ウェッジシェイプが1970年代以降のカーデザインに大きな影響
2024年8月、北米モントレーで開催されたペブルビーチ・コンクールデレガンスでは『ウェッジシェイプ・コンセプトカー&プロトタイプクラス』という特別カテゴリーが設けられた。
【画像】ペブルビーチ・コンクールデレガンス2024に登場した『ホンダHP-X』 全8枚
念のためであるが、ウェッジシェイプとはくさび形の直線的フォルムのことを意味し、ランチア・ストラトスHFゼロや、ランボルギーニ・カウンタックなどがそれを採用された代表的モデルであり、1970年代以降のカーデザインに大きな影響を与えた。会場においては前期後期のふたつにカテゴライズされた歴代の名車たちが並んだ。
前期は、1955年ギア・ストリームラインXクーペジルダを皮切りに、1970年フェラーリ・モデューロ、1970年ランチア・ストラトスHFゼロ、1970年メルセデスC111、1973年アウディ・アッソ・ディ・ピッケ、1975年ランボルギーニ・カウンタック、1976年フェラーリ・レインボーなどとなる。
そして後期は、1979年アストン マーティン・ブルドック、1984年ホンダHP-X、1988年チゼータV16T、1993年ベクターW8、日本からの出展したケン・オクヤマ・カーズの2017年コード0などだ。
一般公開はまさに40年ぶり
さて、今回のお題はこの『ホンダHP-X』である。このコンセプトモデルは、1984年のトリノ・ショーにてアンベールされたから、このペブルビーチでの一般公開はまさに40年ぶりであり、まさに歴史的な『蔵出し』となった。
奇しくも、ウェッジシェイプの父のひとりであるマルチェロ・ガンディーニ、そしてピニンファリーナの経営を司っていたパオロ・ピニンファリーナまでが2024年に鬼籍に入ってしまっていることもあり、日本のホンダによる40年の月日を経ての蔵出しには大きな注目が集まった。それだけではない。このHP-Xの背景には『ホンダNSX』という日本車の歴史に残るマスターピースの存在もあるのだから。
筆者はこのHP-Xのスタイリングをデザインしたピニンファリーナのディエゴ・オッティナと懇意にさせていただいており、関係者から様々なコメントを頂いている。そこで、HP-Xの誕生から今回の蔵出しに至るプロセスに関して、彼らのコメントを引用しながら紐解いていきたいと思う。
ホンダはピニンファリーナとの契約を1979年に締結
詳しい内容は公開されていないが、ホンダはピニンファリーナとデザインに関する包括的なコンサルティング契約を1979年に締結している。ピニンファリーナ研究開発のトップであるレオナルド・フィオラヴァンティがセルジオ・ピニンファリーナと共にその契約を進め、日本へも複数回訪れている。
しかし、このコンサルティング契約はピニンファリーナにとってかなり前例のないものであった。ピニンファリーナは競合を避けるように各国にひとつのクライアントを置くというポリシーを持っていた。日本においてはかつて日産と契約を締結し、何台かの市販モデルのスタイリングを開発しそれを『納品』している。
しかしホンダに関しては、ピニンファリーナとのコラボレーション自体も当初は公表されなかったし、ピニンファリーナが開発したスタイリングが市販モデルに採用されたことはひとつの例外を除いて存在しなかったし、それもオフィシャルには言及されなかった。ちなみにその例外とは、ホンダ・ビートである。
なぜホンダはピニンファリーナと契約をしたのか
それでは何のためにホンダは、ピニンファリーナに大枚を払って契約をしたのだろうか?
まず、ピニンファリーナからの幾度にも渡るラブコールに応えて、デザインスタディの一環として世界的評価の高いカロッツエリアからの提案を勉強しようという判断が下されたと、当時ホンダのデザイントップであった岩倉信弥はかつて語ってくれた。
そう、コラボレーションの目的はカーデザインの頂点であるイタリアンデザインを学ぼうという取り組みであったが、同時に本田宗一郎は、ホンダのクルマのデザインは外部に任せるべきではないという強固なポリシーを持っていたという。
つまり、元からピニンファリーナの提案を商品化させるという前提はなかったのだ。ピニンファリーナとしては、市販車のデザインを提案し、ホンダのクルマの委託生産を1台でも引き受け、日本の自動車メーカーに食い込むことを願っていたから、その状況を理解できなかった。何回もモックアップを完成させ、提案したが、商品化への動きは全くなく、フラストレーションが高まっていたのだ。
(つづく)
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みんなのコメント
こうして見るとやはり美しいフォルムだ