近頃のホンダ車全般の4WDなんですけど、リアルタイムですか？それともフルタイムですか？

Answer 1

順を追ってご説明いたします。

■ 4WDの分類

4WDを大きく以下の3種類に分けると・・・

（A）フルタイム4WD
（B）トルク･オン･デマンド型4WD
（C）パートタイム式4WD

現在のホンダの乗用車の4WDシステムは、全て「B」に属します。問題は、この｢トルク･オン･デマンド型4WD｣が非常に多くの種類があることです。これがコトを混乱させています。

■(B) トルク･オン･デマンド型4WD

｢トルク・オン・デマンド型4WD｣というのは、通常はほぼ2WDで走行し、その駆動輪が空転等をすると勝手に4WDになる仕組みの総称です。この「トルク･オン･デマンド型4WD」を大まかに分けると以下の3種になります。

（B1）パッシブ型（機械式カップリング）
（B2）アクティブ型（電子制御カップリング）
（B3）モーター式（プロペラシャフトなし）

ホンダ車では、かつての「デュアルポンプ方式」や現行のグレイス4WD等が「B1」に属します。「リアルタイムAWD」と呼ばれているものは「B2」になります。また、アコードや新型NSXに搭載される「SH-AWD」は「B3」に属します。

■(B1) パッシブ型（機械式カップリング）

「B1」のパッシブ型の機械式カップリングというのは「ビスカスカップリング」や「ロータリーブレードカップリング(RBC)」が有名ですね。既述のとおり「デュアルポンプ式」もそうですね。FFベースの場合は、通常の直進走行はFFで走ります。前後輪をつなぐプロペラシャフトの間にこれらの「油圧式カップリング」が装備されていますが、この装置は入り口と出口で回転差が発生すると装置内の油圧を高めて直結に近づけようと頑張ります。結果、前輪が滑ると前後輪に回転差が生れて後輪が動き出すという仕組みです。滑らないための四駆なのに、滑ってからでないと四駆にならないので「なんちゃって4WD」と呼ばれる所以です。「スタンバイ式4WD」という呼び名もここから生まれています。シンプルなのですが四駆の性能としてはミニマムです。ホンダのグレイスはデュアルポンプではなく、ビスカスカップリングをリアデフと一体型にして小型にしています。極力軽量シンプルで安価にする意味でメリットがあります。

■(B2) アクティブ型（電子制御カップリング）

「B1」のパッシブ型は機械式なので四駆になるまでの時間がかかります。ならば、センサーの電気信号で油圧式カップリングを作動させてしまえば、作動ラグが短くなると考えられたのが「B2」のアクティブ型のはじまります。ホンダの「リアルタイムAWD」もトヨタの「アクティブコントロール4WD」も似たような感じで、それほど高度な制御はしていません。このアクティブ型もピンキリで、マツダの「i-Acrive AWD｣や、ワーゲン・ボルボの採用する｢ハルデックス5｣等は、多くのセンサーを駆使して滑るのを予知して四駆にするような制御までしています。こうなるとフルタイム4WDとの性能差は縮みますね。ホンダの「リアルタイムAWD」はこの水準には届いていませんが、これを上回る技術を「B3]のモーター式の「SH-AWD」で実現しています。

■(B3) モーター式（プロペラシャフトなし）

メインの駆動輪はエンジンが受け持ち、残りの2輪をモーター駆動で補助します。トヨタのE-Fourや三菱のアウトランダーPHEVがこの方式ですね。プロペラシャフトが不要で、電子デバイスとの相性がよく、きめ細かい制御ができるのがメリットです。

正直、ホンダの4WDはどれも今一つでしたが、このモーター式の「SH-AWD」に関してだけは最先端です。例えば、新型NSXは後輪はエンジン＋１モーター、前輪は２つのモーターで左右を個別に制御します。トルクベクタリングも朝飯前でプログラムひとつでクルマの動きはどうにでも変えられます。三菱のアウトランダーPHEVもプリウスの4WDもモーター式4WDですが、今後はハイブリッドの4WDはモーター式この方式が主流になっていくと思います。


・・・ということで、ホンダには「フルタイム4WD」はなく「トルク･オンデマンド型4WD」が主流。その「トルク･オンデマンド型4WD」の中では、「リアルタイムAWD」はあまり高性能でなくコスト重視型の四駆である一方、「SH-AWD」は次世代を担う最先端のものであるということになります。

長くなり失礼いたしました。ご不明な点があれば追加でご質問ください。

質問者からのお礼コメント

とても詳しい回答ありがとうございました。

Answer 2

リアルタイムです。

SUVのヴェゼルでさえ滑ってからじゃないと４ＷＤにならないなんちゃって仕様です。