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モノコック全盛だがラダーフレームにしかない利点もある! クルマのボディ構造とメリデメ

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モノコック全盛だがラダーフレームにしかない利点もある! クルマのボディ構造とメリデメ

 この記事をまとめると

■現代のほとんどのクルマは「モノコックボディ」を採用している

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■モノコックボディは車体剛性を保ちながら重量を軽くできる

■かつては「ビルトインラダーフレーム」を採用しているオフロード車もあった

 クルマの車体構造にはいくつかの種類がある

 自動車の車体は、パワートレインやサスペンションを搭載、装着し、人や物を運ぶという役割が与えられている。当然ながら、カッチリと強度、剛性を保っていてくれなければ走行に際して非常に具合が悪い。

 車体剛性が量産車の設計・生産で真剣に取り組まれるのは1980年代後半のことで、メーカーが、車体剛性は車両の走行性能に大きく影響してくる、ということが強く認識されたためである。

 では、現代のクルマはどういった車体構造を採用しているかといえば、薄いプレス鋼板を溶接で組み上げた「モノコックホディ」がそのほとんどとなっている。厳密にいえば形状に違いはあるが、卵の殻と同じような構造、と考えてよい。鋼板を溶接で組み上げ立体を作り、それを車体とする方式だ。もう少し詳しくいえば、車体を形作る外板パネルが応力を受けもつため「応力外皮構造」と表記される。

 モノコックボディ構造の利点は、車体剛性、強度を保ちながら重量を軽くできる点にある。ただし、これは車両の走行条件が、比較的路面状態のよいところ、たとえば舗装路やフラットダートでの話となる。オフロードのように、瞬間的にサスペンションが大きくストロークし、車体側に連続して大きな入力が加わるような状況では、必ずしもモノコックボディが適しているとはいい難い。

 むしろ、独立した頑健な専用フレーム(シャシー)をもつ車体構造のほうが、オフロード走行には向いているといえる。本格派を謳うクロスカントリー4WDのほとんどが、どのモデルも独立した専用シャシーをもつ構造で作られているのはこのためだ。

 専用シャシーの上にボディを乗せ、ボルト止めで固定する手法が大半である。このモノコック構造と専用シャシー構造は一長一短あり、いずれが優れているかは、その車両が走る路面状態に左右されると考えてよく、適材適所といってよいものだ。

 モノコックとラダーフレームを融合したビルトインラダーフレーム

 さて、オフロード走行に有利なクロスカントリー4WDには専用シャシー構造が合うと説明したが、モノコックボディに独立した専用シャシー(フレーム)を接合する「ビルトインラダーフレーム」と呼ばれる構造があり、これをクロスカントリータイプの4WD車が採用してきた例がある。ちなみにラダーフレームとは、独立したシャシー構造の基本となる形状で、文字どおり「ハシゴ型」のフレームのことだ。

 積極的にビルトインラダーフレームを採用したモデルとしては、3代目の三菱パジェロを挙げることができる。ビルトインラダーフレームの長所は、モノコックボディ構造に対して車体剛性、強度が高くとれる点にある。なんといっても、車体はモノコックボディ単体として成立するレベルの車体剛性、強度をもちながら、路面からの瞬間的な大きな入力に対してサスペンションを堅固に支持し、その動きを設計値どおりに発揮できる点にある。

 通常、モノコックボディを採用するモデルでは、剛性、強度の想定に連続したラフロード走行は含まないが、ビルトインラダーフレーム方式は、独立した専用シャシーをモノコックボディと組み合わせることで軽量化、高剛性化、高強度化を図り、ラフロードの走行を想定内に入れている。

 パジェロは、もともと商業車から発展した独立フレームをもつモデルとして企画されたが、3世代目に発展する際、軽量、高強度な車体の実現を目指してビルトインラダーフレームの構造が採られるようになった。その大きな理由のひとつとして、競技での活躍を期待して、という要素があったという。

 パジェロといえば、あの過酷なマラソンレイド、パリ~ダカール・ラリーでの活躍が思い浮かぶが、量産車クラスでの好成績を狙い、それまでの独立フレーム方式からモノコックボディと一体化したビルトインラダーフレーム構造に変更されたという。ちなみに、総合優勝で知られるパジェロは完全なプロトタイプで、量産車との共通点はそのボディデザインぐらいといえるほど、競技に特化した構造の車両だった。

 独立したシャシー構造の車両とビルトインラダーフレーム構造の車両は、外観を一見するとまったく変わりはないが、独立したシャシーをもつ車両はシャシーと車体を何本かのボルトで固定していることに対し、ビルトインラダーフレームはモノコックボディとフレームを溶接で接合して一体化。より軽量、高剛性の筐体を実現できる特徴がある。

 このビルトインラダーフレーム方式を、生産・製造するメーカーの立場から見ると、車体の生産工程が増え、コスト的にも割高となり、単純にモノコックボディ方式と比べると不利になるのだが、その利点である高強度、高剛性を軽量に仕上げられる点を優先し、生産車の構造として採用した。

 この方式を採用した生産車は、三菱パジェロ(3代目、4代目=最終型)、トヨタ・ラッシュ/ダイハツ・ビーゴ、スズキ・エスクード(3代目)、日産テラノ(2代目)などが挙げられるが、現在はほとんど見られない状況だ。

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みんなのコメント

9件
  • pro********
    相変わらずの大内クオリティですね。

    確かにモノコックは日本語で「応力外皮構造」ですが、基本的に「車体を形作る外板パネルが応力を受けもつ」わけではありません。
    応力を受けもつのはメンバーなど内部の骨組構造です。その意味では、普通のクルマも大なり小なり「ビルトインフレーム」的な構造を採っているといえます。
    オンロードでの操縦安定性向上にはボディの三次元的な剛性が重要ですが、そのためには平板なラダーフレームは不向きということでしょう。
  • 藍流頓瀬奈
    ラダーフレームは強度をフレームで担保するのでボディ構造の自由度が高いのも利点。
    トラックが顕著。平台、箱、ダンプ、タンクローリー…様々な積載装備に対応。
    アメリカ大統領専用車ビーストもベースはラダーフレームのピックアップだし宮形の霊柩車が減っている一因もラダーフレームのクルマが減っていることだ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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