ダイハツ タントカスタム 「後席の広さに驚かずにはいられない」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

工藤 貴宏
工藤 貴宏(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
3
走行性能
2
乗り心地
4
積載性
2
燃費
5
価格
3

後席の広さに驚かずにはいられない

2022.6.21

年式
2019年7月〜モデル
総評
元祖スーパーハイトワゴンとして、使い勝手の高い軽自動車に仕上がっており、買って満足できる1台といえるだろう。しかし販売面でライバルに差をつけられているのは、ライバルに比べて劣っているとかウィークポイントがあるというよりは、「ム−ヴキャンバス」という親戚がいる影響が大きい。ムーヴキャンバスはハイトワゴンとしては珍しいスライドドアを組み合わせた車両で、「価格重視でスライドドアさえあれば背は極端に高くなくてもいい」というユーザーに広まっている人気モデル。そこにユーザーが流れた結果、タントカスタムを含むタントの販売はライバルにリードを許しているのだ。逆にタントカスタムにあってムーヴキャンバスにないのは、天井の高い居住空間。後席の居心地もタントが勝る。
満足している点
広い後席やスライドドアによる実用性の高さ。それはホンダN-BOXやスズキ スペーシアなどライバルにも同じことが言えてしまうのだが、ライバルにない飛び道具として、助手席ドアと助手席側スライドドアを同時に開けるとBピラーレスの大開口部が実現するという「特技」を持っている。また助手席の背もたれを前に倒すと水平なテーブルとして活用できるなど、使い勝手を語るうえで特徴的なポイントだ。また、助手席に半ドアを防ぐクローザーを組み込むなど、痒い所に手が届く的な便利装備も光る。
不満な点
ライバルに差をつけている装備の「Bピラーレス開口部」だが、これを有効活用できるのはどんなシーンかと考えた場合にパッと思い浮かばないのがなんとも惜しい。実際のところスライドドアを開けただけの乗り降りでも開口幅がわずかに広がるのは事実であり、人によってはそこに価値を見出せるだろう。ライバルに比べて明らかに弱点と感じられるような部分は見当たらない。
デザイン

3

軽自動車は全長や全幅の制約があり、その中で高効率なパッケージングを求めるスーパーハイトワゴンのジャンルは各車ともプロポーションが似てしまうのを避けられないところだ。そのため、個性を出すデザイン要素は顔つきなどに限定されてしまうのだが、プレーンな標準仕様タントに対してタントカスタムは大型ヘッドライトや開口部の大きなバンパーにメッキを組み合わせることで差別化。以前に比べると押し出しの強さは控えめで上品方向にキャラクターを向けている。
走行性能

2

「DNGA」と呼ぶ新世代プラットフォームを採用した現行型は、従来モデルに比べて走行安定性が大きく向上。軽自動車スーパーハイトワゴンは重心の高さという物理的に不利な要素があり、かつては背の高さゆえに旋回時に「グラッ」と揺れるあまり好ましくない動きが乗っている人に伝わってきた。それがDNGAが採用された現行型でかなり抑えられた。とはいうものの、ライバルのホンダN-BOXに比べると、運転していて感じる安定感ではN-BOX優勢だ。エンジンに関しては街中で乗る程度であれば自然吸気エンジンでもいいが、郊外や峠道、高速道路を走るのであれば力強いターボエンジンがオススメ。
乗り心地

4

新世代プラットフォームの採用は乗り心地にもいい影響を与えている。タウンユースでの快適性を重視したモデルだけあって日常領域で不快さを感じない乗り心地の良さがあり、誰もが満足できることだろう。シートなども従来より座り心地が良くなり、長時間座り続けても疲れにくくなった。特に後席は、空間の広さによる居心地の良さがいい。
積載性

2

広い後席スペースには驚かされるが、その反面ラゲッジスペースの広さはそれほどでもない。それは全長4m未満という車体サイズの制約のなかで後席の広さを優先しているパッケージングによるものだ。特に後席を最後部までスライドした際に積める荷物は、スーパーで多めに買い物をしたショッピングバック程度である。ただしシートスライドを前に出せば、人が乗れる状態をキープしたままで機内持ち込みサイズのスーツケースを複数運べる状態まで荷室奥行きを拡大可能。シートスライドもシート格納も左右独立でおこなえるのは便利だ。
燃費

5

FFモデルのカタログ燃費(WLTCモード)は自然吸気エンジンの「カスタムX」で21.0km/L。ターボエンジンの「カスタムRS」では20.0km/L。実際に走っても15km/L以上の燃費を実現するのは難しいことではない。ターボ車は燃費が悪いというイメージを持っている人もいるかもしれないが、同じパワーを出すのであればエンジン回転素が低く済むので走行状況や運転方法によってはターボエンジンのほうが燃費がいいこともある。
価格

3

ターボエンジン搭載の上級グレードとなる「カスタムRS」では190万円に迫り、それを軽自動車の価格と思えない人もいるかもしれない。しかし、オートエアコンや電動スライドドアなどの快適装備や、衝突被害軽減ブレーキをはじめとする先進安全装備の充実を考えればやむを得ないところ。自然吸気エンジンを積む「カスタムX」とターボエンジン搭載の「カスタムRS」の差額は約15万円だが、エンジンにターボが付いて動力性能が増すのに加えて電動パーキングブレーキやACCなどの機能も追加されることを考えれば割安とも言える。
工藤 貴宏
工藤 貴宏
自動車ジャーナリスト
1976年生まれ。クルマ好きが高じ、大学在学中に自動車雑誌の編集部でアルバイトしたことをきっかけに、そのまま就職。そして編集プロダクションを経てフリーランスの自動車ライターに。日々新車を試乗し、日夜レポートを書く日々も気がつけば10年以上。そろそろ、家族に内緒でスポーツカーを買う癖はなんとかしないと。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
ダイハツ タントカスタム 新型・現行モデル

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