アウディ SQ5 「Understatement」のユーザーレビュー

Understatement

2021.1.26

総評

ドライバーオリエンテッドの走行性能も楽しめて、同乗者がいれば快適に目的地に移動させられて、いざとなれば荷物も積めて、洗車をすればウットリできる、1台ですべてを満たせる車です。

一方で、価格に見合う価値を見出せるかどうか、個人の好みがはっきり分かれる車でもあります。
同じ金額を出せば様々な魅力的な選択肢がありますので、余程のこだわりや“縁”でもない限り、あえて選択する必要はないと思います。

少なくとも、人に見せることを前提にした所有欲を満たすための車ではありません。
乗った人だけが感じられる良さがあります。

満足している点

すべてが緻密です。エンジンフィールの滑らかさ、内装の質感、ボディのプレスラインや塗装、チリ合わせなどの精度が高いです。
MC前で年次改良が効いているようで、特にコンピューター周りは信頼できそうです。（ただしプレゼンス以外）
物理スイッチの感触など、細かいところにまでアウディらしさが反映されています。

不満な点

先進機能の面では特に優れているとは思いません。とりわけ不満なのはアウディプレゼンスです。
誤作動（とは言い切れないが）が多く、幹線道路を60キロで走っていたらいきなり自動ブレーキがかかったり、信号待ちをしていたらいきなりシートベルトが巻き上がって後続車の衝突に備えるモードに入ったり、駐車場で枠内に止めるため後退中にいきなり凄い音と共にフルブレーキがかかったりなど。
どれも予期しない場面での動作なので心臓に良くありません。

もう一つ、ダッシュボード上のモニター裏付近からディスクの駆動音のようなシャカシャカした音が常に生じています。
静粛性が高い車だけにこの音がとにかく耳につきます。ディーラーに確認したところ、「こういうもの」との回答でした。

それと細かいことですが、ドアミラーカメラが付属しているのに、アラウンドビューにしか使えないのは不便です。
縦列駐車時の縁石の位置確認のために是非見えるようにして欲しかったです。

デザイン

4

威圧感がない、押し出しの弱い、控えめなデザインです。
でもサイドに流れるプレスラインが象徴しているように、直線と曲線の融合など手が込んでいます。
前車のジャガーもそうでしたが、SUVのデザイン潮流が尻上がりであったり、クーペスタイルであるのに対し、この車は箱型で地べたに近いドッシリとした構えです。
実際の寸法よりもコンパクトに見えます。
乗車時のアイポイントを含め、個人的にはSUVというより、僅かに背の高いステーションワゴンに乗っているような感覚です。

走行性能

4

まだ慣らしが終わったばかりなので、限界まで試したわけではありません。
ツインスクロール式ターボらしく、アクセルを踏めば踏んだだけ、恐ろしい領域まで直線的に連れて行ってくれる官能性があります。
またドライブセレクト次第で、唸るような乾いたエグゾーストが心地よい音色に変換されて車内に響きます。
トルクもありどこからでも力強く加速するエンジンですが、最初の2秒くらいはモサっと感じることが多いです。
初めからグンと踏み込めばいいのですが、そういう癖がない人には物足りなく感じます。
これはSモードに入れるか、あるいはスロコンを導入することで改善されます。

乗り心地

5

エアサスが最高です。オプションに含めて良かったと感じています。
コーナーを曲がる時、ブレーキをかける時、加速する時、水平状態が保たれます。
もちろん、大きな段差を越えるときにはそれなりの衝撃は感じますが、体で感じるというよりはコツンという音を耳でとらえる程度（多少オーバーですが）です。

前車のジャガーの反動もありますが、とにかく乗り味が滑らかです。
21インチを履いているわりに、ゴツゴツとした乗り味や突き上げはほとんど感じません。
エアサスのおかげもあるでしょうし、タイヤの効果もあると思います。
正直、ピレリのノイズキャンセリングシステム（PNCS）がここまで優れているとは思いませんでした。
遮音性が優れていることとも相まって、ロードノイズをほとんど感じさせません。

積載性

5

荷物はほとんど積まないのでわかりませんが、このサイズのSUVの標準かそれ以上かと思います。

燃費

3

燃費を気にする車ではありません。（アイドリングストップも好みではないので、常にオフにしています）
都区内の街乗りで6km前後、高速で10-12km程度ですが、性能比で個人的には満足しています。

ただ、前車がディーゼルだっただけに給油の回数は明らかに増えました。
月一給油が月二になりました。
軽油からハイオクになり単価も1.5倍なので、燃費とあわせて燃料費は2倍になりました。
お財布には優しくないです。

価格

3

オプション込みで1000万円を超えましたが、はっきり言ってそんな車に見えません。
「そんな車に見えないところがイイ！」という方以外はメルセデスを選んだ方が間違いなく満足できます。

ただ、実際に所有してみるとわかりますが、ボディのプレスや塗装、エンジンやサス、内装の細かなところに至るまで手が込んでいることを実感できます。

不思議なもので、価格にはイマイチ納得がいかないわりに、購入時Q5には全く触手が伸びませんでした。
自分では気付かないだけで、結局は納得しているのだと思います。

故障経験

まだ2,000kmですのでトラブルはなく至って快調です。