三菱 アウトランダーPHEV 「無骨なスタイル、技術志向の走り」のユーザーレビュー

無骨なスタイル、技術志向の走り

2021.4.3

総評

不器用だけれどモノ作りには真摯なエンジニアのおじさん達が生み出した三菱の最高傑作。

満足している点

(フェイスリフトを施された中期型以降の)三菱SUVらしい無骨でアクの強いエクステリア、
高反発なクッションの効いた頑丈そうなシート、
自宅で充電できるPHEVなので暖房を使わない季節は往復EV走行のみで通勤できる燃費の良さ、
見切りの良さとアラウンドモニターのおかげで大柄な車体をものともしない取り回しの良さ。

不満な点

2018年までの前・中期型は最上位グレードでも後席にエアコンがないこと、
荷室は広いもののタイヤハウスの張り出しが意外に大きく、ゴルフバッグが１つとして横に平置きできないこと、
パワーウィンドウが運転席以外オートではない(運転席のボタンでも全席オートにならない)こと、
個体差かも知れませんがサンルーフの建て付けの悪さ(後述)、
ディーラーOPのClarionナビの使い勝手の悪さ。

デザイン

5

フランス車のような前期型からフェイスリフトを施された中期型はダイナミックシールドをテーマとした個性的なフロントマスクを与えられ、無骨でアクの強い実に三菱車らしいキャラクターに変貌しました。

リアもかつてのチャレンジャーを彷彿させる大型のコンビネーションランプを備え、総じてクロカンの王道を行くようなエクステリアデザインになったと思います。

賛否両論あったと思いますが、万人受けするスマートさよりも泥臭いギア感や、勝つために最新技術を惜しみなく注ぎ込んで戦う零戦やガンダム系の方向性、それこそが三菱らしさだと考えているので、個人的には三菱のデザインはコレで良いんです。

走行性能

4

EVプライオリティモードを始めとするツインモーターでの発進加速は驚異の一言です。
2トン近い大柄な車体を音も振動もなく滑らかに加速して行く様は新幹線かリニアのようです。

高速域ではモーターより効率良く走れるエンジンが主体となり、中間加速の過渡期においてはエンジンとモーターのパラレルハイブリッドで燃費効率の最適解を探しながら走る、実に賢い車です。

ツインモーターを軸とする4WDとS-AWCの効果で、豪雨や雪の降る中を確実に進んでいく姿に頼もしさを感じます。

乗り心地

5

EV走行している際は勿論、エンジン走行でも乗り心地はミドルクラスSUVとして上質な部類に入ると思います。

三菱は昔から4WDを作ってきた背景があるからか、シートの仕立てが上手いですね。
クッションの硬軟を使い分けて、座りやすく疲れにくくホールド性が高くヘタリにくいシートを各車に奢っているので、長距離でも高速走行でも快適に過ごせます。

積載性

3

タイヤハウスの張り出しがあるので長物を横に積むのは難しいです。
反面床面積自体は広く、室内の高さもあるので箱状の物であればかなり大きなサイズでも呑み込みます。
大人4人での旅行でも小型のスーツケースを用いるかボストンバッグなどの柔らかく形状に自由が利く鞄ならば、３泊４日程度なら帰りのお土産も含めて余裕で載るでしょう。

燃費

4

自宅で充電できるハイブリッドというのは大きなメリットだと思います。
渋滞や信号が多く燃費の振るわない東京都区部での通勤でも暖房さえ使わなければ１回の充電で往復15km×２日分はEV走行のみで賄えます。
充電１回あたり250～300円程なので、ガソリンが150円/Lと考えると燃費換算で30km/L程になるのでおサイフに優しい車ですね。
(自宅に単相200V20Aコンセントがある場合に限ります)

価格

4

カーナビ・ETC・全周囲カメラ・衝突被害軽減ブレーキ・アダプティブクルーズコントロール・サンルーフのついた1年落ちの展示車上がりで乗り出し330万円でした。
当時の新車価格が400万円台～という点を鑑みると所謂手垢代で100万円引というのは値ごろ感が大きいと思います。

訳あって手放す事になりましたが人気のSUVかつPHEVということもあり、買取り店同士の競合でローン残債をほぼ全額ペイできる程の値が付いたので、改めてこの車の人気を知らされました。

故障経験

展示車上がりの１年落ち中古車をディーラー経由で購入したのですが、最初の車検を越えたあたりからサンルーフの調子が悪く、ルーフとパッキンの接点から雨水が染み込んできました。
洗車機の高圧洗浄や一時的な豪雨では何ともないのですが、梅雨や秋雨の時季など弱い雨が丸１日以上降り続くと徐々に染み込んでくる感じでした。
ディーラーにて３回ほど修理(内１回はサンルーフ全面交換)したのですが症状は治りませんでした。
車そのものの出来は三菱の最高傑作と呼んで差し支えない程に素晴らしいものなので、こういう点でケチがつくのは至極残念です。