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クルマの「キー」まだ使ってるの?? これから絶滅しそうなクルマ業界アイテム14選

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クルマの「キー」まだ使ってるの?? これから絶滅しそうなクルマ業界アイテム14選

 クルマの世界は新しいものが出てきて、古いものがなくなることを繰り返しているが、近年はその動きが激しく速い。これから絶滅していきそうなアイテムや事象をレッドデータBOOKに記載していこう!!

※本稿は2023年1月のものです
文/ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2023年2月10日号

クルマの「キー」まだ使ってるの?? これから絶滅しそうなクルマ業界アイテム14選

■ヘッドライトの「OFF」スイッチ

クルマの保安基準が改正されてから、OFFスイッチの存在意義は急速に薄れつつある

 2016年にクルマの保安基準が改正され、2020年4月以降に販売される新型乗用車にはオートライト機能が義務化されている。「最近のクルマはオートライトが当たり前に付いてるな?」と思っていたあなた、法律がそうなっていたのです。

 それでもまだOFFスイッチは多くのクルマに設定されているが、メルセデスベンツをはじめとする欧州車にはないものが増えている。ライトは点灯も消灯もクルマ側がコントロールすることになっているのだ。

 確かにヘッドライトのスイッチは「AUTO」に入れっぱなしというドライバーも多いだろう。OFFスイッチの役目は急速になくなってきており、絶賛リストラ中なのだ。そしてこのスイッチ、転職先もない(泣)。

■レバー式シフトノブ

新型セレナはボタン式のシフトを採用。シフトが電気式になった今、新方式が続々登場

 AT、CVT、DCTのシフトは電気式が主流となっており、レバーでガチャガチャと操作することがなくなってきている。メーカー各社は「ここがセンスの見せどころ」とばかりにさまざまなパターンを投入していて、新しいところではボタンスイッチというものもある。

 なかには「どこにシフトが入っているのかわかりにくい」という安全上問題があるようなケースも見られ、ほどほどにしておいてほしいと思うこともあるが、「今さらT字型のレバーに戻れるか」というデザイナーの気持ちもわかる。

 同様に、パーキングブレーキもレバーを引くタイプはもちろん、足踏み式も急速に減少してきている。シフトもパーキングブレーキも「レバー」は絶滅危惧種だ。

■クルーズコントロール

 前車との車間距離を保ち、停止や発進まで自動で行うACC(アダプティブクルーズコントロール)は、最近では軽自動車にも標準で装備されるほどの全盛期。このレッドデータブックに記載されるのは、一定速度で走るだけの単なるクルーズコントロールだ。これを装備している新型車を最近ほとんど見たことがない。

 ACCに慣れてしまうと、前にクルマがいてもおかまいなしに突進していくクルーズコントロールは不便で使わなくなってくる。最新のACCは速度どころかステアリングも制御してくれるのだから、絶滅危機もやむなしか。

■マルチシリンダー大排気量エンジン

フェラーリ初のSUV「プロサングエ」はV12、6.5L、725psエンジンを搭載。これが最後のV12か? 価格は4760万円

 日本車では昨年秋に登場したレクサスIS500が最後かもしれない。5LV8ガソリン、481ps。1980~1990年代を「クルマ命!」で過ごした層にはありがたいこのスペックも、今とこれからの人にはムダにしか見えないだろう。

 さらに上をいくV10エンジンやV12となると、もはや絶滅危惧種を超えて「遺産」に近い存在になっている。V12エンジンは今やフェラーリ、アストンくらいのものだし、V10もランボルギーニウラカンとアウディR8のみ。今のうちに世界遺産に登録して、厚く保護しておく必要がありそうだ。

■センターメーター

初代から4代目まで一貫してセンターメーターを使ってきたプリウスだが、新型では不採用。絶滅危機にある

 新型プリウスが伝統のセンターメーターをやめたことで、絶滅の危機が訪れている。

 そもそもは右ハンドルにも左ハンドルにも使える合理性の高さが使われ始めた理由で、1959年登場のMINIが最初というから、意外と歴史は長い。日本では1997年登場の初代プリウスが火付け役だった。

 合理性とともに「斬新に見えた」のも採用車種が増えた理由だが、冷静に考えてみると、メーターが遠いのは見えにくいし、視線移動も多いしとあまりいいことがない。真ん中の一等地はモニターを置きたいという理由もあって、復活の可能性は低そうだ。

■イグニッションキー

 最近のクルマはみんなボタンスタート。鍵を差し込み、グイと回してエンジンがかかるクルマは絶滅危惧種となってしまった。

 そのうち指紋認証や顔認証で鍵そのものもなくなるかもしれない。クルマに乗ったら鍵を差し込み、回すという所作は「駅で切符を買う行為」に等しい昔のものになってしまった。

■シガーソケット

 防衛費を増やすために法人税、所得税、たばこ税を増税するらしい。

 たばこ税はこれまでもJRの借金返済にも使われていて、今度は防衛費とくれば社会貢献度は相当大きいはずなのだが、喫煙者は忌み嫌われている。

 「増税は受け入れてやるから、もっと自由にたばこを吸わせろ。禁煙者が増えたらトマホーク買えないぞ」と脅しても袋叩きに遭うだけだろうから、クルマのシガーソケットも消えていく運命だろう。

■コーナーポール

今でもコーナーポールは販売店オプションで売られている。根強い需要はあるのだが……

 ボディ左側先端に立てるコーナーポール。これを目印にすれば、クルマの鼻先がどこにあるのかわかりやすい原始的ながら優れたアイテムだったが、最近はコーナーセンサーが普及したうえに、見た目もイマイチとあって急速に装着車が減少している。

 確かにコーナーセンサーは音と(クルマによっては)コーションランプで障害物に近づいていることを知らせてくれるが、距離感がつかみにくく、結局は勘で動かしている感覚がついて回る。それに対し、コーナーポールは肉眼で確認できるので安心という人も多そうだ。

 コーナーポールひとつにこれだけの文字数を費やす原稿もめずらしい。担当がコーナーポールを溺愛しているわけでもないが、成りゆきでそうなった。でも、復活は難しいでしょうなぁ。

■棒のアンテナ

 棒つながりで言うと、「いかにもアンテナ!」という感じの棒タイプのアンテナも絶滅危機にある。

 最近はガラスに組み込むフィルムアンテナや、ルーフに取り付けて角度を変えられる小ぶりのポールアンテナ、魚のヒレのような形のシャークアンテナ(ドルフィンアンテナとも言われる)が主流で、手動や自動で棒が伸び縮みするアンテナは絶滅の危機。

 それで困るクルマユーザーはほとんどいないだろうが、棒アンテナの「今、そこにある危機」は認識しておいていただきたい!

■「デートカー」という言葉

かつて一世を風靡したデートカーの代表ともいえるS13シルビア。スポーツクーペが女子たちに人気だった時代が確かにあった!

 1980年代後半から1990年代にかけて、セリカ、シルビアやプレリュードといったスペシャルティカーは「デートカー」と呼ばれ、人気を博していた。

 デートカーの種類はその後変化を続け、高級輸入車やSUV(昔はクロカン四駆と呼んだ)などがその座を争ったが、今はもう「デートカー」という言葉すら使わなくなってしまった。

 つまり、男女のお付き合いのシーンのなかで、クルマは重要なアイテムではなくなってしまったのだ。今、クルマがモテアイテムと思っているのは、弊誌4コママンガ『轟さん参上!!』で、セリカママのいるスナック(?)に出入りしている男たちくらいかもしれない。

 嘆かわしい。実に嘆かわしい! 自動車メーカーは電動化や自動運転なんかにウツツを抜かしていないで、もう一度「デートカー」に本気で取り組んでほしい。

 そういえば、この項の冒頭で記した「スペシャルティカー」という言葉も絶滅しちゃってますね。

■水抜き剤入れますか?

 昔、ガソリンスタンドで店員さんに「レギュラー満タンで」なんて言うと、そこそこの確率で「水抜き剤入れますか?」と聞かれたものだ。

 給油した時に水蒸気を含んだ外気がガソリンタンク内に入り、それが低温で結露になり、やがて水になる。その水が鉄製のガソリンタンクを腐食させ、また、ガソリンと一緒にエンジンに入り込んだ水は故障の原因にもなる。だから「水抜き剤入れますか?」ということになっていたわけだが、今は状況が違う。

 最近のクルマは鉄製のガソリンタンクを使わず、ほとんどが錆びない樹脂製。樹脂製は結露も起きにくいから水の心配をしなくてよくなった。そもそもセルフスタンドが増えて、給油時に店員さんと話す機会も減ってしまっている。そんなこんなで「水抜き剤入れますか?」が絶滅危惧種になっているというわけだ。

 とはいえ、古いクルマは鉄製のガソリンタンクを使っているし、用心するに越したことはない。なお、水抜き剤といっても手品のように水だけを抜くものではなく、本来混合しないガソリンと水をイソプロピルアルコールで混ぜ合わせ、一緒に燃焼させるというもの。今でもけっこう売ってます。

 なので、レッドデータブックに記載するのは「水抜き剤入れますか?」というガソリンスタンド店員さんの言葉だけとなる。

■フロントグリル

キドニーグリルが鎮座するBMW iXだが、テスラのようにフロントグリルを置いたことのないEVも数多い

 電気自動車(EV)は、エンジンを冷やすために前から風を入れる必要がない。なので、フロントグリルは本来なくていい。

 だが、グリルのないノッペリした顔はデザイン的にどうなのよ? という意識があるのか、EVになっても「デザインのためだけに」フロントグリルを残すメーカーは多く、BMWのEVはエンジン車と同じか、なんならもっと大きいフロントグリルが鎮座している。触ればわかるが、あれ、ただの板です。

 しかし、今後は新たなEVデザインが広まりだして、フロントグリルのないクルマが増えていきそうだ。EVの普及とともにフロントグリルも絶滅の方向に向かっていく。

■女性仕様車

 時代は急速に「ジェンダー平等社会」に向かっており、性別による偏見や差別をなくすべく動いている。となれば昔、時々見かけた「女性仕様車」というのもアウト。

 特に、かわいらしい色やステッカー、アメニティ装備で固めたクルマはダブルプレー。「女はこういうのが好きなんだと勝手に思ってるだけ。偏見よ偏見よ偏見よ~!」と炎上すること必至だ。そんな危ない橋は渡らないほうがよく、絶滅まっしぐら。

■なくならないで! 要保護案件

モニターで見るだけでは味気ない。紙のカタログは絶対に保護したい!

 絶滅危惧種としてレッドデータブックに記載されるほどではないが、先ゆきが怪しいものもある。次はそんな案件を紹介していこう。

 まず、意外かもしれないが、DCT(デュアルクラッチトランスミッション。いわゆる2ペダルMT)が少し怪しい。

 トルコン&トルコンレスのATが進化してきており、シフトショックを消しにくいDCTを使わないクルマが増えてきているのだ。2ペダルの容易さでMTの走りが楽しめる画期的なアイテムだったが、ATでも同じように走れるとなれば、搭載車が減少していく可能性は高い。注視しておく必要がある。

 そして、放っておけば絶滅必至なのが紙のカタログ。言うまでもなくPCやタブレットで見る電子カタログに押されているのだ。

 製造コストもかかるとあって、今後やめる方向になるのは確実だが、きれいな写真のカタログを手に取って、眺めたいのがクルマ好きの気持ち。なんとしても残しておきたいものだ。

 細かなところではセダンのリアワイパーも減少方向。ワゴン、ハッチバック、ミニバンなどのリアワイパーは減っていないが、セダンは絶滅危機領域だ。

 もともとリアウィンドウの傾斜が強くて水滴が流れやすく、リアのオーバーハングが長いから後ろからの巻き込み水滴が付きにくいうえに、空力性能も向上していてワイパーレスでも問題は少ないのだが、雨の日はワイパーで拭き取ってくれたほうが視界も気持ちもスッキリする。なんとか残しておきたいものだ。

 セダンでいうと、正統的3BOXセダンも絶滅危惧種。新型クラウンを見てもわかるとおり、これからのセダンはクロスオーバー風か新型プリウスのような思い切りスポーティでスタイリッシュな方向に向かいそうな気配濃厚。「ザ・セダン」と呼べるような正統的なデザインも残って欲しいものである。

 最後に3ペダルMTが絶滅危惧種なのは周知のとおりだが、それに合わせてMT免許も消えていく雲ゆき。クルマがなければ、それに合わせた限定免許も必要ない。となれば、スポーツドライブテクニックのヒール&トゥも過去の遺物となってしまいそうだ。なんか寂しい……。

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