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【スーパーカー対談2025】スーパーカースペシャリストの全開トーク「最新スーパーカーは1000psオーバーが基準になりつつある!」

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【スーパーカー対談2025】スーパーカースペシャリストの全開トーク「最新スーパーカーは1000psオーバーが基準になりつつある!」

テーマは「スーパーカー新時代」。電動化で一段と刺激的に進化している!

「真剣スポーツカー好き」/九島辰也 vs 「スーパーカーエディター」/平井大介

【フェラーリ・ジャパン/ドナートA.ロマニエッロ代表取締役社長インタビュー】フェラーリにとって日本のお客様は特別な存在。プロダクトと体験を通じて価値をさらに高めていきます

九島 今日は、スーパーカー専門誌の『ROSSO』で3年、『SCUDERIA』で13年も編集長を務め、現在『AUTO CAR JAPAN』の編集長も務める平井大介さんに、「スーパーカー新時代」というテーマで、スーパーカーの最新事情をお聞きしたいと考えています。まず、フェラーリランボルギーニをはじめ、続々と電動車に切り替わっている、ご意見をお聞かせください。

平井 スーパーカー電動化のきっかけは、フェラーリの限定モデル、ラ・フェラーリ(2013年発表)だったと考えています。あのクルマはPHEVシステムを積んだ先行開発車という性格でした。時代のニーズを先取りし、電動化をパワーアップに利用するという巧みな選択に驚いた覚えがあります。そのラ・フェラーリのシステムを熟成し、市販モデルとして結実させたのがSF90ストラダーレ。V8エンジンと3基のモーターが生み出す出力はなんと1000psです。

九島 そしてその技術とV6エンジンと組み合わせて296をデビューさせた。フェラーリは電動化を本格軌道に乗せましたね。

平井 はい。でも、スーパースポーツの盟主、フェラーリは、自分たちの価値を知り尽くしています。そこが憎いところで、フラッグシップの12気筒モデルは、あえて電動化せず、車名もドーディチ・チリンドリ(=12気筒)と名付けた。実は最初のフェラーリ、166MM(1948年発表)に関してエンツォは「これ以降に出てくるフェラーリは、166MMの派生モデルである」と語っているんです。つまり「12気筒こそがフェラーリ」だといっているのです。主力モデルを積極的に電動化し、新たな走りの魅力を印象付けると同時に、自らのアイデンティティはしっかりと守る。フェラーリの戦略は心憎いですね。

九島 ライバルのランボルギーニは、最新V8のテメラリオで全車の電動化を完了しました。イメージリーダーのレヴエルトはV12+3モーターという手法を採用しています。フェラーリとは違う路線を歩んでいる気がします。

平井 ランボルギーニが12気筒にもモーターを組み合わせ、電動車としたのは、ミウラ、カウンタックで確立したV12モデルが、アヴェンタドールで完成。次のフェーズに移行したことを意味していると思います。レヴエルトは、フロントに2基のモーターを備え前輪を駆動。エンジンの積む方向も変えるなど、すべてのメカニズムを刷新しました。システム出力は1015psを誇ります。しかもドライビングすると、乗りやすさにびっくりします。レヴエルトは、通常は上質に振る舞い、自分がスーパーカーとして攻めたいときには即座にスーパーカーに変身する洗練されたクルマです。ランボルギーニのハイブランド化の象徴とも言えると思います。

九島 ボクも先日、レヴエルトに乗って驚きました。速くてスムーズ。操作系も適度に軽くて実に快適でした。しかもパワーの出方が見事。モーターのアシストは快感レベルです。こうなると1000psが、新たなスーパーカーの基準にるのかな?

平井 1000psというと、かつてのブガッティヴェイロンを思い出します。ヴェイロンの最高出力は1001ps。あのクルマにはパワーゲージがあり、いま、何馬力かがわかるんです。フランス本国の取材で、1001psを確認しましたが、とんでもないパフォーマンスに緊張しました。個人的には、1000psはスーパーカーの勲章。「使わない贅沢」なのではないかと考えています。1000psカーのオーナーは、パワーを解き放つためにサーキットを占有したり、滑走路を借りることもできる人たちです。彼らには1000psという実力そのものに意味があり、憧れを生むのだと思います。とくにランボルギーニとっては、強大なパワーは伝統。強さの象徴という面もあります。

九島 ボクも1001psのヴェイロンを東名高速で走らせたことがあります。周りのクルマが止まって見えましたっけ。ところでポルシェ911もカレラGTSで電動化に踏み切りました。印象はいかがですか?

平井 ポルシェにはインテリジェンスなイメージを受けます。タイカンなどのBEVで、すでにとんでもないパフォーマンスを実現。そのパワートレーンのノウハウを活かして911に電動化技術を投入したのだと思います。完成度の高さに要注目ですね。

九島 ポルシェは将来的に80%をピュアBEVにすると公表しています。つまり20%はエンジンがなんらかの形で残る。911はこれからもエンジンの味を残して発展するという意味ですよね。

平井 欧州を中心に、フル電動化の道が揺らいでいる面もありますが、主な動力源が何になるにしろモーターの力を借りる方向性は変わらないと思います。もちろんエンジンが残ることは間違いありません。スーパーカーのオーナーは、社会的なステータスが高い人たちです。環境に対する配慮は大切な要素になります。そんな彼らにとってEVモードは必須になるでしょう。実質的にも早朝や夜間に静かに移動できるのは大きなメリットだと思いますが、何より環境に配慮していることをアピールできますから。

九島 マクラーレンや、アメリカを象徴するコルベットの印象も聞かせてください。

平井 マクラーレンは、レースの名門が作った本格派。近年、ますますいいクルマになりました。2011年に登場したMP4・12Cは、飛ばすと素晴らしかったんですが、日常領域は意外に普通な面がありました。最新のモデルたちは、「エブリデイ・スーパーカー」の味わいが増しています。トップに元フェラーリのエンジニアのライタス氏が就任し、技術で前進する姿勢をさらに磨くに違いないと期待しています。アルトゥーラはボディが、ギリギリ振り回せるサイズに収まっているのも好印象です。コルベットも魅力的ですね。ミッドシップになってクラスアップした印象です。かつてのFR時代とは別のクルマですが、大胆なアメリカンテイストは健在。コルベットでしか味わえない強烈なパッションを感じます。

九島 コルベットに関してはボクを含め持論のある方は多いでしょうが、確かにクルマとしての仕上がりはかなりハイレベルだと思います。今日は楽しい話をありがとうございました。

【プロフィール】

くしまたつや/モータージャーナリスト。2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。『Car Ex』副編集長、『American SUV』編集長など自動車専門誌の他、メンズ誌、機内誌、サーフィンやゴルフメディアで編集長を経験。趣味はクラシックカーと四駆カスタム

ひらい だいすけ/1973年生まれ。自動車趣味人のための雑誌・ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月よりAUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+MTのイタリア車しか購入したことがない一本気の性格。最も好きなクルマは、ランチア・ストラトス。自分と同じ1973年に誕生した点も永遠のNo.1の理由とか。

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