたい。
電気自動車から家庭へ電気を供給できるとV2Hを声高に訴求しているのに、国民の大半が所有しているであろうスマホの充電を許していない塩対応なところがまたなんとも…。
乗り出し260万円を超える価格帯のクルマにしては少し辛い対応。

一方、特筆すべきは運転席右下に集められたコーナーセンサーやブレーキホールドなどの約10個ほどのスイッチ類は全て発光しており、一目でわかりやすく視認性・操作性良く、運転に集中できる。
全体的な造り込みと質感には大満足。

あくまでも軽自動車規格として考えると、これまでの経験則や想像を超える新たな可能性と世界観を提供してくれる。


残る課題点はプライスライン。

補助金ありきの価格設定なのか絶妙なラインを攻めている。昨年夏に値上げをしたが、それでも補助金を入れればギリギリ200万円を下回る。
モヤモヤが残るのは地域や行政区の環境施策により補助金の有無や補助額に差が生じているというところ。
同じ性能のクルマを同じ条件の下購入しても、住民票を置く場所により出費に差が生じるのはシンプルに辛い。
デザイン

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走行性能

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乗り心地

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積載性

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燃費

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価格

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故障経験

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