■激安でも高級車には変わりない! それなりの維持費が必要
レクサスの誕生により日本車も国内の高級車マーケットへの参入を果たしましたが、それでも超高価格帯のマーケットは輸入車の独壇場だといえます。
海外にはメルセデス・ベンツやポルシェ、フェラーリ、ロールスロイスなど、軽く1000万円を超えるクルマが存在。
いつかは手に入れたいと思う憧れのクルマたちではありますが、新車で購入するとなると価格が高すぎて、なかなか手が届くものではありません。
しかし少しでも安く買いたいというのなら、中古車という選択もあります。
新車価格が1000万円のクルマも、中古車であれば700万円や500万円という選択肢があり、なかには100万円台なんていう激安車両も発見される状況です。
激安な物件には「これはお買い得!」と即座に飛びついてしまいそうになる反面、「高級車がこんなに安くて大丈夫なの?」と不安に思うものです。
そこで、実際のところどうなのか輸入車専門の中古車販売店の元スタッフ Sさんに話を聞いてみました。
「最初に考えなければいけないのは、クルマは部品の集合体で値段(新車価格)はその合計ということです。
厳密にいえばブランド料や利益なども含まれるのでピッタリ合計値というわけではありませんが、合計(新車価格)が高い高級車は個々の部品が高額だったり、部品の点数が多いということです。
いい換えれば、高級車のメンテナンス費用やトラブルがあったときの修理費用は高いということです」
確かに高級車には高性能なブレーキが備わっていたりするため、ブレーキパッドひとつとっても交換時にはよりお金がかかります。
オイル交換においても大排気量の高級車はたくさんのオイル量を必要とし、フィルターも大容量向けで高いことが多く、合計金額もそれなりに高額になります。
「維持費用が高いということは、新車でも高めの中古車でも激安中古車でも変わりはありません。
ですが、新車には3年保証があったりオプションでもろもろメンテナンスを面倒見てくれるサービスがあるので、ぶつけたりしなければそんなにお金がかかることはないでしょう」(輸入車専門中古車販売店の元スタッフ Sさん)
高めの中古車も新車ほどではないにせよ、販売店の保証があったり、別料金になりますが保証会社の保証サービスをお願いできれば多少は安心ですし、正規ディーラー系の販売店なら中古車でも有償でメンテナンスパッケージに加入できるケースもあったりします。
問題は激安の中古車です。相場の下限に近い価格の中古車は無保証なことも少なくありません。
保証会社にお願いしたくても、年式や走行距離によっては断られたり有償保証の料金が高額になったりするので、あまり現実的とはいえません。つまり、何かあったら全額自己負担ということです。
激安で購入した中古車でも、高級車なりの出費の覚悟が必要ということです。
「100万円台の中古高級車の購入が大丈夫かどうかは、購入する側の受け入れ態勢がまず大丈夫かどうかというか、考え方ひとつだと思います」(輸入車専門中古車販売店の元スタッフ Sさん)
※ ※ ※
実際、激安で手に入れた高級車オーナーが高額の修理代を工面できずに車両を手放すというのはよくある話です。
激安であっても高級車にはかわりなく、故障で多額の費用が必要にならないよう、安く手に入れられたそのぶんのお金で最初に先手でメンテナンスするのが正解といえるでしょう。
■高級車が激安になる5つの理由とは?
安くても高級車なりの維持費用が必要なことはわかりましたが、気になるのは格安な物件の「程度」についてです。前出の中古車販売店の元スタッフ Sさんは、次のように話します。
「あたりまえですが、中古車は1台1台コンディションが異なるので良いものもあればダメな物件もあります。あくまでも一般論や個人の感想レベルでしかお話しできませんが、激安な高級車は以前よりまともな物件が増えたと思います。
2000年ごろまでは本当に酷い物件が売られていて、売り逃げみたいな店もありましたが、インターネットの普及した現代でそんな商売をしていたら、たちまちSNSで炎上しますからね」
販売店側の問題もありますが、1990年代後半から輸入車の信頼性がグンと上がったことも、2000年以降の中古車の程度に影響していると考えられます。
Sさんいわく、大事なのは「どうしてその物件が安いのか?」という理由です。安い理由には、大まかに分けると5つあるといいます。
1.年式が古い
2.走行距離が多い
3.人気がない
4.実は新車価格が(思ったより)安い
5.新車が大量に売れた
このうち3(人気がない)、4(実は新車価格が安い)、5(新車が大量に売れた)の理由であればまったく問題はありません。一方、1の年式が古いや2の走行距離が多い場合は、注意深くクルマの程度を見極めなければなりません。
もっとも100万円台の高級車はどれかひとつというより、複数の理由で安くなっていることがほとんどですが、実際に100万円台から購入できる高級車として、ポルシェの中古車を例にチェックしてみましょう。
●ポルシェ「ボクスター」
ミッドシップレイアウトを採用する2シーターオープン。デビューは1996年(1・年式が古い)で、ドアまでのフロント部分を当時の「911」と共有するだけあり、パッと見は911風で一躍人気になりました(5・新車が大量に売れた)。
にもかかわらず、新車価格が595万円からと世間の想像より安価(4・実は新車価格が安い)。中古車は早々に200万円以下になり、いまでは100万円を切る物件も存在します。
2004年に登場した2代目は572万円からと新車価格がさらに安く、走行距離は多い(2・走行距離が多い)ですが100万円台の物件もちらほら出始めています。
●ポルシェ「911」
スポーツカーの代表的存在である「911」は、リアにエンジンを搭載し後輪を駆動するRRレイアウトを基本とするのは歴代モデル共通ですが、初代(901型)から4代目(993型)までの空冷エンジンモデルと、5代目(996型)から現行の8代目(992型)の水冷エンジンモデルに大別できます。
前者はプレミア価格が付くほどですし、後者も7代目、8代目はまだまだ新しく中古車といってもかなり高額です。
いま激安になっているのは911初の水冷モデルである5代目(996型)で、デビューは1997年と四半世紀前(1・年式が古い)になります。
とはいえ、100万円台の物件は稀で、その多くは走行距離が10万kmを軽くオーバー(2・走行距離が多い)するものばかり。
トランスミッションも人気の薄い5段ATのティプロトニック(3・人気がない)で、人気のMTはずっと相場が高くなっています。
●ポルシェ「カイエン」
ポルシェ初のSUVとして2002年に登場(1・年式が古い)したのが「カイエン」です。トヨタ「ハリアー」やBMW「X5」が火をつけた高級SUV市場に満を持してデビューしただけあり、日本でも好調なセールスを記録(5・新車が大量に売れた)しました。
3.2リッターのV6グレードより4.5リッターのV型8気筒グレードのほうが安い物件が多いのは、すでにほとんどの物件が13年以上経っているため自動車税が割増しになり、自動車税の高い大排気量が敬遠されているからでしょう。
初代については、年式なりの走行距離が伸びたものが多く(2・走行距離が多い)、100万円を切る物件もだいぶ増えてきています。2010年に販売開始された2代目は、200万円台の物件が増加中で、そろそろ100万円台の中古車も出てきそうな勢いです。
※ ※ ※
中古車を購入するときに走行距離の多い物件は敬遠されがちです。だからこそ過走行のクルマは安くなっているのですが、距離を走っているからダメかというと、決してそうとはいい切れないでしょう。
「100万円台で狙える高級車はたいてい古いクルマです。年式なりに走ってないと機械は不調になるものですし、それなりに走行距離が伸びているクルマのほうがきちんとメンテナンスを受けていた確率が高いです」(輸入車専門中古車販売店の元スタッフ Sさん)
ポルシェをはじめ高級車の激安中古車を狙うとき、過走行車を選択肢から外すのは実はもったいないことなのかもしれません。
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みんなのコメント
それが輸入車です。