ヒョンデ アイオニック5 「奇をてらうことのない韓国生まれのBEV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

4

デザイン
3
走行性能
3
乗り心地
3
積載性
3
燃費
4
価格
3

奇をてらうことのない韓国生まれのBEV

2022.11.28

年式
2022年2月〜モデル
総評
BEV含めた電動化の本格的な普及期を迎えた日本では、国内外のさまざまな電動化モデルの増加が結果的に良い方向に働く。車両の性能だけに留まらず、充電環境などインフラ面でも普及が一層進むからだ。一方、BEVがライフスタイルに合わない、自身の時間の使い方に合わない、そういった人たちの存在も明らかになるだろう。その場合は無理にBEVに合わせずとも性能の見合うHVを購入すべき。大切なことは電動化の普及で、BEVだけの普及でもなければ内燃機関排除でもない。
満足している点
BEVでも、欧州ブランドほど高価ではなく、国産モデルにはないデザインセンスを求めるユーザーには最適だ。外観デザインも遠くからアイオニック5とわかるアイコン的なスタイルだし、内装にしても明るい色調で、天井一面がガラスルーフとなるモデルもある。充電中の待ち時間を車内で過ごす際、運転席のシート座面と背もたれが大きく後ろに倒れ、身体全体を包み込む「前席リラクゼーションコンフォートシート」が便利。上級グレードは助手席にもこの機能が装着される。
不満な点
販売とアフターサービスがユーザーからすれば気になるところだろう。販売面ではウェブサイト上で試乗の申し込みや車両注文も可能だ。いわゆるオンライン購入への対応はかなり進んでいる。ショールームも主要都市に増えつつある。アフターサービス面では、実際に車両の整備が必要となるため提携工場へと入庫することになるが、2022年11月末の時点で主要都市を中心に30箇所以上あるという。とはいえ、国産車ディーラーと同じような手厚いサービスは現時点ではむずかしい。
デザイン

3

ボディは全長こそ4635mmといわゆる5ナンバーサイズだが、全幅は1890mm、全高は1645mmと大きい。都市部の場合、立体駐車場に駐車するには制約がありそうだ。直線を基調としたボクシーなスタイリングで画像だけで判断すると抑揚がないように思えるが、実車はずいぶんと複雑な面構成をしている。また、細部にわたってピクセルを模した処理がなされ、凝った作りだ。インテリアは一転、北欧ブランドのように優しいラインと色合いで構成する。
走行性能

3

試乗したのは、「Lounge AWD」と呼ばれるトップグレード。搭載する2次バッテリーは72.6kWh容量のリチウムイオンバッテリーで、普通充電のほかチャデモ方式の急速充電に対応する。BEV専用のプラットフォーム「B-GMP」に前後ツインモーターで305PS/61.7kgf・mの組み合わせ。車両重量は2100kgとかさむが、電動パワートレーンの高効率化によりWLTC値で577km走る。アクセルワークに対してスムーズに増速する特性だが、走らせてみるとスペックよりもおっとりとした印象が強い。
乗り心地

3

暴力的な加速力を誇示しない走行特性にあわせておっとりとした乗り味だ。前シートはサイドサポート性に優れているが、シート自体は柔らかめ。後シートも同じく居住性が重要視された形状だ。路面の凹凸をきれいにいなす足回りだが、きつい曲率のカーブでは車重を意識させる。少し気になったのは制動時の前後ピッチング。量はそれほどでもないが、ペダルを踏み込んだ際にわりと大きく前のめりになるため、丁寧なブレーキ操作と回生ブレーキの引き出し方が求められる。
積載性

3

車幅が大きいだけに積載能力は高い。BEV専用プラットフォームなのでフロア全体が低く、ラゲッジルームにおいてはサスペンションの張り出しも最小限に抑えられている。センターコンソールボックスは140mmの前後スライドが可能。最前部では前席アームレストのようにも使えるし、最後部まで下げれば後席に座ったまま収納の一部として使うことができる。ちなみに前シートだけでなく、後シートにも電動スライドシート機構を備える。
燃費

4

カタログ上の電費数値では142Wh/kmなので、7.02km/kWhとこのクラスにしても標準的。これがシングルモーター(後輪駆動)の小容量バッテリー(58.0kWh)モデルだと、131Wh/kmなので、7.63km/kWhまで伸びる。小容量とはいえ、こちらの一充電あたりの走行可能距離は498kmと十分だ。ちなみに本国(一部、欧州地域)では350kWの急速充電が可能で、理論上は約18分で80%まで充電率を高めることが可能だ。
価格

3

シングルモーターの小容量バッテリー「IONIQ 5」が4,790,000円、同大容量バッテリー「IONIQ 5 Voyage」が5,190,000円、同大容量バッテリーで充実装備の「IONIQ 5 Lounge」が5,490,000円、フラッグシップが前後ツインモーターの大容量バッテリー「IONIQ 5 Lounge AWD」で5,890,000円。減税とCEV補助金を合せて約906,000円の優遇が受けられる。売れ筋はフラッグシップで、テスラなどBEVからの乗り換え組みも多いという。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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