レクサス UXハイブリッド 「スモールサイズのレクサスSUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

3

デザイン
4
走行性能
4
乗り心地
3
積載性
2
燃費
3
価格
2

スモールサイズのレクサスSUV

2022.12.21

年式
2018年11月〜モデル
総評
レクサスも世代ごとにデザインや使い勝手、車内HMIが大きく異なる。その点、UXの外観は新世代そのもの。リヤゲートに真横へと伸びるLEDランプ処理など、2022年に国内で発売がスタートしたRXとの共通項も垣間見ることができる。こうしたレクサスらしさをもちながら、都市部で持て余すことのないボディサイズは重宝する。また、レクサスの各店舗ではスタッフの対応も素晴らしく、レクサスオーナーになりたいという声を押し上げている。
満足している点
レクサスらしいデザインセンスと、トヨタが誇る安心・安全、そして高い信頼性を同時に手に入れたいユーザーには最適な一台だ。人気のSUVだが都市部でも使いやすい全高1540mmだし、2.0Lエンジンとの組み合わせとなる改良型THS-Ⅱは走行性能と燃費性能の両面で優れている。車両価格にしても、同クラス輸入車と装備内容で合わせると、若干ながらUXのほうがリーズナブルだし、そもそも燃費に優れたフルハイブリッドならUXの一択となる。
不満な点
見た目、燃費性能、そして走り。どれをとっても満足度が高いが、唯一、乗り味に関しては軽快さが目だつ。重厚な走りのイメージをもってUXに乗ると、少々がっかりするかもしれない。いわゆるギャップがあるのだ。とくにハイブリッドモデルの走りは活発だから、軽快な乗り味との組み合わせに納得できるかどうか、実際に試乗してから決めて頂きたい。ちなみにガソリンモデルはCVTとの関係から高回転域でのエンジン透過音が耳につく。
デザイン

4

全長4495mm×全幅1840mm×全高1540mmだが、サイズ以上に立派に見えるのはフロントの大きなスピンドルグリルによるところが大きい。レクサスは面構成にもこだわりがある。前後ドアの下部にはクラウチングスタイルを強調する深い直線的な彫りをあたえ、前後のフェンダーアーチモールは太め、かつ尻上がりの処理で全体のバランスを取る。競合車が多いSUVのなかで、レクサス共通のアイデンティティで差別化を図る。
走行性能

4

ハイブリッドモデルのパワートレーンは1種類。プラグインモデルであるPHEVの設定はない。直列4気筒2.0L直噴エンジンのTHS-Ⅱはトヨタ/レクサス含め、初導入の新開発のハイブリッドシステムだった。従来型THS-Ⅱと比較して、モーターアシストとエンジン回転数を最適化して、アクセル操作に対してリニアな加速フィーリングを実現している。市街地から高速道路まで活発な走行フィールが味わえる。スポーツハイブリッド的な存在だ。
乗り心地

3

軽快な乗り味だ。ただ、サーキット走行に向いているのではなく、あくまでもスッキリとした乗り味を目指した特性。F SPORTでは専用チューニングが施されたサス設定ながら、やはりこれもしなやかに走らせるためのもの。減衰力特性の制御を行なうAVSを4輪に備え、ボディ後部にはパフォーマンスダンパーを採用し、路面からのざらついた入力をシャットダウンする。遮音性の高さはこのサイズのSUVではトップクラスだ。
積載性

2

コンパクトな部類に入るUXだが積載能力もある程度は確保されている。数値では268L(ガソリンは310L)と少なく感じるが、ラゲッジルームの床面が下げられる(高さ2段調整式ボード)ので高さのある荷物でも積み込みやすい。リヤゲートとの境には段差があるし、そもそもボディサイズが小さいので長尺物の積み込みにも工夫がいるが、それを割り切りハッチバックモデルのように使いこなせば良いだろう。
燃費

3

FFモデルと4WDモデル(E-Four)があるがどちらも優秀な燃費数値だ。発売同時はJC08モード値のみだったが、FFが27.0km/L、4WDが25.2km/L。トヨタで汎用ハイブリッドシステムとして使われている1.8Lタイプよりも燃費数値が15%程度落ちるが、走行性能は2.0Lということもあって30%増しの印象。最新のUXではWLTC値の記載があるが、そちらでは22.8km/Lと21.6km/Lとなり駆動方式による差が縮まっている。
価格

2

2018年に発表された当時の価格は、ボトムグレードである「UX250h」で4,250,000円(4WDは4,510,000円)と高価だった。しかしレクサス全般でみればリーズナブルな部類。トップグレードは「version L」で5,090,000円(同5,350,000円)。駆動方式による差額は260,000円とE-Four形式のハイブリッドモデルとしては大きな開きがない。もっとも、レクサスらしくボトムグレードでも不足ない装備だから満足度は高いはずだ。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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