メルセデス・ベンツ Eクラス ステーションワゴン 「走りも実用性も完成度の高いワゴンです」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

走りも実用性も完成度の高いワゴンです

2023.9.13

年式

2016年11月〜モデル

総評

「Cクラス以上、Sクラス未満」というのがEクラスのポジションですが、ステーションワゴンとなると話は別。Sクラスにはステーションワゴンがないので、事実上、メルセデスベンツにとって最上級のステーションワゴンとなります。もちろん中身は、そんな立ち位置に見合うもの。内外装は上質だし、荷室も広いし、なにより快適。そしてなにより、「SUVではなく、あえてステーションワゴン」というモノ選びがいいですね。

満足している点

荷室の広さ。そして重心の低さが後ろ盾となる旋回性能や高速安定性。昨今のドイツ車は、燃費性能でもひと昔前ではとても考えられなかったレベルに到達しているのもうれしいところです。

不満な点

これといって特に見当たらないところが、Eクラスステーションワゴンの凄さかもしれません。強いていえば、「Cクラスステーションワゴンではなく、あえてEクラスステーションワゴンを買う理由が見つけにくい」ということでしょうか。クラスは上がりますが、Cクラスが良すぎてしまうがゆえに「Cクラスでも十分」と感じてしまうんですよね。

デザイン

4

海外ではすでに新型がお披露目されていて、もうすぐ国内向けもデビューすることでしょう。しかし、もうすぐ“旧型”になるとは思えないほど鮮度を感じられるのは、デザインそのものの完成度が高いからにほかなりませんよね。個人的には、流麗なルーフラインや車両後部が後ろ下がりになっている車体側面のデザインが気に入っています。

走行性能

4

「GLE」などSUVに対するステーションワゴンのアドバンテージを走行性能に求めるなら、期待を裏切りません。違いの分かるドライバーであれば、全高や重心の低さは高速道路や峠道を走る際の安定感として実感できます。動力性能は、1.5Lのガソリンエンジンにモーターを組み合わせるベーシックな「E200」でも必要にして十分。2.0Lエンジンを積む「E300」はもちろん、ディーゼルの「E220d」になれば十分な余裕を感じるほどです。もちろん、お財布に余裕があれば「AMG E63」でV8を堪能するのもいいですね。

乗り心地

4

どの仕様に乗っても安心できる乗り心地です。細かいことを言えばランフラットタイヤはそれ特有の細かい入力がありますが、乗っていれば意外に慣れるもの。電子制御サスペンション装着車は減衰力を変更できるので、コンフォートモードだとより優しい乗り心地になります。だから家族に乗り心地を気にする人がいる場合は、装着が理想です。

積載性

5

ミニバンや超大型SUVを除外すれば、最高峰といえる実用性です。ラゲッジルームの床の奥行きは後席を倒すことなく1.1mを超え、床面積が広いからとにかくたくさん荷物が積める。同じクラスのSUVと荷室を比べると、天地高さでは負けますが床面積が広いことがステーションワゴンの魅力といっていいでしょう。テールゲートの開閉に連動し、自動で開いたり閉じたりするトノカバーも便利ですね。

燃費

3

燃料代を気にするなら、WLTCモード燃費18.0km/Lを誇る「220d」がイチオシ。制限速度を守っての高速道路巡航なら20km/Lを超えることもあるでしょう。ガソリン車はグレード名の数字が上がるほどに燃費は悪化しますが、以前のEクラスに比べると全体的に燃費はよくなっていて「E200」なら日常的な燃費が10km/L、高速道路で15km/Lを超えることもあります。

価格

2

ボトムグレードでも800万円台後半、上級タイプになれば非AMGモデルでも1000万円オーバー。一見したところずいぶん高いように感じますが、今ではこのクラスだと一般的なプライスタグといえますね。まあ、高いことが高いですが……。