昭和49年式ゆえの年季が入ってますが、オートマ&エアコン装備で走りもいいのです
大阪市舞洲で開催されたミニバン、ハイエース、軽自動車乗りが集うカスタマイズカーの祭典「スーパーカーニバル2018」では、旧車の姿もチラホラ。現代のクルマがズラリと並ぶなかで来場者の注目は高く、その人気ぶりを伺うこともできました。
なかでも、ひときわ存在感を放っていたのが”錆びだらけ”のホンダ・ライフステップバン(以下:ステップバン)。カスタム界では、新しいクルマを古びたようにアレンジする”エイジング塗装(錆風ペイント)がありますが、コチラは正真正銘の”サビ”。オーナーの近藤サンによると個体は昭和49年式で、ボディ外板は当時のままだそうです。
旧車といえばキレイに仕上げて乗るのがテッパンですが、「だからこそ古ぼけた状態のまま。あえて当時の雰囲気を残している」というのが理由。まさに熟年のオーラと言いますか、いい味が出ていたワケです。
とはいえ、このままでは単なる”昔のボロい軽自動車”。しかしながら、注目したいのは中身なのです。
まずはエンジンルームから。もともとシングルキャブのEA型エンジンは、ツインキャブ仕様に。モアパワーを獲得できたうえ、高回転まで気持ちよく回るようにしたそうです。また、当時は滅多にお目にかかることのできないコンプレッサーの姿も。当時の純正オプションだったクーラーは配管を含めて後付けするなど、快適性を追求。さらに純正の4速MTは、ライフ用の3速ATに乗せ替えられており、”誰でも扱える快適な旧軽バン”へと大変身させたのです。
「4速MTから5速MTへの乗せ替えは定番ですが、あえてオートマにしたのは奥さんも運転するためです。旧車と言えども乗りづらくなってはダメ。そのためのツインキャブ化や後付けクーラーなワケで、解体屋などに声を掛けて部品を集めて製作しました」とは、近藤サン。製作には相当の時間と手間が掛かったのですが、これも家族のため。まったく錆びのないエンジンルーム内や下回りを見れば、その愛情を伺うことができます。
そして内装。まず目に飛び込んできたのが、ベンチシート化した前席。運転席と助手席との間にあるサイドブレーキレバーは、ベンチシートと干渉するために取り付け位置を下方にしたそうです。また、AT化に対応すべくステアリングコラムやポストなども大手術。当然ながらペダルの数は2つになってました。
さらに、2連メーター左側の水温&燃料計はタコメーターに、右側のスピードメーターはトリップ付きに変更。油温や水温、油圧といった欠かせない情報は、後付けメーターでしっかりとチェックできるようになっていたのです。
他に足回りはアクティ用のフロントストラットを移植。リアは、英国スパックス社のローバー・ミニ用のショックアブソーバを流用するなど、乗り心地をキープしつつハンドリングを向上させたのです。また、前後のドラムブレーキカバーは放熱性を高めるためにドリルド加工。ATになったことでブレーキを多用するための配慮だそうです。
細かく見渡すと、ヘッドライト横の安全ポール、マーシャル社のヘッドライト、熱線入りのハッチガラス、マットガード、ドアバイザー、フォグランプなどなど、オプションパーツの数々はマニア垂涎ものばかり。後付けしたクーラーやオートマチックのエンブレムは、錆びたボディにあわせて劣化した純正部品を探して取り付けたそうです。
他にもスズキ・ジムニー用を短縮加工して取り付けたキャリアなど、遊び心も忘れません(こちらはタミヤの塗料でサビ風にアレンジ)。
このあたりの”魅せる”センスまで逸脱な近藤サン。聞けば、ホンダZやライフのオーバーホールやレストアを得意とするショップ「近藤レーシング(香川県)」のオーナーだったのです。
これも長年のノウハウがあったからこそ。御歳44歳の愛車はメインカーとして、日本全国のイベントにも遠征しているとか。そして、奥様の快適な”足”としてこれからも家族を支え続けていくのです。
(レポート:ちんサブ)
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