ハマー H2 のみんなの質問

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マツダディーゼルエンジンは何がスゴいのか

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マツダのディーゼルエンジンが凄いのは,厳しい排気規制に対し,「NOx後処理装置無しでクリアしたこと」です

●ディーゼルエンジン排気の課題とは?
ディーゼルエンジンでは,主にPM(細かいスス)とNOx(窒素酸化物)が課題です。PMはDPFを使えば,比較的簡単に除去できます。一方,NOxは,より完全燃焼に近づけるほど,NOxが生成してしまうため,燃費との両立化がむずかしいという課題があります

●NOxはどういう条件で発生するのか
2つの条件が必要

(1) 高温
(2) 空気(酸素)が多い

低温にしたり,空気が少ない条件にすれば,NOx生成量は低減できます。ところが下記の問題が

★低温にすると
低温燃焼では,燃料が完全に燃焼できません。つまり未燃分や不完全燃焼による有害成分(HC:炭化水素など)が出てきます。また燃料を完全に使っていないので,燃費が悪いことになります
これを解消するには,下記2つが必要

<1> 空気が多いこと…空気が多ければ,燃料と空気(酸素)との接触確率が増えて,より完全燃焼に近づきます
<2> 予混合化…燃料と空気とをよく混合することを予混合化といいます。通常,燃焼室内の気流を強める必要があります。燃焼室内気流が強いと,燃焼した高温ガスが燃焼室壁へ熱伝達しやすくなり,冷却損失が増えます

★空気(酸素)を減らすと
空気が少ないと,燃料と酸素が接触する確率が減り,不完全燃焼になり,炭化水素などの有害成分ができ,燃費が悪化します

●どうすれば良いのか?
低温燃焼+予混合化+冷却損失低減
という3つの課題が

★どうやって低温燃焼にするのか?
燃焼温度を下げるには,下記2つの方法があります。

(1) 燃焼ガスの比熱を高める … 空気は主として「酸素+窒素」から構成されています。どちらも2原子分子です。一方,排ガスは,「二酸化炭素+水+窒素」から構成されています。「二酸化炭素+水」は,どちらも3原子分子です。2原子分子にくらべて,3原子分子は28%くらい比熱が大きくなります

排ガスを再度,燃焼室に戻すことを,EGRといいます。排ガスを排気バルブから燃焼室に逆流する手法を「内部EGR」といいます。一方,排ガスを別の経路を使って,吸入バルブから燃焼室に導く手法を「外部EGR」といいます

(2) 局所的な高温部位を減らす
燃料噴射インジェクタから噴射された燃料は,燃焼室内では,大半が液滴のままです。この液滴の大きさが大きいと,液滴周囲の狭い範囲で高温になります。この時,NOxが生成されます。
できるだけ高圧の燃料を小さい噴孔から噴出できれば,液滴径が小さくなります。つまり燃焼しても,液滴周囲の温度はあまり高くなりません

★どうやって予混合化するのか
下記2つの方法があります

(1) 予混合時間を確保する
予混合とは,燃料と空気の混合を意味します(厳密には,燃料が気化することが必要)。予混合時間を稼ぐには,燃料を噴射してから着火するまでの時間を長くすることが必要です。一般的なディーゼルエンジンでは,燃料を噴射すると,噴射した液滴の周囲が高温なので,予混合するための時間はほとんどありません。つまり燃料噴射してから,自着火するまでの時間を稼ぐには,自着火条件でなくする,つまり低温であれば良いわけです。一般のディーゼルエンジンでは,圧縮比を16~17以上にします。しかしSKYACTIV-D(以下,SKY-Dと呼びます)エンジンでは,圧縮比を14程度と低くします。圧縮比が低いので燃料の液滴と空気(酸素)が混合する時間が稼げます
問題点もあります

(2) 筒内気流を生成する
ディーゼルエンジンでは,ピストン上部に窪み(くぼみ,キャビティ)を設け,この中で主燃焼をおこないます。このキャビティ内での主燃焼に入る前,タンブルなどで予混合を進めます
気流が強いと,冷却損失が増えます

★どうやって冷却損失を減らすのか
高温の燃焼ガスからピストンへピストン壁面などに逃げる熱量のことを冷却損失といいます。冷却損失はエンジン出力と同じオーダの動力なので,無視してはいけません
冷却損失を減らすには,燃焼ガス温度を下げるか,壁面付近での熱伝達率を減らすのが有効です。燃焼ガス温度を下げるのは,EGRで実施していますので,残る手法は,熱伝達率を下げる手法です。
壁面熱伝達率は,流速を下げるがいちばん効果的です。しかし単純に流速を下げると,予混合が進みません。このため高い流速を維持したまま,壁面に触れにくい流れをつくることにします
マツダのSKY-Dでは,ピストン頭頂部のキャビティ形状として卵形状を選んでいます。卵形状なら,燃焼ガスはその中で,渦を巻きます。渦を巻けば,高い流速を維持したまま,壁面に触れるガスと触れないガスを分けることができます

●圧縮比を下げるのは,良いことばかりではない
擬似的な予混合を進めるため,圧縮比を下げて,着火までの時間を稼いでいます。しかし圧縮比を下げると下記2つの問題が

(1) 熱効率の低下
熱効率は圧縮比と比熱比から決まりますので,圧縮比を下げるのは,熱効率を下げることになります。
このため,2016年1月に開催された AUTOMOTIVE WORLD2016 において,マツダの方から,今後は,熱効率改善のため,次の段階では,圧縮比を20,将来は 30にするという報告がされています。
圧縮比を20や30にすると,予混合時間が短いので,均質+リーンバーンにします

(2) 白煙
圧縮比を下げると,自着火条件から外れていきます。そして低外気温での始動時,自着火できなくなります。このとき,グロープラグで最初の燃焼がおこなわれますが,2回目は,着火できず,白煙を吹く,つまり未燃のまま排出することになります

●マツダの工夫とは
マツダでは,下記のような工夫をしています

★可燃混合気の増加
・多噴孔化
6個ある燃料噴射インジェクタの噴孔を10個に増やすと,1個の噴孔からの燃料量が少なくなります。これにより噴射された燃料粒と燃料の周囲の空気(酸素)との接触確率が増えます
・ピエゾ化
従来のソレノイドにくらべると高い応答性をしています。これにより,より短時間の噴射をおこない,燃料粒の粒径を小さくします。これも空気との接触確率増加になります
・近接マルチパイロット噴射
多噴孔+多段+高圧噴射により,燃料粒の飛ぶ距離が短くなり,当量比の高い燃料噴霧をつくることができます

★高過給化
排気量が2.2Lクラスでは,通常,1段過給ですが,SKY-Dでは,2ステージターボチャージャを装着し,タービン径をより小径にして,低排気流量でも駆動できるようにして,低回転域から高過給を実現しています。これにより始動時にも筒内温度を高めることができます

なおSKY-Dでは,高EGRによる低温燃焼によってエンジンアウトのNOx量を減らしています。これをおこなうと,PMなどの未燃分が増えます。このため筒内酸素濃度を高める効果も

★グロープラグの改善
セラミックグローにして,急速昇温性を改善

★残留排ガスの増加
排気弁の開弁時期制御をおこない,吸気行程で排気弁を微小開弁することで,排気の一部を筒内に戻し,圧縮前の筒内温度を高めています

★プリ燃焼の大型化
通常は,メイン燃焼の20%くらいのプリ燃焼を最大で80%くらいにしています。これにより着火遅れ期間が長くなり,燃焼が不安定になることを回避しています

●従来のNOx後処理とは?
NOx後処理装置には,下記2つの手法が使われています。

(1) SCR…排ガスに尿素水を噴射します。尿素は排ガスの高温でアンモニアになります。このアンモニアがNOxをN2(窒素ガス)に還元する作用をおこないます。
この手法は,安定してNOx除去ができるのですが,尿素水タンクやその供給装置,そして尿素水インジェクタやそのためのポンプ,そして使われなかったアンモニアを回収するアンモニアスリップ用触媒などが必要です

(2) LNT…リーンNOxトラップ。触媒の表面にNOx吸着層を設けます。空燃比を時々,濃くします。濃いときには,燃料の一部が余るので,これがH2(水素)やHC(炭化水素)やCO(一酸化炭素)になります。これらが,吸着されたNOxを還元し,無害化します。この手法はNOx処理量が少ないときは,SCRより安価です

いずれにしても,数十万円もかかることが問題です。

●どうしてマツダは,SKY-Dをつくったのか?
NOx後処理には,多額の費用がかかるので,NOx後処理装置をなくすることが,最大の売りになると考えました。このため,NOx後処理で使うべき費用を,高価なターボ・チャージャや高圧の燃料噴射系に使っています。このためNOx後処理装置がない割に,高価なシステムになっています。

●今後は?
マツダの将来構想では,下記の技術が必要です

(1) 均質化 … 現在よりさらに予混合化をすすめます
(2) リーンバーン化+高圧縮比 … 従来の空気過剰率2.8を4.0くらいにします。つまりリーンバーン化です。さらに圧縮比を14から20くらいにします
(3) 低冷却損失 … 筒内気流の改善+壁面の低熱容量化+高水温化 をあわせておこなうことになるでしょう

●RDEへの対応
RDEとは,Real Driving Emissions ということで,実走行での排ガス計測を意味します。今後,排ガス規制が厳しくなると,SKY-Dだけでは対応できなくなります。つまりNOx後処理装置が必要です。そうなると,SKY-Dのコストに加えて,NOx後処理装置のコストがかかりますので,他社より,コストの高いシステムになります

●系列化
日本では,エンジンを個々に最適化するのが多いのですが,欧州では,できるだけ少ないエンジン系列で,多くの出力バリエーションをつくるというのが,最近のはやりです。このため,バリエーションをつくるのは,ターボ・チャージャの容量をつかいます。多くの出力バリエーションがあるのに,エンジンの基本形が少なければ,より大量生産になり,コストが下がります

RDEへの対応や系列数の低減に効果が少ないので,欧州では,SKY-Dの評価は必ずしも高くありません

簡単ですが,ご参考になれば幸いです。

その他の回答 (4件)

  • 加速がもたつくみたいですよ。
    オイル交換も大変かも。

  • マツダのディーゼルエンジンは外に排出される二酸化炭素濃度が少なく設計されていて環境に良いです。また、ディーゼルエンジンにターボが搭載されていますのでトルクが太く、山道なども楽々登れますし、何より燃料費が安いことが大きなメリットです。
    今後、マツダはディーゼルエンジン搭載車をどんどん増やしていきそうです。

  • 可変バルブによる内部排気循環で、SCR触媒を使用しないでEURO6規制をクリアーしているところなのだ。
    SCR触媒を使用すれば、アメリカの規制も余裕なのだ。
    問題は価格なのだ。

    回答の画像
  • とにかく、安い所です。

    ガソリンエンジンに対し、ターボで軽油なのにバカ安です。

    デミオガソリン15MB 150万円に対し178万円、、
    CX-5ガソリン20S 245万円に対し284万円、、

    安すぎて、皆がディーゼルを買います。

    パワフルで、燃費が良くて、軽油は安い、、HVは要りません。

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