三菱 アウトランダーPHEV 「三菱が誇る最高峰の4輪制御技術」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

4

デザイン
4
走行性能
5
乗り心地
3
積載性
5
燃費
4
価格
3

三菱が誇る最高峰の4輪制御技術

2022.12.21

年式
2021年12月〜モデル
総評
走り出しから実感する滑らかな乗り心地。ここは従来型アウトランダーPHEVから受け継いだ利点だ。電動駆動の強みであるスルッと前に出る滑らかな駆動フィーリングにはじまり、アクセルペダルをじんわり踏み込んだ際には出力が高められた前後駆動モーターにより、2tを超える車両重量を感じさせない力強さがある。20インチの大径タイヤを履くが乗り心地は上質だ。三菱が培ってきた4輪制御技術の集大成がアウトランダーPHEVの真の姿だ。
満足している点
2013年1月に登場した先代アウトランダーPHEVは、世界初のPHEVシステムを搭載したSUVだった。以降、PHEVシステムの改良やバッテリー容量の拡大(12.0kWh→13.8kWh)、搭載エンジン排気量の拡大(2.0L→2.4L)、改良などを繰り返しながら、60カ国以上の市場において累計29万台販売された。新型はその良いところを伸ばし、改良すべきところを見直した。7人乗り仕様があることもグッドポイントだ。
不満な点
3列目シートが狭いこと。筆者の足(26.0cm)では2列目シート下に収まりきらなかった。ただ、これには2つ理由がある。3列目シートが床下収納式のコンパクト設計であることに加え、3列目シートの足元に後輪駆動用のモーターユニットが配置されているためだ。また、シリーズ走行モードで発電しながら駆動モーターで走る際のノイズも気になる。車両後方のリヤモーターコントロールユニットあたりから高周波音が発生している。
デザイン

4

「ダイナミックシールド」と名付けられたフロントデザインとワイド化された車幅(従来型1800mm→1860mm)や、高められた全高(同1710mm→1745mm)により、一層存在感が増した。従来型と比較して全長は 15mmの4710mmだから長くなった印象はないが全体にふっくらしたイメージだ。インテリアは水平基調の中に、なだらかな弧を描いたインパネダッシュを組み合わせたことで、上品な空間を演出している。
走行性能

5

前輪と後輪をそれぞれ専用モーターで駆動するツインモーター仕様の4輪駆動方式を採用し、三菱が誇る車両運動統合システムである「S-AWC」を組み合わせた。これにより、路面環境によらない安定した走行性能が特徴だ。新型は従来型から採用するS-AWCの特徴を伸ばすべく、前/後輪の駆動モーターの出力を向上させ、S-AWCそのものの精度向上と7つのドライブモードによってメリハリのある運転がさらに楽しめるようにした。
乗り心地

3

1列目&2列目シートの乗り味は非常に快適。ドアノブやスイッチ各部の操作性も良く、触ったり操作したりした際の手触りが良いため質感が高く感じられる。3列目シートはさすがにサイズこそ小さいものの4710mmの全長を考えれば納得がいく。3列目に乗り込むには2列目シートを前にスライドさせて背もたれを前倒しし、その間をすり抜けていく。身長170cmの筆者が3列目シートに座ってみると座面が小さく、足元スペースも狭かった。
積載性

5

3列目シートを備える7人乗り仕様を設けただけあり、アレンジが豊富。5名乗車の状態、つまり3列目シートを前倒しした状態でも9.5インチのゴルフバックを4セット収納することができる。ちなみに2列目シートを前倒しした際の最大長は2040mmだから長尺物も楽に積み込める。3列目を使用している時には後部はラゲッジフロアボックスとして使えるから、ここも実用的な収納スペースになる。2列目シートは4:2:4の分割可倒式だ。
燃費

4

急速充電時間にも対応している。0→80%充電時間はバッテリー容量の増加(13.8kWh→20.0kWh)により従来型から8分増えたが、充電電力量は従来型の最大60Aから最大105Aに向上しているため時間当たりの充電量は増加している。WLTC値によるハイブリッド燃料消費率は16.2〜16.6km/Lだ。充電一回あたりのEV走行可能距離は等価EVレンジで83〜87km、プラグインレンジで85〜87kmと実用的な値。
価格

3

2021年導入当初の価格は、ボトムグレードの「M」(5人乗りのみ)が4,621,100円、中間グレードの「G」が5人乗り4,904,900円/7人乗り4,996,200円(差額は91,300円)、トップグレードの「P」(7人乗りのみ)が5,320,700円。当時の令和3年度クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金では191,000円(Mのみ201,000円)が該当。重量税は免税(100%減税)だった。お買い得はずばりG/7人乗りだ。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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