ジープ レネゲード 「タフで遊び心があってPHEVもある希少なコンパクトSUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

まるも 亜希子
まるも 亜希子(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
5
走行性能
4
乗り心地
3
積載性
4
燃費
3
価格
3

タフで遊び心があってPHEVもある希少なコンパクトSUV

2023.9.20

年式
2015年9月〜モデル
総評
4×4専門メーカーとして長い歴史を持ち、現代に必要な快適性や安全性も取り入れながら、その信念を貫いているジープというブランドそのものが、まず魅力的。さらに市街地で扱いやすいサイズや遊び心のあるデザインなど、都市部に住む人たちにも身近なモデルがレネゲード。PHVの登場で環境への配慮が求められる時代にもフィットし、電気を賢く使うことでより効率的な使い方がしやすくなりました。普段は買い物や送り迎えで扱いやすさを享受して、レジャーなどではジープらしいワイルドな走りを堪能する、メリハリのあるカーライフが手に入る1台です。
満足している点
走り出す前に、エクステリアやインテリアを眺めているだけでも、楽しい気分になってくるのがレネゲード。運転席に座ったりバックドアを開けたりするたび、いろんなところにジープの遊び心が感じられるのです。たとえば、フロントガラスの端っこをよくよく見ると、ジープの祖先である幌タイプのイラストが隠れていたり、バックドアを開けるとジープ伝統の「7スロットグリル」をモチーフとしたアイコンがあしらわれていたり。テールランプのデザインも、アメリカ軍御用達の燃料運搬タンク「ジェリー缶」と同じマークがモチーフになっているなど、デザインに込められた想いを知るほどに、愛着が湧いていくクルマです。
不満な点
PHEVは11.7kWhのバッテリー搭載で、EV走行が48km(WLTCモード)となっていますが、ガソリンタンク容量が36Lと、やや小さめです。ガソリンモデルの容量は48Lなので、状況によってはPHEVだと総走行距離が短くなる可能性もあることは頭に入れておくべきでしょう。ちなみにPHEVは急速充電には対応しておらず、普通充電の目安は満タンまで約4時間です。
デザイン

5

外観はちょっと丸みを帯びたフォルムなのに、しっかりとジープらしいワイルドさが感じられるところはさすが。インテリアでは、助手席側に悪路走行の際に握れる太めのグラブバーがあるところや、揺れてもドリンクがグラグラしないカップホルダーなど、やっぱり市街地メインのコンパクトカーとはひと味違う、ジープらしいインテリアだと感じさせてくれます。
走行性能

4

2019年のマイナーチェンジで1.3Lエンジンに統一され、PHEVにも1.3L+モーターが搭載されているのですが、市街地や高速道を走る限りでは、パワー不足はまったく感じません。むしろ軽快感が増してアクティブなドライブに合うようになったと感じます。ガソリンモデルでは、信号待ちからの発進や、急坂での追い越しなどで多少のかったるさを感じる場面もあるのですが、そこはPHEVのバッテリー残量が残っている間なら、なめらかかつ余裕を見せてくれます。ただ、バッテリーがなくなったあとのPHEVはちょっと重ったるくなるので、全域を通してキビキビと走れるのはガソリンモデルだと思います。
乗り心地

3

乗り心地はまったく期待していなかったのですが、最低地上高が「リミテッド4xe」で170mm、「トレイルホーク4xe」で210mm確保されていることもあり、ひどく悪いわけではなく普通に過ごせると思います。少し後席の座面が小さめで、背もたれも直立気味なのはラングラーなどと同じ。前席よりも後席の方が、振動が伝わりやすかったり、ノイズが大きめに感じたりします。
積載性

4

ラゲッジは、マイナーチェンジ前は後席が6:4分割となるグレードもあったのですが、現在は4:2:4分割で倒せるようになっています。トランクスルー機能はスキーなど長尺物を積むのに便利。またフロアボードが2段階で高さを変えられるようになっており、後席を倒した時には上段にすることでフラットなスペースが拡大。重い荷物をすべらせて積めるのがいいですね。ただ5人乗車だと容量はあまり大きくないので、アウトドアレジャーに使うなら家族2〜3人が適しているのではないでしょうか。
燃費

3

1.3Lのマルチエアエンジンは効率のいいエンジンですが、WLTCモード燃費は13.5km/L。でもコンパクトクラスにはもったいないくらいの4×4性能を持っているレネゲードなので、燃費のことをとやかくいうのはヤボというもの。もし気にするなら、PHEVでちょくちょく充電を繰り返しながら、EV走行をなるべく多くするという手はあります。
価格

3

デビュー当初は300万円台で買うことができたレネゲードですが、現在はガソリンモデルがLimitedのみになって400万円台、PHEVの4xeは2グレードでいずれも500万円台後半。なかなか手頃とは言えない価格になってしまいました。ただ、先進安全装備やコネクテッド機能などもアップデートされているので、より安心感が高いモデルを重視するなら新車、そうではなくレネゲードのデザインやサイズなどを重視するなら、前期モデルを中古で狙うのもアリかなと思います。
まるも 亜希子
まるも 亜希子
自動車ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌編集者を経て独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツ参戦や安全運転インストラクターなども務める。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員。YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」、「おっさん on boad」にも出演中。
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