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バブル期に登場した“未来のクルマ”今どうなった? トヨタが夢見た車5選

掲載 更新 10
バブル期に登場した“未来のクルマ”今どうなった? トヨタが夢見た車5選

■斬新だった! あのときのクルマは今どうなった?

 いま(2020年)から30年前の1990年、世はまさにバブル期でした。その頃の自動車メーカーは、未来を夢見たさまざまなコンセプトモデルを登場させました。

【画像】30年前の“未来のクルマ”と今のクルマの違いを見る(27枚)

 そんな懐かしいクルマたちを集めた催しがおこなわれました。トヨタ博物館(愛知県長久手市)の企画展示「30年前の未来のクルマ」(2020年6月2日から10月11日)です。

 常設展示で世界の自動車産業の始まりから最近まで全体の流れを感じ取った後、企画展示室のコンセプトモデルたちを見ると、「なるほど、これがあれになったんだな」と30年という時の流れを実感します。

 そのなかから、注目のトヨタ車を5台紹介します。

●「4500GT エクスペリメンタル」(1989年東京モーターショー出展)

「4500GT エクスペリメンタル」は、いわゆるシューティングブレイクと呼ばれる2+2のボディ形状の、最上級スポーツモデルです。

 ボディサイズは、全長4365mm×全幅1830mm×全高1210mm。搭載されるエンジンは4.5リッターV8DOHC(最高出力300馬力)、最高速度は300km/h、ゼロヨン加速は13秒台でアクティブリアステアリングも装備します。

 4500GTは量産されませんでしたが、流れを汲むモデルとしては、F1譲りのV型10気筒エンジンを搭載したレクサス「LFA」でしょう。

 1989年当時、トヨタがF1参戦とは誰も予測していませんでした。さらに、直近はル・マン3連勝で、新車価格数億円の「GRスーパースポーツ(仮称)」が登場するとは、30年間の進化に驚きです。

●「RAV‐FOUR」(1989年東京モーターショー)

「RAV‐FOUR」のキャッチコピーは「新感覚、都会派4WD」で、その後一気に普及する、ラダーフレームのクロカンから乗用車フレーム系SUVへの進化を予言した1台です。

 全長3485mm×全幅1695mm×全高1635mm、1.6リッター直列4気筒DOHC(100馬力)。

 コンセプトモデル登場から5年後の1994年に「RAV4」として量産を開始しました。市販モデルはコンセプトモデルより全長はやや伸びましたが全幅は変わらず、エンジンは2リッター(140馬力)になりました。

 その後、一時は日本での販売が休止されましたが、2019年に登場した最新モデルの5代目RAV4は、日本カー・オブ・ザ・イヤー2019-2020を獲得するなど、国内においても見事な復活劇を披露したのは記憶に新しいところです。

●「GTV」(1987年東京モーターショー)

「GTV」とは、ガス・タービン・ヴィークルの略称です。圧縮空気を使いタービンを回す、いわゆる外燃機関の環境対応車です。

 ガスタービン車は1960年代にアメリカでレーシングカーが実戦参加するなど研究が進んできた、未来の原動力でしたが、高コストやガスタービン特有の高周波音などが課題となり、いまではすっかり姿を消しました。

 2010年代に英国政府が協賛して小型タービンを活用したスーパーカーの基本開発がおこなわれましたが、量産計画は発表されていません。

 2020年の環境車といえば、トヨタ「プリウス」を筆頭とするハイブリッド車、さらにプラグインハイブリッド車、EV、そして燃料電池車(FCV)ではトヨタ「MIRAI」が2020年冬にフルモデルチェンジし、2代目として登場する予定です。

■ミニバンを日本に広めたクルマとは?

●「エスティマ」(1990年量産開始)

 企画展示ではなく、常設展示には1990年に量産開始した「エスティマ」の1993年型がありました。いわずと知れた、近代ミニバン文化を日本に広めた功労車です

 展示資料には「アメリカで急伸していたミニバンマーケットへ投入するため開発された」とあるように、以前、南カリフォルニア州にあるトヨタのデザインスタジオ「キャルティ」を取材した際、正面入り口近くにエスティマの小型デザインモデルが飾ってありました。

 デザインされたのは1980年代ですが、当時としてもこれだけガラス面積が大きなコミューターは斬新なアイディアだったと思います。

 2020年現在、日本の高級ミニバン市場は「アルファード」がけん引し、小型では「シエンタ」などが存在。さらに軽自動車でも背の高いミニバン形状のモデルが人気となっています。

●「e-com」(1997年東京モーターショー)

「e-com」は2シーターのシティコミューターで、全長2790mm×全幅1475mm×全高1605mm。重量は790kgと軽く、最大出力19kWのモーター搭載のEVです。

 まさに、現代の超小型モビリティへとつながるコンセプトモデルです。

 こうした発想のクルマは1970年代のオイルショック前後に、土木建築の領域で効率的な都市構造の研究が進み、従来のクルマではなくモビリティというカテゴリとして議論が進みました。

 2020年になり、日本では二輪車と四輪車の中間の車両規定として、超小型モビリティの法整備も進み、東京モーターショー2019で公開されたトヨタの超小型モビリティが近い将来に量産される予定です。

※ ※ ※

 今回実施された企画展「30年前の未来のクルマ」のきっかけとなったのは、トヨタが静岡県裾野市に建設予定の近未来型都市計画「ウーブンシティ」です。

 2020年時点での未来のクルマや、未来の都市、そして未来の生活を考えるうえで、“ひと昔前(30年前)”の状況を、コンセプトモデルという実車を通じてユーザーも含めて皆で考えてみようという発想なのです。

 2020年現在、CASE (コネクティビティ・自動運転・シェアリングなどの新サービス・電動化)が未来のクルマの代名詞として登場。

 その上で、トヨタの豊田章男社長は「自動車産業は100年に一度の大変革」と未来に向けた危機感と挑戦心を露わにしています。

 いまから30年後、2050年のクルマは、いったいどうなっているのでしょうか。

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みんなのコメント

10件
  • 丁度この頃は直線的なデザインから丸みを帯びたデザインになって行った感じだね。コストのことをあまり考えずにデザイン重視でいい時代ですね。パワートレインも大排気量、ガスタービンと余裕を感じるなぁ。今じゃ直四+ハイブリッド、直四+ダウンサイジングターボがメインだし。
  • ビッグエスティマが正常進化していれば
    アル・ベルみたいな下品な車も無かっただろう
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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